イーハトーブ病院の移転整備についてお知らせします

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ページ番号1016936  更新日 令和4年7月14日

医療法人杏林会が運営するイーハトーブ病院の移転整備に関し、令和4年7月13日(水曜)に開催した花巻市議会議員説明会で説明した内容をお知らせします。

1.イーハトーブ病院移転整備に関する経過と計画概要

  • 医療法人杏林会は、令和3年12月に岩手中部地域医療圏地域医療連携推進会議(地域医療構想調整会議)(事務局:岩手県中部保健所。以下「推進会議」という。)に対し、イーハトーブ病院の移転整備計画を協議。
  • 事務局の中部保健所は、このことについて推進会議内に組織される市町部会・病院部会の合同部会(以下「部会」という。)により、令和4年1月より協議を開始。その後、部会では数度の協議を重ね、令和4年5月31日の臨時部会において、それまでに各委員から出された意見を取りまとめ、部会意見を附して杏林会の病院移転整備計画案を承認。(非公開会議)
  • これを受け、事務局の中部保健所は、令和4年6月17日に親会である推進会議を開催。部会での協議の経過、部会が附した意見を踏まえ、推進会議はイーハトーブ病院移転整備計画を承認した。(公開会議)
  • 岩手県は、この承認を踏まえて今後、杏林会から提出される新病院の開設許可について審査を行うとしている。

整備計画の概要

現在のイーハトーブ病院は、市街地から遠く、利用者及び従業員にとって不便な立地であるとともに、施設が老朽化し満足のいくサービスが一部行き届かない現状、また、中部保健医療圏域においては、回復期および慢性期病床が不足している現状から、イーハトーブ病院を北上市内へ移転新設。これとは別に、イーハトーブ病院に併設している既存の介護老人保健施を花巻市内へ移転新築し、併せて介護医療院の整備を計画する。

整備計画

新施設整備計画の概要ー杏林会整備計画よりー

  • 施設名称 リハビリパーク北上病院(仮称)
  • 整備場所 北上市大通り1丁目地内(JR北上駅西口)
  • 施設機能 病院200床、介護法人保健施設150床、認定こども園102人
  • 施設規模 鉄筋コンクリート5階建 延べ床面積 約7,600平方メートル
  • 新病院の概要 診療科目 内科、神経内科、外科、整形外科、リハビリテーション科【現状と変更なし】
    病床数(病床機能) 一般病床 50床(回復期)療養病床 150床(回復期100床 慢性期50床)
  • 運営方針 イーハトーブ病院の機能を継承。
    圏域の急性期病院からの脳血管疾患、骨折系疾患患者のリハビリテーションの実現
    介護老人保健施設の併設による在宅復帰支援体制の強化
  • 主な整備スケジュール(予定)
    令和4年6月 建設工事 着手(病院開設許可後)
    令和5年12月 建設工事 竣工
    令和6年3月 新施設供用開始(認定こども園は令和6年4月開園)
    ※ 介護老人保健施設整備 今期(第8期)北上市介護保険事業計画に記載済
    ※ 認定こども園整備 北上市の承認済

【参考:花巻施設の今後の方針】
イーハトーブ病院に併設している介護老人保健施設(150床)については、花巻市市街地近郊へ移転整備し、併せて介護医療院(100床)を新たに整備することを計画しているが、花巻市の第9期介護保険事業計画との整合性を図る必要があることから、令和6年度以降の開設を目指し、花巻市と協議を進め、整備計画を検討する。

2.イーハトーブ病院の状況

(1)病院開院から現在までの経過

  • 平成18年3月に岩手労災病院(昭和35年1月開設)の廃止が決定され、同年9月、花巻市と所有者である独立行政法人労働者健康福祉機構は、「岩手労災病院の移譲及び資産譲渡に係る基本協定」を締結。
  • 平成18年10月、花巻市と医療法人杏林会は「岩手労災病院の廃止に伴う後継医療の引き受けに関する基本合意」を締結。
  • 平成19年2月、花巻市と独立行政法人労働者健康福祉機構は、同施設における10年間以上の医療提供を条件に、岩手労災病院の土地を無償で、建物・医療機器を有償で譲り受ける契約を締結(所有権移転は平成19年4月1日)。
  • 平成19年4月、花巻市は同施設における10年間以上の医療提供を条件に、医療法人杏林会へ当該土地、建物等の資産を無償貸与(使用貸借)。医療法人杏林会は、許可病床100床のうち慢性期の療養病床50床を休床したうえで、回復期の一般病床50床を開設し、同月からイーハトーブ病院を開院。
  • 平成19年8月、介護老人保健施設のイーハトーブ介護リハビリセンターを開設(開設時70床。平成21年5月に80床を増床)。

