市長演述 平成19年第1回(平成19年3月議会)

平成19年第1回花巻市議会定例会  市長演述要旨

はじめに

 本日、平成19年第1回花巻市議会定例会が開催されるに当たり、平成19年度の市政運営について、私の所信の一端を申し上げます。市議会並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 昨年1月1日に1市3町が合併し、新しい「花巻市」がスタートいたしましたが、平成18年は正に、市制施行元年として歴史に刻まれる記念すべき年であったと思います。と同時に、この一年は新しい花巻市の準備の年、基礎づくりの年でもあったものと思います。
 そして、いよいよ平成19年度は、花巻市総合計画に基づいた本格的なまちづくりがスタートする年度となります。

市政を取り巻く状況

 さて、我が国の経済は、戦後最長の「いざなぎ景気」を超えて景気回復が続いており、県内経済も製造業を中心としておだやかな回復を続けていると言われております。しかし、個人消費が回復していないことや大都市圏と地方との経済格差の拡大を指摘されるなど、景気拡大の期間が戦後最長になったとは言うものの、地方では回復感に乏しいのが現状であります。
 また、昨年、厚生労働省から公表された「日本の将来推計人口」によると、日本の総人口は2055年には、現在より約3,800万人少ない、8,993万人まで減少するとの予測が出されました。出生率が現状から回復せず、超少子高齢化時代が到来すると公表したことは、極めて深刻な日本の将来像を突きつけられたものと言えます。
 花巻市の総人口は、約10万6千人でありますが、実は平成13年度から既に減少に転じており、本市の将来人口推計でも今後引き続き減少していくことが見込まれています。
 さらに、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」に基づく、国と地方の役割分担を見直すための「地方分権改革推進法」が昨年成立したことにより、国から地方への権限移譲を柱とする第二期分権改革の議論が活発になるものと思われます。すなわち、今後、地方公共団体が自らの判断と責任において行政を運営することが、ますます求められてくるのであります。

これからの進むべき方向

 このように、地方自治体をめぐる社会経済情勢や行財政環境は大きく変化しております。この変革の時代に、最も重要なことは、地方自治体の自立性をいかに高めていくかということであり、今後、国や県と対等な立場に立って、しっかりと自治体を経営していくことが必要であると考えております。

私は折にふれ、職員に話をいたしております、「私たちの仕事は大きく言って二つあります。一つは国民、市民の皆様からお預かりした税金で、市民のためのサービスを提供すること、そして、もう一つは、私たち自身が生きていく、生活していくために花巻市という会社を健全に経営していくことです。」と。職員と一丸となって都市内分権や市役所改革を進めながら、あらゆる課題をタイムリーに、スピーディーに、そして、柔軟に、よりよい方向にリードしていくことが、私の責務であると思っております。
 かつて日本は、戦後の経済復興のため、全国民が一生懸命働きました。そして、健康で真面目にさえ働けば何とか生活できるようになった時代が訪れました。その時代はまだまだ物の面からの経済は豊かではありませんでしたが、人と人との繋がりが強く、お互い助け合いながら地域社会が営まれていました。しかし、さらに経済が大きくなり続けたことにより、これまで隣近所、地域の中での互助により行われてきた事までが行政サービスとして求められるようになりました。すなわち、個人と個人、家庭と家庭など隣近所や地域の中の互助の関係から、個人と行政、家庭と行政、地域と行政と言うように行政との関係へと変化していったのであります。これにより、人と人との繋がりは希薄化し、代わりに行政サービスのための経費は膨大に膨れ上がって行ったのであります。

 人口減少社会がいよいよ現実のものとなってきた今、人口が増え経済も成長し歳入が膨らむ時代とは全く違うまちづくりを構築していかなければなりません。日本は、物の豊かさの面からすれば既に経済的に成熟した社会に達しています。しかしこれからは、本当の意味での成熟社会を作り上げる時代に入ったことを認識しなければなりません。
 そのためには、まず、行政に対する要望姿勢から自立への市民意識の改革と、行政主導によるサービス提供者からコーディネーターへの市職員の意識改革を図っていかなくてはなりません。そして、限られた財源である税金で行う市民サービスをより厳選するとともに、かつての良い社会であった人と人との繋がりの強い互助社会を再生することによって、自立した市民と自立した行政との協働社会を、市民の皆様と一緒になって構築して行きたいと考えております。

 さて、実質合併2年目となります平成19年度の市政を運営して行くに当たり、総合計画に定めた本市の将来都市像「早池峰の風薫る 安らぎと活力にみちた イーハトーブはなまき」と、その実現に向けた街づくりの基本理念であります「強くて優しいまちづくり」「市民参画・協働のまちづくり」を着実に推進しなければなりません。
 私は、まちづくりには「動き」が必要だと思っております。しかも、新しい動きです。市内のあちらこちらで新しい動きが生まれる、それによってまちに活気が生まれるのです。平成19年度は、この新たな動き「新動」という二文字を新しいまちづくりのキーワードに掲げ、邁進してまいりたいと思います。

