農業者の皆様へ「環境保全型農業直接支払交付金」について
環境保全型農業直接支払交付金
環境保全型農業とは
環境保全型農業とは、「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくりなどを通じて化学肥料、農薬の使用などによる環境負荷の軽減に配慮した持続的農業」です。
(注)農林水産省環境保全型農業推進本部「環境保全型農業の基本的考え方」(1994年4月)より
環境問題に対する関心が高まる中、農業生産全体の在り方を環境保全を重視したものに転換し、地球温暖化防止や生物多様性保全に積極的に取り組むことが重要となっています。
環境保全型農業直接支払交付金の概要
環境保全型農業直接支払交付金は、地球温暖化防止のために、二酸化炭素の吸収源として農地土壌へ炭素貯留する営農活動や、農業に有用な生物多様性の保全に効果の高い営農活動に取り組む農業者団体等に対して、国と地方公共団体から補助金を交付し支援する制度として、平成23年度から行っています。
平成27年度からは多面的機能発揮促進法に基づく制度として、地域内の農業者が共同、連携して環境にやさしい農業に取り組む活動を支援しています。
対象農業者
農業者の組織する団体
複数の農業者又は複数の農業者と地域住民等、地域の実情に応じた方々によって構成される任意組織(農業者団体)が対象となります。代表者、組織の規約を定めるとともに、組織としての口座の開設が必要となります。
一定の条件を満たす農業者
単独で事業を実施しようとする農業者は以下のいずれかの条件に該当し、市が特に認める場合に対象となります。
- 集落の耕地面積の一定割合以上の農地において、対象活動を行う農業者。
対象活動の取組面積が、自身の耕作する農業集落の耕地面積の概ね2分の1以上となる農業者(同一市町村内の複数の農業集落で対象活動を行う場合は、いずれかの農業集落で2分の1以上の割合を超える必要があります)。
同一市町村内の対象活動の取組面積が、全国の農業集落の平均耕地面積の概ね2分の1以上となる農業者。 - 複数の農業者で構成される法人(農業協同組合を除く)。
注意)いずれの対象農業者も、化学肥料・化学合成農薬の5割以上の低減又は有機農業を行う作物について、販売を目的に生産すること及び、みどりのチェックシートの取り組みを実施することが必須となります。
みどりのチェックシートとは
これまで「国際水準GAPの実施」としていた事業要件を令和4年度からみどりの食料システム戦略を踏まえ、「持続可能な農業生産にかかる取り組みを実施すること」に変更に伴い新たに取り入れられた取組になります。
令和4年度からはこれまでの「GAP理解度・実施内容確認書」に代わり、「みどりのチェックシート」の提出が必須となります。
環境保全型農業直接支払交付金制度においての取組内容は以下のとおりです。
- みどりのチェックシートの取組に関する指導・研修を受講してください。
・地方公共団体が主催する研修 ・GAP指導者による指導
・農林水産省提供のオンライン研修 ・民間団体が主催する研修 など - みどりのチェックシートの取組を実施してください。
1.で学んだ内容に基づいて、取組を実施します。
・化学合成農薬の使用量低減 ・化学肥料の使用量低減
・温室効果ガス、廃棄物の排出削減 ・農作業安全 - みどりのチェックシートを提出してください。
「みどりのチェックシート」の取組のすべての項目を実施し、実施した項目にチェックマークを記入します(ただし、該当しない場合は除きます)。
注意)1.の指導、研修会は毎年受講です。
注意)1.の指導、研修会を受講できなかった場合は、農林水産省HPに掲載されているオンライン研修を受け、終了証を提出することで研修会の代わりとなります。
注意)2.のみどりのチェックシートの取組を行ったことを証明する書類を保管してください(ただし、証明する書類を作成することが困難な取組を実施した場合は不要です 例:ミーティング中の定期的な危険個所の情報共有等)。
対象となる農地
農業振興地域内(農業振興地域に関する法律第6条第1項により指定された地域)の農地
