市長演述 平成22年第1回(平成22年3月議会)
市長演述 平成22年第1回(平成22年3月議会)
平成22年第1回花巻市議会定例会 市長演述要旨
はじめに
本日、平成22年第1回花巻市議会定例会が開会されるに当たり、平成22年度の市政運営について、私の所信の一端を申し上げます。
私は、去る1月24日に執行されました市長選挙において、大多数の市民の皆様から十分な信任をいただき、市政の舵取り役として、再度4年という時間をいただきました。このことは、市民の皆様から1期4年間の市政運営の取組みを正当に評価いただいたものと存じ、その責任と使命の重さに改めて身の引き締まる思いです。同時に、市政を継続できることにつきまして、素直に、心から感謝を申し上げるものであります。
まちづくり第一ステージ
平成18年1月1日、新しい花巻市がスタートいたしました。
私は、新生花巻市の初代市長に就任後、早速、私自身が掲げたマニフェスト“岩手№1宣言”と新市建設計画や旧市町からの引継ぎ課題をもとに、「強くて優しいまちづくり」「市民参画・協働のまちづくり」を基本理念に据えた新しい総合計画を策定するとともに、まちづくりの最高規範であるまちづくり基本条例を制定いたしました。
一方で、「おじゃまします、市長です」により市内を隈なく歩かせていただき、合併後の状況や地域の特色をつぶさに把握させていただきました。
また、分権時代に対応すべく市職員の意識改革と小さな市役所構想など新たな政策を展開してまいりました。
そして私は、この任期4年間を、「まちづくりの動きをリードし、新生花巻市の基盤を確立する期間」と位置づけ、市内の均衡ある発展を第一に、市民の皆さんとともに新しいまちづくりに全力で取り組んでまいりました。
この4年間を振り返りますと、お陰さまで旧市町から引き継いだいろいろな課題につきましては、ほぼ着手し、そして解決することができ、また一体感の醸成も図られてきたものと思っております。さらには財政上の合併メリットも有効に活用し健全経営に努めることができ、目標とする新生花巻市の基盤を固めることができたものと思っております。
まちづくり第二ステージ
さて、いよいよこれからが本格的なまちづくりの段階となります。
まちづくりは目標とする将来像を定め、その目標に向かって計画的に事業を実施し、実施結果を確認しながら進めていくことが基本です。
しかし、近年は大きな地震が連続して発生し、風評被害によって市内の観光・サービス業を中心に多大な経済的打撃を受け、大雨洪水による大きな被害が生じたり、また最近では新型インフルエンザの大流行により国内外のさまざまな交流事業などが影響を受けました。そして、現在のこの景気状況です。相次ぐ緊急経済・雇用対策など、時代時代には常に待ったなしの対応が求められる様々な課題が生じてきます。
したがって、まちづくりは計画を基本としながらも、常に目前の課題にもスピーディーに対応して行かなければなりません。
ところで、私たちの国、日本の社会は、確かに経済的に発展し、物的には豊かになったのだろうと思います。しかし何かが足りない、頼りない不安感がただよっている。このことは国民全体がおそらく感じ取っているのではないでしょうか。
日々の暮らしの中で、仕事はもちろん大切なことであります。しかし仕事以外にも、健康や学び、環境などへの関心が高まり、多種多様な価値観を持つようになってきております。そして再び、かつての日本で当たり前だった、お互いに助け合いながら暮らす結いの心が見直されてきているのです。
すなわち本当に豊かな社会とは、物の豊かさと心の豊かさが調和した社会なのです。わが国はまさに今、真に豊かな社会をつくり上げる時代に入ったのであります。
一方、我が国は既に人口減少社会に入っております。人口減少は経済の縮小をもたらし、ひいては自治体財政の縮小に繋がります。すなわち行政サービスの縮小、限界が来ることを意味します。
したがって、私たちはこれから、行政サービスを受けるために税の負担をするのか、それとも自分たちでできることは自分たちでするのかという選択が求められる時代になって行くということであります。
このように、これからのまちづくりは、人口減少時代に対応しながらも真に豊かさを実感できる社会を築いて行き、しかも、その時代時代に突発する課題にもしっかりと対応していけることが必要であります。
その上で、今のこどもたちが大人になってまちづくりの第一線で活躍する20年後、30年後の時代にも、しっかりと発展し得る花巻市を築き上げて行くことが、今を生きる我々大人に課せられた責任でもあるのであります。
したがって今やらなければならない最も重要なことは、将来に向かって発展し続けることができる確かな自立した自治体の構造、姿を創り上げておくことなのであります。
新たな時代を開く2つの構想