平成19年度の予算編成方針について

 以上、今後の市政運営に当たっての基本方針について申し上げましたが、平成19年度の予算編成に当たりましては、合併による交付税算定や特例債、補助金等のメリットを生かしながらも、国の構造改革による国庫補助負担金の廃止・縮減や地方交付税制度改革などにより、大幅な財源不足が見込まれることから、国の地方財政対策のもと、財源の安定的な確保と歳出経費全般にわたる抑制を行い、事務事業の重点的、かつ、効率的な配分に努めたところであります。
 また、事業の調整に際しては、優先度・緊急度を勘案し、実施年度や事業内容の見直しなど、後年度負担の抑制と、中・長期の財政見通しに立った事業の平準化に努めたところであります。
 以下、平成19年度の重点施策について、花巻市総合計画に掲げる政策に沿って申し上げます。

平成19年度の重点施策

第1は、地域資源の連携強化で産業振興のまちづくりであります。
 私は、地域経済の振興に比重をおいた施策の展開を図りたいと考えておりますが、この4月から、市の農政課と花巻農協とのワンフロア化を実現し、一体となって農政を推進することにより、2次・3次産業との融合に力を入れた強い1次産業の育成に努めてまいります。
 まず、平成19年度から始まる品目横断的経営安定対策については、水稲生産農家の加入が今後の本市の水田農業の振興に大きく影響することから、意欲ある農業経営者の育成と対策加入への支援を実施するとともに、農地・水・環境保全向上対策への円滑な対応を図ってまいります。
 また、2次・3次産業との融合化を推進するため、農産物の付加価値を高める商品開発を支援するとともに、バイオマス資源の利活用による循環型システム社会の形成に努めてまいります。
 さらに、農林業体験活動や交流プログラムの開発に努め、観光産業との融合化を図りながら、本市の特色を生かしたグリーンツーリズムを推進してまいります。
 次に、地域経済を支える2次産業の振興については、内発型振興策の中核をなす起業化支援センター事業の拡充による新産業の創出に努めるほか、岩手大学工学部の複合デバイス技術研究センターの設置による産学共同研究を推進してまいります。
 また、民間活力を生かした地域企業支援ネットワークを構築するとともに、今後の工業生産の核となる新たな産業の創出を図るため、自動車関連産業の浸透に向けた設備投資、技術移転に対する支援を積極的に行い、地場産業の確立を図ってまいります。
 企業誘致の推進については、多様化する企業ニーズに的確に対応し、高速交通網が整った本市の優位性を生かした立地誘導に努めるとともに、既に立地した企業へのきめ細かいフォローアップを行い、新たな事業拡大に向けた要請と支援に努めてまいります。
 商店街の再生については、商店街で開催されるイベントなどにより、観光客や市民が中心市街地を訪れ、交流する機会を創出するほか、街中への居住が進むよう支援に努めてまいります。
 また、商店街関係者と連携し、新規出店者の経営が軌道に乗るまでの支援に取り組むほか、資金が十分でなく経験の浅い新規の開業者を対象に、商業版のインキュベート施設として、チャレンジショップの開設に取り組んでまいります。
 雇用促進については、企業誘致の推進による新たな雇用の場の創出に努めるなど、雇用枠の拡大に向け取り組んでまいります。
 また、関係機関との連携による地域雇用情勢の的確な把握と検証に努めるとともに、若年者雇用対策については、花巻市ジョブ・サポートセンターとの連携による体制の充実に努めてまいります。
 ICTの推進については、光接続サービスエリアの拡大に努めるほか、地形的な条件から携帯電話が利用できない地域の解消のため、その実態を調査しながら、情報通信基盤の整備に努めてまいります。