支援対象取組および支援単価
支援の対象となるには、化学肥料及び化学合成農薬の使用を岩手県の慣行レベルから原則5割以上低減する取り組みと合わせて、以下の取り組みを行うことが必要です。
なお、本制度は予算の範囲内で交付金を交付する仕組みであり、申請額が予算額を上回った場合、交付額が減額されることがありますので、ご留意願います。また、交付金の配分にあたっては、国の方針(地球温暖化対策計画及び有機農業基本方針)に基づき、全国共通取組(有機農業、カバークロップ、炭素貯留効果の高い堆肥の水質保全に資する施用)が優先されますのでご留意願います。
1 有機農業(化学肥料・農薬を使用しない取り組み)
取組要件
- 化学肥料、化学合成農薬を使用しない栽培を行うこと
- 都道府県の「持続性の高い農業生産方式の導入に関する指針」に定められた土づくり技術を導入していること
- 農薬等の圃場への流入防止措置がとられていること
- 播種又は植付け前2年以上使用禁止材を使用しないこと
- 組換えDNA技術の利用や放射線照射を行わないこと
支援単価
- そば等雑穀、飼料作物以外:10アール当たり12,000円
このうち、炭素貯留効果の高い有機農業(堆肥の施用、カバークロップ、リビングマルチ、草生栽培)を実施する場合に限り2,000円を加算 - そば等雑穀、飼料作物:10アール当たり3,000円
なお、本体交付金を受給している農業者団体で令和4年度から新たに有機農業の取組を開始する同一団体内の農業者に対して、指導・助言・相談対応の活動を行っていただく場合に限り、新規取組面積10アール当たり4,000円が加算されます(取組拡大加算)。
2 カバークロップ(主作物の栽培期間の前後のいずれかにカバークロップ(緑肥)を作付けする取組)
取組要件
- 適正な栽培管理を行った上で、子実の収穫を行わず、全ての地上部を土壌に還元すること。
支援単価
- 10アール当たり6,000円
3 炭素貯留効果の高い堆肥の水質保全に資する施用(堆肥の施用)
取組要件
- 土壌診断を実施したうえで、窒素、リン酸が必要成分量を超えないよう施肥管理計画を策定するよう努めること
- C/N比10以上の堆肥であって腐熟したものを一定以上施肥すること
支援単価
- 10アール当たり4,400円
4 リビングマルチ(5割低減の取り組みを行う作物の畝間に緑肥を作付する取り組み)
取組要件
- 適正な栽培管理を行った上で、子実の収穫を行わず、全ての地上部を土壌に還元すること。
支援単価
- 10アール当たり5,400円
※小麦・大麦等の場合は10アール当たり3,200円
5 草生栽培(5割低減の取り組みを行う果樹又は茶の園地に緑肥を作付けする取り組み)
取組要件
- 適正な栽培管理を行った上で、子実の収穫を行わず、全ての地上部を土壌に還元すること
支援単価
- 10アール当たり5,000円
6 不耕起播種
取組要件
- 主作物が麦(小麦、二条大麦、六畳大麦及びはだか麦)、大豆であること。
- 主作物について、前作の畝を利用し、畝の播種部分のみ耕起する専用の播種機(乗用管理専用機又はトラクターに装着した専用のアタッチメントを含む)による播種を行うこと。
- 播種前に、茎葉処理型の除草剤を散布すること。
支援単価
- 10アール当たり3,000円
7 長期中干し
取組要件
- 主作物が水稲であること。
- 稲の生育中期に10アールあたり1本以上の溝切りを実施したうえで14日以上の中干しを実施すること。
支援単価
- 10アール当たり800円
8 秋耕
取組要件
- 主作物が水稲であること。
- 主作物の収穫後に耕うん(秋耕)を実施し、翌春に水稲の作付け(湛水)を行うこと。
- 耕うんは湛水の4か月以上前に実施すること。
支援単価
- 10アール当たり800円
9 メダカなど魚類を保護する管理(水稲)
レッドリストに記載の準絶滅危惧種以上の魚類希少種を保護する取組であって、以下のすべてを満たすもの。
取組要件
- 作付け中に水田内に保護する魚類を誘導すること
