市長演述 平成18年第1回(平成18年3月議会)

平成18年第1回花巻市議会定例会 市長演述

はじめに

 平成18年第1回花巻市議会定例会の開会に当たり、市長就任後初の議会でもありますので、一言(いちごん)ご挨拶を申し上げますとともに、私の所信を申し述べ、市議会並びに市民の皆様の、ご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 私は、去る2月5日に執行されました市長選挙におきまして、市民の皆様の厳正な審判により、新・花巻市の初代市長として、合併後のまちづくりを託されました。このことは、この上ない光栄でありますとともに、その責任と使命の重さに、改めて身の引き締まる思いであります。

新市のスタート

 私は、合併協議会委員として合併の議論に直接かかわり、また、今回の市長選挙を通じ、合併に寄せる市民の大きな期待を感じてまいりました。
 それと同時に、「住民の声が届きにくくなるのではないか」、「生活が不便にならないか」、「地域格差が拡大しないか」、「地域の伝統や文化が失われないか」など、合併に伴う様々な不安を訴える声も伺ってきたところであります。
 まず、住民のこのような不安や懸念を払拭し、早期に花巻市民としての一体感の醸成を図ること、これが私に課せられた当面の責務であると痛感しています。
 四季折々に多彩な姿を見せる豊かな自然と、先人のたゆまぬ努力により育まれてきた貴重な歴史的・文化的遺産、恵まれた交通条件や優れた産業技術など、新市が有する豊富な地域資源を最大限に活用し、市民と行政が力を合わせて、活力と魅力あふれる産業の振興を図り、誰もが健康で安心して暮らすことができるまちづくりを目指して、地域相互の交流と連携を強力に推し進めていかなければなりません。
 私は、以上のことを念頭に置き、新生花巻市民10万6千人の先頭に立って、岩手県でいちばん「住みたいまち 訪れたいまち  強くて優しいまち」を実現し、市民すべてが「合併して良かった」と心から思うことができるよう、全力で市政運営に取り組む決意であります。

地方自治を取り巻く環境

 市政の舵取りを担うに当たり、始めに地方自治を取り巻く現実について、私が特に重要と考えております二つの点をここでお示しし、皆様にも認識を共有していただきたいものと存じております。

 まず第一は、右肩上がり経済が終焉(しゅうえん)し、国、地方とも膨大な借金を抱えている今日、戦後、連綿と続いてきた行政運営の仕組みを、根本から再構築しなければならない、ということであります。
 国と地方との関係では、平成12年の地方分権一括法の施行により、互いの役割分担が明確化され、国と地方は上下主従の関係から、対等と協力の関係へと大きく転換しました。同時に地方公共団体の裁量も拡大しましたが、その一方では、地方の自己責任の原則が徹底されることになりました。
 また、いわゆる三位一体改革によって、国は国庫補助負担金や地方交付税の改革、税源移譲を進めており、地方財政は一層の健全化と効率化に迫られています。
 他方、岩手県も、平成18年度を目途とする行財政構造改革プログラムに沿って、地方振興局の再編や市町村への権限移譲、職員の大幅削減といった、市町村の予想を超える大胆な取り組みを進めていることから、県と市町村との関係もこれから大きく様変わりするものと思われます。厳しい財政事情を背景に公共事業の圧縮、先送りも繰り返され、花巻空港整備の見直しなど、すでに本市にとっても重大な影響が及んでいます。
 このように私たちは、国や県に依存する旧来の行財政運営とは、一線を画(かく)する覚悟で臨まざるを得ない状況に、否応(いやおう)なく置かれていることを、まず、認識しなければなりません。それと同時に市民と市との関係についても、ともすれば行政主導、行政依存になりがちであった従来の行政運営から脱却し、納税者たる市民がまちづくりの主体を担う、「市民主権による地域経営」への転換を進める必要があると考えております。
 合併によって、歴史や慣習、実情が異なる地域が一つの市となりましたが、私は、互いの相違を格差ととらえる視点を乗り越え、それを個性と受け止めて、各々の地域の特色を活かしたまちづくりを進めることこそ、合併の効果が最大限に発揮されるものと確信しています。
 そのために「住民参加型の分権システム」を構築し、市民と行政との協働によって、個々の地域にふさわしい公共サービスを、主体的に提供できる体制を整えてまいりたいと存じております。