第2は、交流・移住人口増加で訪れたい・住みたいまちづくりであります。
 私は、魅力ある観光資源の活用を通じて交流人口の増加を図るとともに、居住環境や便利で快適な交通体系の整備を進めることにより、交流人口を定住人口へと誘導したいと考えております。
 まず、まちぐるみ観光サービスの産業化についてでありますが、観光協会の合併による組織強化を図り、地域の特色を生かした観光事業を推進するとともに、観光キャンペーンの実施や外国人観光客の誘致を図ってまいります。
 また、広域化した観光資源や施設を結ぶ「観光環状ルート」を設定するほか、市民挙げてのおもてなしの心の醸成や地場産品の販路拡大に努めてまいります。
 団塊世代の誘致促進策としては、積極的な情報発信により交流人口や移住人口の増加を目指し、県内外からの移住・定住と二地域居住の促進を図ります。
 人と自然が共生できる環境づくりについては、環境基本計画の平成19年度内の策定を進めるほか、リデュース、リユース、リサイクルの3Rを基本として、より一層のごみの減量化と資源化を推進してまいります。
 良好な市街地の形成については、公園整備を進めるほか、県立新統合病院へのアクセス道路となる山の神藤沢町線などの整備を促進してまいります。
 快適で便利な道路網と公共交通体系の構築については、いわて花巻空港の新ターミナルビルが、いよいよ平成18年度内に着工し、21年春の供用開始を目指すと発表されたところであり、今後は、早期の整備促進について、県を始めとする関係機関に強く要望してまいります。
 また、東北横断自動車道釜石秋田線の東和インターチェンジ以東の早期の全線整備など、高速交通網との連携と地域間交流の確保に向けて、関係機関に要望してまいります。
 さらに、市道の整備を着実に推進するほか、電線類地中化や歩道のバリアフリー化を進めるとともに、既存バス路線の維持確保と総合的な公共交通計画を策定してまいります。
 住環境づくりについては、上水道事業により、安全な水の安定的な供給を進めるとともに、簡易水道の事業統合と水道料金の統一に向けて取り組んでまいります。
 また、公共下水道、農業集落排水、浄化槽整備の3事業を連携させ、効率的で経済的な汚水処理を推進するとともに、市営住宅の建設や環境整備を進めてまいります。

第3は、保健・医療・福祉のネットワーク拡充で安心のまちづくりであります。
 まず、健康づくりについては、各種予防接種や健康診査等を実施し、要医療や要精密検査と判定された方に対して、医療機関への早期受診の勧奨を行うとともに、健康相談・健康教育の推進に取り組んでまいります。
 また、国民健康保険事業と老人保健事業の円滑な運営に努めるとともに、疾病の予防と医療費の抑制に繋げるため、ヘルスアップモデル事業を実施し、きめ細かな生活習慣改善指導を行います。
 地域医療の充実については、在宅当番医制の実施など、医療体制の充実に努めるほか、岩手労災病院の後継医療の円滑な病院運営等が確保されるよう、必要な支援を行ってまいります。
 また、かかりつけ医と総合病院の機能分担、連携による医療提供体制について、花巻市医師会等と連携を図り検討してまいります。
 ノーマライゼーションへの取り組みについては、介護保険制度や障害者自立支援法に基づく各種の在宅サービスや高齢者住宅改造事業、障害者地域生活支援事業などを引き続き実施するとともに、高齢者や障害者の相談支援体制を整えるほか、地域福祉活動に対する積極的な支援により、住民が互いに支えあう環境づくりに努めてまいります。
 また、介護保険施設や障害者施設などの有効活用と適切なサービスの提供に努めるとともに、障害者の社会参加促進事業や老人クラブへの支援などにより、高齢者も障害者も地域の一員として積極的に社会参加できる環境づくりに努めます。

第4に、地域で支える子育てと教育のまちづくりであります。
 まず、子育て支援についてでありますが、保育所の定員数を公立、法人立合わせて50人増員するほか、乳児保育の受け入れ枠を拡大するとともに、一時保育の実施箇所を増設します。
 また、子育て支援のワンストップサービス機能を持つ「こどもセンター」を新たに設置するとともに、学童クラブと放課後子ども教室の連携により、放課後における安心、安全な子どもの居場所づくりを推進するほか、幼児教育と親の就労の有無に関わらず保育サービスを一体的に提供する「認定こども園」の設置について、関係機関と協議を進めてまいります。
 さらに、保育料の負担軽減を引き続き実施するとともに、母子家庭自立支援教育訓練給付金事業により、新たに母子家庭の経済的な安定と自立を図る事業に取り組んでまいります。
 学校教育については、施設整備や耐震補強工事を計画的に実施するほか、西南中学校と石鳥谷中学校の校舎改築事業を引き続き進めるとともに、統合東和小学校の新築整備に向けた取組を進めてまいります。
 また、児童・生徒一人ひとりの基礎的・基本的な学力や学ぶ意欲と態度が身に付くよう取り組むほか、職業観や勤労意欲の育成と国際的視野を広げるための中国語学習等を推進してまいります。
 さらに、幼児期のしつけ等の重要性が高まっていることから、市長部局と教育委員会の連携により、就学前教育の充実に取り組んでまいります。
 生涯スポーツについては、体育の日イベントを開催するなど、ニーズに対応した生涯スポーツの普及・啓発や指導者の養成に努めるとともに、多様なスポーツに対応できる体育施設の提供に努めてまいります。
 芸術文化の振興については、市民・文化団体が芸術文化活動に参加できるよう、その自主的な活動を支援するとともに、埋蔵文化財の拠点施設として、(仮称)総合文化財センターの建設に向けた取組を進めてまいります。
 生涯学習の推進については、市民自ら意欲的に学ぶ生涯学習環境づくりのため、生涯学園都市会館や振興センター等を拠点として、個人の学習ニーズに応じた事業を展開してまいります。
 国際交流については、姉妹都市でありますホットスプリングス市の国立公園の創立175周年記念式典に参加するほか、ラットランド市、ベルンドルフ市との交流を推進してまいります。
 国内交流については、平塚市との交流が25周年を迎えることから、「湘南ひらつか七夕まつり」へ市民と郷土芸能を派遣する記念事業の実施などにより、友好都市交流を深めてまいります。