- 設置した溝に中干し前に魚類を避難させること
- 魚類避難所周辺の草刈りを行う(魚類適正環境や多様な植生を確保する)こと
支援単価
- 10アール当たり3,000円
10 冬季湛水管理(水稲)
冬季間の水田に水を張る取り組みであって、以下のすべてを満たすもの。
取組要件
- 2か月以上(積雪期間は除く)の湛水期間を確保するための適切な取水措置及び漏水防止措置が講じられていること
- 市町村等が作成した計画に即して実施されている取組であること又は生物多様性に資するものとして、その実施に関して市町村長の承認等を得た取組であること
支援単価
- 有機質肥料施用、畦補強等実施:10アール当たり8,000円
- 有機質肥料施用、畦補強等未実施:10アール当たり7,000円
- 有機質肥料未施用、畦補強等実施:10アール当たり5,000円
- 有機質肥料未施用、畦補強等未実施:10アール当たり4,000円
11 総合的病害虫・雑草管理(IPM)と組み合わせた畦畔除草及び秋耕(水稲)
水稲のIPM実践指標に基づく管理を行い、除草剤を使用せず刈払い機等により畦畔を除草する取組と、水稲収穫直後に耕うん(秋耕)を実施する取組を合わせた取組であって、以下のすべてを満たすもの。
取組要件
- 除草剤を使用せず、刈払い機等により畦畔を3回以上除草作業をすること
- 水稲収穫直後、耕深5cm程度の耕転を実施すること
- 岩手県が定めるIPM実践指標のうち概ね8割以上を実践すること
- 他の直接支払いで、畦畔除草に支援が行われていないこと
支援単価
- 10アール当たり4,000円
12 総合的病害虫・雑草管理(IPM)と組み合わせた畦畔除草及び長期中干し(水稲)
水稲のIPM実践指標に基づく管理を行い、除草剤を使用せず刈払い機等により畦畔を除草する取組と、生育期間に溝切を原則実施したうえで通常より1週間程度長い14日以上の中干しを実施する取組を合わせた取組であって、以下のすべてを満たすもの。
取組要件
- 除草剤を使用せず、刈払い機等により畦畔を3回以上除草作業をすること
- 水稲の生育中期に溝切を原則実施した上で14日以上の中干しを実施すること
- 岩手県が定めるIPM実践指標のうち概ね8割以上を実践すること
- 他の直接支払で、畦畔除草に支援が行われていないこと
支援単価
- 10アール当たり4,000円
13 総合的病害虫・雑草管理(IPM)と組み合わせた交信攪乱剤による害虫防除(りんご)
りんごのIPM実践指標に基づく管理と、害虫の交尾期に交信攪乱剤により行う防除の取組をあわせた取り組みであって、以下の取組要件すべてを満たすもの。
取組要件
- 農薬の使用基準に定める本数以上設置されていること
- 対象とする害虫の交尾阻害効果が期待できる適切な時期に設置されていること
- 岩手県が定めるIPM実践指標のうち概ね8割以上を実践すること
支援単価
- 10アール当たり8,000円
注意事項
- 申請した面積全てが支援の対象となるわけではありません。支援対象取組を適切な栽培管理で行ったと認められた面積が支援の対象になります。
- 国の予算の範囲内で交付金を交付するため、全国の申請額が国の予算を上回った場合は、交付金が減額されることがあります。
- 交付金は取組終了後に支払われます。(年度をまたぐ場合は次年度改めて手続きが必要となる場合があります。)
- 1作目の作物栽培後の2作物目における取組に対しては、基本的に交付対象としません。
その他
岩手県において、農産物の化学肥料および科学合成農薬を5割以上低減する取り組みを算定する際の比較基準は、岩手県のホームページ上で公開されています。
-
令和4年度 環境保全型農業直接支払交付金制度(取組の手引) (PDF 2.3MB)
- 岩手県ホームページ(環境保全型農業直接支払交付金制度)(外部リンク)
- 農林水産省ホームページ(環境保全型農業直接支払交付金制度)(外部リンク)
- みどりのチェックシート解説書について(外部リンク)
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