 認識すべき第二の点は、人口減少と急速に進む少子高齢化の現実を、安易な楽観論や希望的観測にとらわれることなく、しっかりと見据えていかなければならない、ということであります。
 昨年末に厚生労働省は、出生数が死亡数を下回り、わが国の人口は平成17年から減少し始める見通しであると発表しました。
 人口減少社会の到来は、政府機関の従来の予測より2年ほど早く、出生数、出生率とも毎年最低記録を更新し続け、国民の5人に一人は65歳以上の高齢者が占めるに至った今日、少子高齢化とそれに伴う人口減少が加速的に進行している実態が、ついに明白なものとなりました。
 本市では、この傾向が全国に先んじる速度で進行しており、20年前に約12パーセントであった高齢者の比率は、すでに25パーセントを超えてさらに増加する一方、年少人口と生産年齢人口は減少を続け、昨年実施された国勢調査の速報結果では、市全体の人口も5年前より2千百人余り減少したことが明らかになったところであります。
 さらには「2007年問題」と呼ばれる、いわゆる団塊世代の大量退職が間近に迫り、フリーターやニートといった定職を持たず、勤労意欲に欠ける若者も増加するなど、人口問題は単にその増減にとどまらず、世代構成の著しい不均衡や気質の変化も加わって、ますます解決が困難な状況となっています。
 この現実を目(ま)の当たりにすると、人口増加とかつての人口構造を前提に築かれてきた、わが国の産業経済や社会保障システムの維持が、容易ではない状況となっていることは明らかであります。
 人口減少と少子高齢化はまた、地方経済の縮小、ひいては税収の減少に直結します。全国で財政破綻の危機に直面している自治体が現実にあることを踏まえますと、一つ判断を誤れば、将来は道路や下水道といった社会資本の整備はおろか、それらの維持さえ困難な事態に陥る可能性が、本市にないと断言することはできません。住民に身近な福祉や教育、消防などの仕組みも、見直しの例外とはなり得ない現実にあることを、しっかりと認識しなければならないものと存じております。

 地方を取り巻く環境は、これまでの価値観や仕組みを根本から見直さざるを得ないほど、このように急速かつ激しく変化しています。また「昭和の合併」の直後、財政能力を上回る規模で新市建設事業を実施した結果、昭和30年代初頭の数年間、財政危機に陥った苦い歴史もあります。
 これまで誰も経験したことのない大きな変革と歴史の分岐点にある今、私は、これらの課題に正面から立ち向かい、過去の教訓にも学びながら、正しい将来予測と状況判断に立脚して政策を遂行するとともに、この合併を最大の好機ととらえて、新しい自治の仕組みを構築し、新しい花巻市の、新しいまちづくりを進める決意であります。

市政運営の基本方針

 今、花巻市は新たなスタート台に立ったところでありますが、申し上げるまでもなく、合併は目的ではなく、新たなるまちづくりのための第一歩であります。
 私は、新生花巻市の第一歩の足跡(そくせき)をここに印(しる)すにあたり、次の三つの基本方針、

  • 地域主権の市政
  • 民力発揮の市政
  • 強いまち=優しいまち

を掲げ、「新市建設計画」に謳(うた)われている将来像、「早池峰の風薫る  安らぎと活力にみちた イーハトーブはなまき」を実現する所存であります。
 まず「地域主権の市政」でありますが、生活者本位のまちを創るためには、行政だけではなく、住民の皆様の力が是非とも必要であります。生活者による、生活者のためのまちづくりを目指して、市民参画、市民協働の仕組みを構築してまいります。
 次の「民力発揮の市政」は、社会の急激な変化に即応した行政経営を実現するために、従来の観念や思考にとらわれることなく、民間の発想と手法を柔軟に取り入れ、生活者本位の行財政改革に取り組もうとするものであります。
 三つ目の「強いまち=優しいまち」は、市民満足度の高い、人に優しいまちを築くためには、経済と財政の基盤が堅固な、力強い都市を築かなければならないということであります。そのために、産業振興と未来を担う人材の育成に、特に力を注いでまいります。