第5に、都市内分権構築で市民参画・協働のまちづくりであります。
 まず、小さな市役所構想についてでありますが、市内26箇所に振興センターを設置し、地域の皆様が主体となってまちづくりを推進するための地域づくり交付金を措置し、地域特性を生かした地域づくりを推進するほか、各種証明書を発行する窓口業務も行い、市民の利便性向上に努めてまいります。
 新花巻市のシンボルとして、このほど花は「ハヤチネウスユキソウ」、鳥は「フクロウ」、木は「コブシ」と決定になったことから、これら花鳥木の普及をしながら、市民としての一体感の醸成を図ってまいります。
 また、今年度制定した市民憲章については、今後、市民への啓発普及を図るとともに、「まちづくり基本条例」と市民歌については、平成19年度内の制定に取り組んでまいります。
 防災体制・減災対策については、自主防災組織の重要性の啓発と立ち上げの支援に努めるとともに、市民参加型の総合防災訓練の実施や備蓄資機材の充実に努めてまいります。
 また、木造住宅の耐震診断を実施し、耐震強度の不足が判明した住宅の耐震化を促進するため、耐震補強工事を支援してまいります。
 男女共同参画社会の推進については、新たに専任体制の男女共同参画推進室を設置し、男女が対等なパートナーとして生き生きと暮らすことができる男女共同参画社会の実現に向け、市民の意識の浸透に努めてまいります。

第6は、市民本位の行政のまちづくりであります。
 まず、窓口サービスについては、窓口職員の接遇水準の向上と安心して相談できる窓口応対の推進に努めるほか、土日開庁については、実施状況を検証しながら見直しを行うとともに、総合窓口制導入について検討を進めてまいります。
 職員の意識改革と育成については、民間企業へ派遣するなど各種職員研修の充実を図るとともに、花巻市人材育成基本方針を推進し、高い意欲と職務能力を持った職員の育成に努めてまいります。
 総合計画の推進については、行政評価システムの手法を取り入れながら進行管理を行うとともに、事務事業の再編・整理や民間委託の推進、第三セクターの見直しなど、積極的な行政改革に取り組んでまいります。
 人事システムと組織については、人事評価制度を導入し、適材適所の人事配置に努めるとともに、簡素で効率的な組織体制の構築や定員の適正化を図ってまいります。また、集中的、迅速に課題に対応するためのプロジェクト推進室とサービスの行き届いた対応をするためのイベント推進室を新たに設置いたします。
 広報広聴活動については、市民に分かりやすい「広報はなまき」の発行や市のホームページの充実に努めるとともに、「市民懇談会」や「地区懇談会」の開催、「市長へのはがき・メール」により、市民の皆様が気軽に意見・提言を寄せられる機会の確保に努めてまいります。
 健全財政の確立については、市税収納率の向上をはじめとする一般財源の確保に努めるとともに、中・長期の財政計画に沿った歳出全般の見直しを図り、地方債残高の削減とプライマリーバランスの確保に努めてまいります。

むすびに

 以上、市政運営の基本方針と平成19年度の重点施策について申し上げましたが、私は、市が発展するということは、それぞれの地域の特色が生かされ、持続されることだと思っております。特色あるそれぞれの地域が自ら動きはじめ、それが全て集まることによって、花巻市が光輝くものと思っております。
 私は、高大な理想を持って花巻市の礎を築いてきた先人の気概を範としながら、新しい花巻市の土台を築いていくため、より強固な市政運営の基盤を構築し、将来に引き継いでいくことが使命であると考えております。
 マニフェストに掲げております、「新生はなまき岩手ナンバーワン」を目指して、市民の皆様と一緒になって新たな動きを一つずつ確実なものにしながら、強くて優しいまちづくり、そして、市民参画・協働のまちづくりの実現に向けて、最大限の努力を傾注してまいります。

終わりに、市議会並びに市民の皆様の、一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

  花巻市長  大石 満雄

 

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