そのための政策が、新たな時代を開く2つの構想、すなわち「合衆市イーハトーブ花巻構想」と「地方政府花巻市構想」であります。
私たちの花巻の姿を想像してみてください。「住民一人ひとりが力を合わせ、特色ある地域を育んでいる。そしてその一つひとつの個性あふれる地域が集まり、融合し一つの市になることによって、市全体が力強く光り輝いています。」また、「市内の27の地域を小さな州にたとえると、この小さな州の集合体が花巻市という自治体です。そして一つひとつの州は自立した結いの社会を営んでおり、州と市行政との協働でまちづくりが進められています。」これが花巻の自治体の姿であります。
このようなまちを実現するためには、それぞれの地域が主体的に個性を発揮できる安定した仕組みがなければなりません。そこで、現在のコミュニティ会議と振興センターの内容や位置付けを条例で再整備し、コミュニティ会議の会長の身分を保証し、コミュニティ運営の財政基盤を整え、安定した地域づくりを進めていこうとするものが、「合衆市イーハトーブ花巻構想」であります。
一方、花巻市という自治体は花巻市民のものであり、決して国や県の出先機関ではありません。したがって市行政は、常に市民を向いて、市民のために、市の責任において柔軟に運営がなされるべきであり、これが地方分権時代のあるべき市行政の姿であります。
このような市行政を実現するためには、国や県を頼る中央集権から抜け出すことが必要です。そのため「地方公務員から市職員への意識改革を徹底し、更なる市民サービスの向上を図る」こと。そして「市行政の情報収集と発信能力を高め、市民との情報共有の高度化を図る」こと。さらに「責任ある堅実な財政運営により自立した自治体経営を行う」ことに取り組んでまいります。
そしてこれらにより、自治体自らの目標と意志を持った自立した「地方政府花巻市」を樹立していくのです。
まちづくりは、目前の課題に対応するのは当たり前。今ではなく、将来を考えるのが真のまちづくりです。
2010年、新たな時代を開く新たなまちづくり第二ステージの始まりです。私は、これまで築き上げてきた新生花巻市の基盤に立ち、新たな時代を開く2つの構想を展開して、未来につながる確かな自立した花巻市を築いていくため、全力を傾注して参ります。
平成22年度予算編成方針
次に新年度予算編成方針について申し上げます。
この度の平成22年度当初予算は、市長選挙を控えていたことから、骨格予算を基本に編成作業を進めるよう指示しておりましたが、再選後直ちに本格的な予算編成に着手し、可能な限り政策的経費を盛り込んだ予算としたところであります。
しかしながら、新たな施策につきましては、概ね年間ベースの財源を確保する目途は立てているものの、事業化に向けて十分な検討を要するなど時間的制約があったことから、今後、補正予算により対応してまいりたいと考えております。
また、緊急経済対策に対応した国の平成21年度第2次補正予算を踏まえ、地域活性化・きめ細かな臨時交付金などを活用した経済・雇用対策を積極的に実施するため、ご提案しております3月補正予算と一体となった予算編成を行ったところであり、これを含めまして実質的な年間予算となるものであります。
結果として平成22年度当初予算は、緊急的な対応としての「雇用対策と産業振興」、暮らしの面での「生活環境と高齢者支援」、人づくりの面での「教育環境整備」の3つの視点で、重点的な配分を行ない編成をいたしました。
平成22年度の主要施策
以下に新年度の主要施策について申し上げますが、まちづくりは、花巻市総合計画に則り、計画的かつ複合的に事業を推進していくことが基本となります。
一方で、総合計画の策定時から社会経済動向も大きく変化し、中間年度にも入ってくることから、見直しが必要となってきております。そこで私は、この度のマニフェストを作成するにあたり、総合計画の政策体系を大きく5つのジャンル、すなわち「しごと・暮らし・人づくり・地域・自立」に再編し、今後4年間の任期中に特に力を入れて取り組む、または新たな課題に対応する政策や施策、具体策について掲げたところであります。
したがって、マニフェストに掲げた5つの政策に沿って、主な施策について申し上げます。
第1に「しごと」、地域資源の連携強化で活力ある産業振興であります。
さまざまな産業振興策を展開する際に力を入れるべき分野を見極めるため、これまでの本市産業の動きを検証し、本市の特性を十分踏まえた上で、平成22年度内に花巻型産業構造を再構築いたします。また、医療機器関連・環境関連など、国内での成長が期待される分野を重点的に支援し、市内企業における自立的な転換を促してまいります。