重点政策・マニフェスト

 私は市長選挙において、この三つの基本方針に立脚しながら、新生花巻市を「岩手ナンバーワン」の地域とする具体的な方策として、マニフェストに六つの重点政策を掲げました。私がこれから取り組もうとしている主な政策を、以下にお示ししたいと存じます。

 第1に、地域資源の連携強化による「産業振興」に取り組んでまいります。
 地域経済の振興なしには、財政基盤を確立することも、人口減少社会に対応することもできません。地域の盛衰は産業振興に帰すると言っても過言ではなく、私は何よりもまず、地域の産業振興に最大の比重を置いて市政に臨む所存であります。
 まず農業は、従来の生産面の政策に加え、新たに第二次、第三次産業との融合に力を注ぎ、持続的に発展する、力強い産業に育成してまいります。
 本市農業の中核を担う水田農業は、これまでの水田農業ビジョンの実践を検証しつつ、新たな経営安定対策に対応できるよう、担い手の育成と支援に取り組みます。
 また、「日本一の雑穀産地  花巻」のさらなる推進のため、知名度の向上、商品開発、販路の拡大を支援するとともに、野菜や花き、果樹も、市場性の高い作目・品種の拡大や、品質の向上への取り組みを支援します。
 一方、エーデルワインや南部杜氏、いわて東和牛といった、それぞれの地域が長い年月と努力の末に育て上げ、地域銘柄としての地位を確立している特産品などは、そのブランドを守るとともに、合併で生まれた新市の総合力を活かして、生産と販売の拡大を支援してまいります。
 さらに、トレーサビリティシステムを導入した品目の拡大によって、地元産農産物の安心安全システムの構築に取り組むとともに、地産地消を推進するため、学校給食のほか、市内の宿泊施設、飲食店における消費拡大に努めていきます。
 次に、地域の経済と雇用の鍵を握る工業の振興については、産学官連携による強い地場産業を確立するため、起業化支援センターを中核とする産学共同研究事業などの推進により、新産業の育成に取り組みます。
 また、自動車やデバイス関連産業などの製造業の誘致に全力で取り組むとともに、県央の高速交通拠点としての本市の利点を活かし、空陸交通ネットワークの高度利用企業の集積を図るため、既存の工業団地、流通業務団地などへの誘致を促進します。
 商店街の活性化については、それぞれの地域の中心市街地に、定住人口を増加させる方策を検討するとともに、特色ある商店街づくりを支援します。
 雇用促進については、製造業のほか、福祉介護関連などを含む、多様なサービス産業の誘致と育成を通じて、新規雇用の創出に努めるとともに、ジョブサポートセンターの充実による若年者の雇用支援や、小中学生の段階から職業意識を高める教育に努めてまいります。

 重点政策の第2として、交流・移住人口の増加策による「訪れたい、住みたい」まちづくりに取り組みます。
 観光客の増加を図るためには、多くの市民が観光客を温かく迎え、もてなすことのできる「まちぐるみ観光サービス産業化」に取り組む必要があります。柔軟な発想で観光客の多様なニーズに応えるため、観光協会を強化するとともに、花巻・大迫・石鳥谷・東和の観光資源を有機的に結ぶ環状観光ルートを構築し、本市の魅力ある観光資源を発信しながら、観光客の増加に努めていきます。
 また、いわて花巻空港を利用した外国人観光客の誘客を図るため、引き続き中国などの近隣諸国へ積極的に宣伝活動を展開するとともに、都市住民との交流促進を図るため、グリーンツーリズムの振興など、農業や工業と組み合わせた観光融合産業の創出に取り組んでまいります。
 さらに、団塊の世代を中心に、県内外からの移住・定住化、二地域居住の促進を図るとともに、そのノウハウを産業振興に活かすため、「産業サポートチーム」の設立を検討いたします。
 「住みたいまち」の実現には、自然環境の保全と生活環境の向上も欠くことはできません。自然環境については、森林や河川、早池峰国定公園の保全など、広範な人々の参画を得て、人と自然の共生に努めてまいります。
 ごみ、廃棄物の減量化については、産業廃棄物の発生抑制やリサイクルの促進による、ゼロエミッションの取り組みを支援するとともに、家庭から排出されるごみの減量化に向け、市民意識の啓発にさらに努力いたします。
 水環境、生活環境の改善を図るために必要な汚水処理施設の整備については、経済性と効率性を見極めながら、地域の実情に応じ、公共下水道、農業集落排水、浄化槽の計画的な整備を進めます。

