応急手当の基礎知識

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ページ番号1018837  更新日 令和6年4月22日

1 応急手当と救命処置

私たちは、いつ、どこで、突然のけがや病気になるかわかりません。そんなときに、家庭や職場でできる手当てのことを応急手当といいます。病院に行くまでに応急手当をすることで、けがや病気の悪化を防ぐことができます。

けがや病気の中でも最も重篤(じゅうとく)で緊急を要するものは、心臓や呼吸が止まってしまった場合です。心筋梗塞(心臓の病気)や脳卒中(脳の病気)などは、何の前触れもなく起こることがあり、心臓と呼吸が突然止まってしまうこともあります。プールで溺れたり、喉に餅を詰らせたり、あるいは、けがで大出血したときも、何もしなければやがては心臓と呼吸が止まってしまいます。
ついさっきまで元気だったのに、突然心臓や呼吸が止まってしまった。そのような方の命を救うために、そばに居合わせた方ができる応急手当のことを救命処置といいます。

2 心臓や呼吸が止まってしまったら

(1)救命曲線の図

救命曲線に関するグラフの画像

心臓や呼吸が止まった方の治療はまさに1分1秒を争います。図1を見てもわかるように、命が助かる可能性は時間経過とともに減少していきます。

このようなときは、「すぐに119番通報する」ことが重要ですが、それだけでは十分ではありません。救急車が到着するまでには全国平均で10分以上かかるため、そばに居合わせた方による救命処置が必要になるのです。

(2)救命処置の手法

救命処置の具体的手順は次のセクションで詳しく説明しますが、ここでは救命処置のうち、「心肺蘇生法(しんぱいそせいほう)」と「AEDの使用」について簡単に説明します。

心肺蘇生法

心肺蘇生法とは、胸を強く圧迫したり、息を吹き込むことによって、止まってしまった心臓や呼吸の動きを助ける方法です。
令和4年総務省消防庁の調査によると、心肺停止した方のうち市民により心肺蘇生を受けた方は、受けなかった方に比べて約3倍も社会復帰者数が多いという結果となりました。

※社会復帰とは、日常生活ができるまでに戻った状態のこと

AED(自動体外式除細動器)

突然心臓が止まるのは、心臓が細かく震える「心室細動(しんしつさいどう)」によって起こることが多く、この場合はできるだけ早く心臓に電気ショックを与え、心臓の動きを取り戻す(これを除細動(じょさいどう)といいます)ことがとても重要です。
AEDは、この電気ショックを行うための機器です。コンピュータによって自動的に電気ショックが必要かどうかを決定し、音声メッセージで電気ショックを指示してくれますので、一般の方でも簡単で確実に操作することができます。

3 救命の連鎖

心臓や呼吸が突然止まった人の命を救う流れをみてみましょう。

  1. まず、119番通報をして、救急車が到着するまでの間に心肺蘇生法を行い、AED(もし近くにあれば)を使います。
  2. 救急車が到着したら、救急隊員に引き継ぎます。救急隊員は必要に応じて高度な救急処置を行いながら、病院へ向かいます。
  3. そして病院では専門の医師によってさらに高度な救命医療が行われることになります。

救命の連鎖 予防、早期認識・119番通報、心肺蘇生・AED、二次救命処置の画像

傷病者の命を救い、社会復帰に導くために必要となる一連の行いを「救命の連鎖」といいます。

「救命の連鎖」は、

  1. [心停止の予防]
  2. [心停止の早期認識と通報]
  3. [一時救命処置]
  4. [二次救命処置と心拍再開後の集中治療]

の四つの輪で成り立っており、この四つの輪が途切れることなくすばやくつながることで救命効果が高まります。

「救命の連鎖」の最初の三つの輪は、現場に居合わせた市民により行われることが期待されます。

4 突然死を防ぐために

突然、心臓や呼吸が止まった人を救うには、そばに居合わせた人が救命処置をすることが重要です。このような時にすぐ119番通報をして救急車を呼ぶことができれば、助かる可能性が高くなります。

心臓発作

心臓発作になると、心臓の動きが弱まったり、心臓が突然止まってしまう不整脈を起したりします。一番多い症状は、胸の真ん中に突然感じる強い痛みですが、その痛みの感じ方は人によって異なり、胸だけでなく肩、腕やあごにかけて痛むこともあります。重症の場合は、痛みだけでなく、息苦しさ、冷や汗、吐き気などがあります。

脳卒中

脳卒中は脳の血管が詰る、または破けて出血することで起こります。脳の血管が詰ると脳梗塞といわれる状態になり、部位によっては体の片側に力が入らなくなったり、言葉がうまくしゃべれなくなったり、ものが見えにくくなります。また、脳の血管が破けて脳の表面に出血するとクモ膜下出血という病気になり、生まれて始めて経験するような非常に強い頭痛に襲われます。クモ膜下出血は繰り返して出血することが多く、その度に命の危険が増していきます。

心臓発作や脳卒中の場合は、少しでも早く病院を受診し治療を始めることが重要です。上記のような症状が急に起こったら、ためらわずに119番通報をしてください。119番通報後、意識が無くなり普段どおりの呼吸も無くなったら、ただちに心肺蘇生法を開始してください。

子どもの突然死

子どもの突然死の主な原因は、外傷、溺水(できすい)、窒息などですが、その多くは日常生活の中で十分に注意することで予防できるものです。心臓や呼吸が止まってしまった場合の救命処置も大事ですが、何よりも突然死を未然に防ぐことが一番効果的です。自動車のチャイルドシートや自転車のヘルメット着用、水の事故への注意、小さな子どもの手の届くところに口に入る大きさのものや、中毒の原因となるような薬品や洗剤を置かないなどの配慮が子どもを突然死から守ります。

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