雇用対策については、特に、就職が決まっていない新規高卒者の就職先を確保するための支援策を講じるとともに、高卒未就職者を含めた若年者対策を強化するため、花巻公共職業安定所及び岩手県と連携し、新たに「ジョブカフェ・花巻サテライト」を開設し、カウンセリング機能を含めた支援の充実を図ってまいります。
農林業については、産地確立対策から戸別所得補償モデル対策へと国の農業政策が転換することに伴い生ずる激変緩和措置として、担い手が雑穀やそばなどの生産を継続するための市独自の支援策を講じるとともに、間伐や松食い虫対策等により健全な森林整備に努めてまいります。
さらに、花巻産農畜産物の活用を促進するため、加工施設、産直施設及び農家レストラン等の施設整備に対して支援する制度を創設するとともに、雑穀を活用した料理コンテスト等によって農業の6次産業化を推進いたします。
地元企業の総合相談体制の充実については、起業化支援センターを中核施設として位置づけ、市内中小企業者の経営課題から自立的・戦略的な展開までの取組みをトータルでサポートしてまいります。
観光については、各種の観光PRやキャンペーン活動、花巻ブランドイメージ情報誌「花日和」の発行等により、外国人を含めた観光客の誘致を展開するとともに、新たな観光資源の発掘に努めてまいります。
中心市街地の賑わいづくりについては、まちの顔づくり事業を推進するほか、商店街に路上駐車場を設置するパーキングアベニュー事業の導入に取り組んでまいります。
第2に「暮らし」、安心・安全のネットワーク拡充で健康・快適な暮らしであります。
一人暮らしの高齢者や在宅介護者など、援助を必要とする方々がいらっしゃる家庭に出向く訪問相談活動を充実させるとともに、温泉施設の活用による高齢者の交流活動を支援する「湯のまちホット交流サービス」を実施いたします。
市民が安心して医療から保健・福祉サービスが連携して受けられる体制を整備し展開するため、居住する場所や医療環境を分析し、花巻市独自の医療圏を平成22年度内に設定いたします。
また、脳卒中患者の急性期から慢性期に至る医療機関の連携パスを地域まで延長し、慢性期の患者を地域福祉で受け入れて、患者や家族の負担を軽減する「医療・介護地域連携パス」を構築いたします。
市の医療圏設定とあわせて、消防署所の建替え整備及び人員を含めた消防救急体制を平成22年度内に再構築いたします。
市民との協働により安心安全な暮らしを確保するため、自主防災組織の立ち上げ支援、災害時要援護者支援マニュアルの作成及び共助の仕組みの構築、住宅用火災警報機の設置促進に努めるとともに、市内全域に緊急の防災・災害情報を迅速かつ同時に発信することができるようFM電波を利用した防災・災害情報提供の整備に取り組んでまいります。
市民生活に関わるあらゆる相談にワンストップで対応するため、市役所新館1階に「市民生活総合相談センター」を開設いたします。
生活環境については、家庭ごみが再び増加傾向にありますので、資源集団回収を奨励し、その他紙容器包装類と衣類の資源化の推進に取り組んでまいります。公共交通の空白地域対策として、病院連絡バスや石鳥谷地域に加えて東和地域においても試験運行を行い、デマンド交通の推進を図ってまいります。
また、快適な生活環境づくりを推進するため、水道未普及地区を対象に生活用水確保に向けた新たな助成制度を構築するほか、年間200基を目標に戸別浄化槽を整備してまいります。
第3に「人づくり」、地域で育む子育てと教育で心豊かな人づくりであります。
健常者から障がい者まで、保育から教育まで、さらには家庭内の相談など、こどもに関するあらゆる相談に対応できる総合センターを整備して、安心して子育てができる環境を充実していく「こどもの城」構想を具現化してまいります。
就学前教育の充実については、公私立の保育所・幼稚園、保護者、校長会、行政機関等の代表者による就学前教育振興会議において、乳幼児の健全育成のため、保育・教育について課題を共有し、改善の方向を探りながら取組みを推進いたします。また、家庭に対しては、子育てに参考となる情報の提供を行うとともに、相談に対応し、子育てに悩む保護者を支援してまいります。さらに、保育所・幼稚園、小学校と教育内容等の連携を図りながら、保育・教育の充実に努めるとともに、就学前のことばの発達に遅れの見られる幼児の早期の発見、指導を充実してまいります。
学力向上の推進については、個性や創造性の伸長を図るとともに、確かな学力を身につけるために市単独で学習支援員等を配置し、少人数指導や少人数学級等によるきめ細やかな指導の充実に努めます。また、教育の質の向上のために、教職員の資質向上に関する研修の充実に努めます。
特別支援教育及び学校適応指導の充実については、児童生徒のニーズに応じて支援が受けられるよう、ふれあい共育推進員を増員して支援体制の整備を図るとともに、「風の子ひろば」やスクールソーシャルワーカー等による教育相談体制の充実に努めます。