 第3は、保健・医療・福祉のネットワーク拡充による安心生活であります。
 ここ数年来、病院の統合や廃止、産科・小児科の医師不足、また、少子高齢社会による生活形態の変化など、地域の保健医療と福祉をめぐる環境が激変し、市民は大きな不安を抱いています。私は、誰もが安心して、健やかな毎日を送ることができるよう、これらの懸念を払拭するとともに、様々な環境の変化に対応するために、保健と医療、福祉が一体となった体制を築く必要があると考えております。
 地域の医療機関と、保健・福祉サービスを担う機関との連携を強めて、相互の充実を図るとともに、高齢者、障害者の視点を重視した真のノーマライゼーションを実現するため、NPO等との連携や庁内における横断的な取り組みを進めてまいります。
 一方、平成20年度には、県立花巻厚生病院が統合移転いたしますが、その後の地域医療体制については、統合新病院と、石鳥谷医療センターや県立大迫病院・東和病院を含む市内の医療機関との病診連携を図り、医療の質が確保されるよう努めます。
 岩手労災病院については、円滑に施設が移譲されるよう引き続き関係機関に要請を行い、後医療の確保に尽力いたします。
 深刻さを増す産科、小児科医師の不足については、県医療局や医師会、市民と問題意識を共有しながら、関係機関と連携して医師確保などに取り組みます。

 第4に、地域で支える子育てと教育による「人材育成」に取り組んでまいります。
 少子化対策とともに、将来を担う人材の育成は、地域の発展にとって欠くことができないものであり、厳しい状況にあっても子育てと教育に関しては、着実な取り組みが必要であります。
 まず子育て支援については、物心ともに安心して子どもを育てられる環境づくりに努め、乳幼児に対する医療費給付などを強化するとともに、幼保一元化を含めて子どもの発達に合わせた保育と幼児教育のあり方を検討します。
 また、市内すべての保育所が、保護者ニーズに配慮した多様な保育に対応できるよう努めるとともに、保健師と保育士がともに子育てを支援する仕組みや「こども相談センター」の設置を検討します。
 次に教育については、児童生徒の健全な育成を図り、安全を確保する上で、まず、地域の教育力の向上が不可欠であります。このため地域の教育振興組織の活動を支援し、その充実を図るとともに、地域の声を教育行政に反映させるため、学校、地域、家庭と教育委員会との連携強化を図ってまいります。
 学校教育の充実については、少人数指導支援の取り組みを進めながら、少人数教育のあり方を検討するとともに、不登校児童生徒の減少や、障害を持つ児童生徒に対する特別支援教育の充実を図るため、必要な相談員、補助員の配置に取り組みます。
 また、通学の実態、将来における児童生徒数の推移などを見極めて、学区のあり方や学校施設の整備を検討するほか、国際人を養成する教育や、道徳・環境・伝統・地域産業教育を推進するため、特色ある学校カリキュラムの編成を検討してまいります。
 スポーツについては、学校スポーツやスポーツ少年団への支援、指導者の育成、各種の大会やイベントの開催支援などを通じ、その振興に努めるとともに、整った競技施設と多数の宿泊施設、抜きん出た交通利便性を有する本市の特徴を活かし、スポーツイベントやスポーツ合宿などを積極的に誘致いたします。
 芸術文化の振興については、市民の主体的な活動を支援するほか、引き続き郷土芸能の継承、保存活動を支援し、全国への発信にも努めてまいります。
 また、教育委員会のあり方、市長部局との役割分担など、教育行政の改革にも取り組む必要があると考えております。