(2)施設概要

  • 施設名称 イーハトーブ病院、イーハトーブ介護リハビリセンター
  • 場所 花巻市志戸平地内(旧岩手労災病院敷地)
  • 施設規模 鉄筋コンクリート造・鉄骨造7階建 昭和35年建築
  • 施設機能 病院50床、介護老人保健施設イーハトーブ介護リハビリセンター150床
    うち病院の病床機能 一般病床 50床(回復期)
    (休床中の病床:療養病床 50床(慢性期))
  • 病院の診療科目 内科、神経内科、外科、整形外科、リハビリテーション科、泌尿器科(休診中)

(3)病院運営にあたっての花巻市の支援

  • 花巻市は、イーハトーブ病院が開設した平成19年度から平成21年度までの間において医療法人杏林会に対して施設整備費2億円、運営費2億3,070万円の補助金を交付。また、平成22年度から平成30年度までに、耐震診断・耐震補強・ブロック塀撤去工事を実施し、イーハトーブ病院の継続を支援してきたところ。

(4)経営状況

  • 花巻市は、花巻市財産の貸付による医療等の提供に関する条例第4条の規定により、医療法人杏林会から毎年度の事業報告書及び決算書の提出を受けている。
  • 直近の平成28年度から令和2年度までの5カ年度におけるイーハトーブ病院とイーハトーブ介護リハビリセンターの経常利益は、施設全体で毎年度0.4億円~1.1億円の黒字となっており、これは、イーハトーブ介護リハビリセンターの経常利益の黒字によることが要因である。イーハトーブ病院単体の経常利益は、毎年度において2.0億円~2.4億円の赤字となっている。

経営状況

3.イーハトーブ病院等の利用状況と花巻市内の地域医療の現状

(1)イーハトーブ病院・イーハトーブ介護リハビリセンターの利用状況

  • 外来患者は、平成24年度6,586人をピークに減少。令和3年度1,443人(5.9人/日)
  • 入院患者延べ数は、平成20年度18,005人から、波はあるものの減少しており、令和2年度では10,583人(稼働中の一般病床50床に対する病床利用率58%程度)で、令和3年度では13,882人(稼働中の一般病床50床に対する病床利用率76%程度)となっている。
  • 老健施設(介護リハビリセンター)の利用者は、80床増床した平成21年度以降、毎年4万人以上の利用があり、コロナ禍にあっても令和2年度51,514人、令和3年度52,455人となっている。

外来、入院患者および入所者の状況

  • 令和3年度末時点における入院患者は、居住地が花巻市内の方は約40%程度に留まっている。

(2)市内の医療状況

  • 花巻市内においては、中部保健所、岩手医科大学、県立中部病院、花巻市医師会などの関係者の方々にもご協議いただきながら構想を練り上げた総合花巻病院の移転整備が令和2年に完了し、88床の急性期病床及び回復期病床が110床を整備。この回復期病床の中には、患者の在宅復帰を支援するためのリハビリテーション病床58床のほか、在宅療養に関する提案・調整なども行う地域包括ケア病床が52床に拡充されており、花巻市を含む岩手中部保健医療圏において不足と指摘されている回復期病床の充足が図られている。
  • 令和2年度の岩手中部保健医療圏(花巻、北上、遠野、西和賀)全体では、回復期病床380床のう ち花巻市内病院に280床及び北上市内病院に60床がある。一方、急性期病床は、圏域内770床で、このうち花巻市は124床、北上市が、県立中部病院を含めて、524床となっている。

花巻市および北上市における医療機関(急性期・回復期・慢性期等)の病床数

  • イーハトーブ病院の市外への移転について、花巻市医師会が会員医師に意見を照会したところ、会員の医師とイーハトーブ病院との間で患者の紹介等の連携が現在ほとんど行われていない状況であり、移転に関して反対などの意見は出されなかったとのことであった。