学区再編については、こどもたちにとって望ましい活力ある教育環境を実現するため、小規模学校の統廃合と一部地域における学区選択制の導入について、引き続き地域住民、保護者の方々と話し合いを進めてまいります。
生涯学習については、平成22年度から市内4箇所の生涯学習拠点施設に社会教育指導員を配置するなど、生涯学習の推進体制を充実させてまいります。
文化資源の継承・活用については、地域に伝わる民俗芸能の伝承活動を支援するため、郷土芸能鑑賞会や青少年郷土芸能フェスティバルを開催するとともに、市内にある文化財を広く紹介し、その保存活用を図ってまいります。
スポーツによるまちづくりについては、市内のスポーツ施設の整備とフル活用の方針を総合的に定めた「スポーツでまちづくり構想」を平成22年度内に構築いたします。
国際交流については、引き続き市民の国際感覚の醸成に努め、親善交流のみならず大連市西崗区との経済交流の可能性を追求してまいるほか、花巻国際交流協会との連携をいっそう強化し、平成22年度からワンフロア化を図ります。
第4に「地域」、都市内分権構築で市民参画・協働の結い社会であります。
合衆市イーハトーブ花巻構想については、平成23年度からの実施に向けて、地域の皆さんの意見を十分聞きながら様々な課題を検討整理し、条例整備を行ないます。
各地域のコミュニティ会議で定めている目標とする地域の将来像をわかり易く示すため、絵で描くための支援を行ってまいります。
また、まちづくり基本条例の理念に基づいた市民参画・協働によるまちづくりを進めるため、ガイドラインによる市民参画の推進及び協働方法等についての研究に取り組んでまいります。
第5に「自立」、市民の目線で自立する地方政府花巻市であります。
花巻市総合計画の策定時から社会経済動向も大きく変化し、中間年度にも入ってくることから、見直しを行ないます。
地方政府花巻市構想を展開するため、全庁意識改革推進プログラムを充実して推進し、市職員の意識改革を徹底いたします。
市政懇談会を振興センター単位で年2回春秋定期開催し、予算の説明などの行政情報の提供と地域住民の要望提言の聴取の充実を図るとともに、地域の統一要望や提言については、地域の代表者と関係部長によるまちづくり円卓会議を開催し、議論を深めてまいります。
今秋に開局が予定されているコミュニティFM放送については、新たな広報媒体として活用し、即時性の高い行政情報の提供を行い、身近な地域の生活情報の放送を通じて、市民の一体感のさらなる向上が図られるよう努めるとともに、FM電波を利用して市内全域へ防災・災害情報を同時発信するシステムの構築に取り組んでまいります。
自立と誇りを兼ね備えた躍動する花巻へ
あなたは自分の住んでいるところが好きですか。花巻が好きですか。大好きな花巻にしませんか!
まちづくりの原動力は私たち一人ひとりの力です。誰かにつくってもらうものではありません。今、私たちに求められているのは依存ではなく「自立への意識改革」なのです。そしてこのことは今からほぼ半世紀も前に、既に問いかけられているのです。
1961年、第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディは自身の就任演説の中で、国民にこう語りかけました。
"Ask not what your country can do for you‐
‐ask what you can do for your country."
「祖国があなたに何をしてくれるのかを尋ねてはなりません、
あなたが祖国のために何をできるのかを考えて欲しい」と。
花巻市が私たちに何をしてくれるのかを求めるのではなく、私たちが花巻市に何ができるのかを考えようではありませんか。
新市が誕生して4年の月日が経ちました。そして私は再び4年の時間いただきました。私は、新たに与えられた4年の任期を「市民の力・地域の力を結び、躍動する花巻を築いていく期間」と位置付け、まちづくりに邁進してまいりたいと考えております。
目指すは、安心して暮らせる自立した強いまち、自分の住んでいるところを誇りに思えるまちです。この自立と誇りを兼ね備えた躍動する花巻を市民の皆様とともに築き上げるため、全力でまちづくりに邁進してまいる所存であります。
市議会並びに市民の皆様の、一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。
花巻市長 大石 満雄
このページの作成担当
作成担当: 政策推進部広聴広報課
電話番号: 0198-24-2111(代表)
FAX番号: 0198-24-4034
メールアドレス: kouchou@city.hanamaki.iwate.jp
郵便番号: 025-8601 花巻市花城町9番30号