 第5に、都市内分権による市民参画、協働のまちづくりを進めます。
 生活者本位のまちづくりを実現するためには、「地域のことは地域で」を基本に、住民が自分の地域について考え、決定し、行動する仕組みの構築が必要であります。
 そのため、おおむね地区公民館を単位として、地域住民による「地域コミュニティ会議」を設置するとともに、自治活動を支援する「地域づくり支援職員」の配置、基本的な窓口業務の開設など、「小さな市役所構想」の実現に向けた検討を、地域の皆様とも十分に協議しながら進めてまいります。
 また、市民と行政との協働で新市のまちづくりに取り組むため、「まちづくり基本条例」の制定を検討するとともに、住民組織やNPOとの連携を促進します。
 市民参画を進める上では、住民と行政とが互いに情報を共有することも不可欠であることから、行政情報の公開と広報活動に努めるとともに、新たに「移動市長室」を設け、総合支所にも積極的に出向くなど、市民との対話と意見交換に努めてまいります。
 防災、減災体制の充実については、地域の実情に応じて、自主防災組織の設置と育成を図るとともに、災害訓練の充実など大規模災害への対応に取り組んでまいります。
 男女共同参画社会の実現については、市民の参画を得ながら、推進条例に基づいて、新市における基本計画を策定するとともに、啓発事業の充実を図ります。

 第6に、生活者本位の行政を推進し、市民サービスの充実に努めてまいります。
 まず、市民の日常生活と密着している窓口部門の休日開庁を、コストや効果の十分な検討を踏まえながら、可能な限り早期に実現したいと考えております。
 このような従来の「常識」を超えた市政の改革に取り組むためには、職員一人ひとりが改革の意識を持ち、市民の負託に応えるため自己の能力を十分に発揮しようとする意欲を持たなければなりません。職員の意識改革を図ると同時に、効率的で透明性の高い行政経営を実現するため、新市の総合計画の策定と並行して、行政評価システムの導入に取り組んでまいります。
 行財政改革については、事務事業を不断に見直しながら、施設管理に指定管理者制度を積極的に導入するほか、民間によるサービスの提供が可能なものは、民営化や外部委託に取り組みます。
 また、庁内人事や組織体制に関しては、意思決定の迅速化や政策重視の行政への転換、住民本位の行政経営を図るため、合併後の状況を考慮しつつ、その在り方を検討します。
 健全財政の確立については、歳出の徹底した合理化と歳入の確保に努めるとともに、地方債の発行を抑制して地方債残高の削減を図り、持続可能な自立性の高い健全財政を確立します。

新年度予算編成方針

 平成18年度は、三位一体改革が推進される中にあって、引き続き大幅な財源不足が見込まれることから、本定例会でご審議いただく平成18年度当初予算案は、国の地方財政対策のもと、財源の安定的な確保に努めるとともに、合併協定を踏まえながら事務事業の見直しを行うなど、重点的、効率的な配分に努めたところであります。
 私は、自分自身の目で、合併協議の経過や結果を改めて検証しながら、選挙において訴え、市民の皆様から強くご要望があった事柄を施策に反映させたいと存じておりますが、そのためには個々の事業の内容を十分に検討する時間が必要であります。
 したがいまして、今議会においては義務的経費、経常的経費を中心とした骨格予算を付議し、新規事業や政策的経費の予算については、6月定例会においてご審議いただくこととしておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。

むすび

今年で生誕150年を迎える本市出身の佐藤昌介は、札幌農学校でクラーク博士の薫陶を受け、後に初代北海道大学総長となって、広く世の発展に貢献する人材の育成にその生涯を捧げ、今も「北大の父」と讃えられている郷土の偉人であります。
 激動の明治大正期にあって、佐藤昌介は、「大学運営には財政的に独立した権限を持たなければならない」と唱え、大学近郊に広大な実習農場を独自に確保しましたが、それらの財産が後に、北海道大学が総合大学として発展する礎(いしずえ)となったと言われております。
 私は、力強いまちづくりと都市内分権を提唱しておりますが、これは、確固たる基盤を確立した上で、それぞれが独自性を発揮するべきとする、佐藤昌介の理念とも相通じるものであります。
 この先人の教えを地域経営の根本に据え、合併で大きく拡がった地域の資源を最大限に活用し、盤石(ばんじゃく)な都市基盤を築き上げるとともに、住民の力を結集して、地域づくりに活かす仕組みを構築していきたいものと存じております。
 私は、マニフェストを明らかにしております。行政経営体の最高責任者として、その不断の検証を通じ、自ら掲げた政策に、自ら責任を課しながら、既存の概念にとらわれない市政運営を行い、自立した市民と行政との協働による、「岩手ナンバーワン」のまちづくりを進める決意を、ここで改めて表明いたします。

 結びに、市民並びに議員の皆様の、一層のご理解とご協力を衷心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

  花巻市長  大石 満雄

 

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