4.上記を踏まえたイーハトーブ病院移転整備等に関する花巻市の見解

  • イーハトーブ病院は、市街地から離れており、また、建物・設備は昭和35年に開設した岩手労災病院から引き継いで使用していることから、「市街地から遠く利用者及び従業員にとって不便な立地であり、施設・設備が老朽化し、利用者への満足なサービス提供が一部行き届かない」との杏林会の主張は一定程度理解できる。
  • イーハトーブ病院の入院患者数は、年度ごとに波はあるものの、最新の令和3年度の実績ではピーク時の平成20年度の77%となっており、外来患者数は、ピーク時の平成24年度から年々減少を続け、令和3年度の実績では1日当たり5.9人となっている。令和3年度末時点での入院患者について、花巻市に居住する方の入院は全体の約40%程度に留まっている状況であり、さらに総合花巻病院が回復期病床を拡充している現状から、イーハトーブ病院の市外への移転が、現在の市内の地域医療体制に与える影響は限定的なものと認識している。
  • 中部保健医療圏域内の回復期病床は380床で、このうち280床が花巻市内、北上市内は60床である状況下において、杏林会が北上市内に回復期を中心とした病院としてイーハトーブ病院を移転整備しようとする計画については、その意図と妥当性は理解できるところである。
  • その上で、杏林会のイーハトーブ病院の移転計画案では、病院が花巻市から北上駅前へ移転することとなるが、花巻市を含む中部保健医療圏内において新たな病院と医療体制を整備し、回復期病床を中心とする病床数の増加や老人保健施設を整備するものであり、移転後においても花巻市民の利用も見込まれることから、この計画が圏域における地域医療構想の推進と医療連携体制の充実に寄与することとなることを期待したい。
  • 6月17日に行われた中部保健医療圏地域医療連携推進会議において、病院の移転整備計画について承認されたところであるが、「杏林会に対し移転整備計画の実現には引き続き広く地域住民・関係機関等の理解と必要な意見が反映されることが重要であり、推進にあたっては同会議及び病院・市町部会意見の趣旨を踏まえた対応を誠実に実行されたい」との意見が付されていることから、杏林会にはそのように対応いただきたい。
  • 杏林会の介護老人保健施設(150床)の花巻市市街地近郊への移転整備にあたっては、花巻市の現行計画である花巻市第8期介護保険事業計画において同法人の既存の介護老人保健施設が維持・運営されることを前提としていることから、花巻市は、推進会議の部会において杏林会に対し、介護老人保健施設を移転整備して稼働するまでの間は現在地の介護老人保健施設を維持していただくことについて依頼し、杏林会からは、推進会議の部会に対して書面で「花巻市の依頼のとおり対応する」との回答をいただいた。
  • 杏林会は介護老人保健施設の移転整備に併せて介護医療院(100床)の新設を計画しており、花巻市としては、介護医療院がこれまで本市に存在していない施設であることに加えて医学的管理の下で医療と介護サービスを提供できる施設であると考えられることから、介護医療院の需要は一定数あるものと思われ、その観点から設置を期待したい。
  • 一方で、介護医療院の新設に当たっては、需要規模などを把握したうえで施設の規模を検討する必要もあると考えられ、この介護医療院が花巻市の第9次介護保険事業計画策定において極めて重要な位置づけとなることおよび、新しい介護老人保健施設を花巻市の第9期介護保険事業計画にしっかり位置づけることを可能とするため、花巻市は、推進会議の部会において杏林会に対し、令和4年度中にも花巻市との協議を開始していただきたい旨を伝え、杏林会からは、推進会議の部会に対して書面で「花巻市と早々に協議したい」との意向が示された。
  • 花巻市と杏林会が平成19年4月1日に結んだ使用貸借契約の条件である、医療機関等の用に10年以上供することについては、今年で15年目であることから満たされており、杏林会から使用貸借を終了する意思表示があれば、使用貸借契約は終了し、不動産及び動産が花巻市へ返還されることとなる。
  • イーハトーブ病院は、市の中心部から離れており、施設・設備は昭和35年の建築から今年で62年目となり老朽化が進んでいることから、今後、公共施設としての活用は困難。解体及び土壌汚染がある場合はその除去を含め、今後の施設等の取り扱いの検討が必要である。
  • 花巻市と杏林会との「岩手労災病院の廃止に伴う後継医療の引き受けに関する基本合意」及び不動産・動産使用貸借契約には、使用貸借が終了した後、杏林会に建物の解体や土壌汚染の除去義務を負わせる規定は定められていない。
  • 花巻市としても、推進会議等を通じて、進捗状況等の情報を共有しながら、必要な対応を進めて参りたい。

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