生活保護事務における障害者加算支給に不適切な事務処理がありました
特別児童扶養手当(※1)を受給している被保護者に対し、本来加算されるべき「障害者加算(※2)」の加算漏れが判明し、被保護者の受給権が時効により消滅していることが発覚いたしました。
1 内 容
特別児童扶養手当(以下「特児手当」という。)を受給している被保護者1名(対象児1名)に係る生活保護扶助費の認定事務において、特児手当の受給に伴って加算給付されるべき「障害者加算」が、平成29年1月から令和6年10月現在まで行なわれておらず、このうち平成29年1月から平成30年11月及び平成31年4月から令和元年11月までの2年7ヶ月分(31ヶ月)については、地方自治法第236条で規定する時効の5年を超過しており、受給権が消滅していることが判明しました。
※1 特別児童扶養手当とは
精神又は身体に障がいのある20歳未満の児童を養育している家庭で、所得が一定の基準に達しない場合、養育者へ支給される手当のことで、1級、2級に区別されます。
※2 障害者加算とは
被保護者のうち、障害認定を受けている者に対し加算支給を行うもので、身体障害者福祉法施行規則に規定される身体障害者障害程度等級表(以下「障害等級表」という)の1級若しくは2級、または国民年金法施行令別表に定める1級のいずれかに該当する障がいのある者、また障害等級表の3級又は国民年金法施行令別表に定める2級のいずれかに該当する障がいのある者が対象となります。特児手当1級若しくは2級に該当する者も加算対象となります。
対象者及び未支給額
対象者
1世帯
未支給額
1,237,370円(うち時効到来分468,370円、遡及給付分769,000円)
内訳
支給年月 |
月数 |
単価(円) |
金額(円) |
---|---|---|---|
H29.1月~H30.11月 |
23 |
15,090 |
347,070 |
H31.4月~R1.9月 |
6 |
15,090 |
90,540 |
R1.10月~R1.11月 |
2 |
15,380 |
30,760 |
計 |
468,370 |
支給年月 |
月数 |
単価(円) |
金額(円) |
---|---|---|---|
R1.12月~R3.11月 |
24 |
15,380 |
369,120 |
R4.2月~R4.11月 |
10 |
15,380 |
153,800 |
R5.8月~R6.11月 |
16 |
15,380 |
246,080 |
|
|
計 |
769,000 |
2 原因
認識誤りと管理不足
- 平成28年度(被保護者が特児手当の認定を受けた当時)の担当ケースワーカー(以下「CW」という。)は、特児認定通知書の収受を行ったものの、特児手当認定が障害者加算の要件に当たるとの認識がなく、特児手当の収入認定のみを行い、障害者加算の処理を行いませんでした。
- 当時の査察指導員(以下「SV」という。)においても、当該加算漏れを見落としておりました。
- その後、被保護者の特児手当の更新手続きの遅延により特児手当認定が切れ、特児手当を受給していない期間が、過去に3回ほどありましたが、当時のCW及びSVは、主の特児手当認定が更新される度に特児手当を収入として認定・計上しているものの、障害者加算の可否について検討せず、前例を踏襲して事務を行い、結果として障害者加算が行われませんでした。
3 今後の対応
被保護者に対しましては、既に謝罪のうえ、障害者加算の支給漏れの経緯について説明いたしました。
生活保護事務の制度上は、障害者加算を受ける場合は申請主義をとっていますが、国は「生活保護の手帳」において、生活保護実施にあたっては、「生活保護の保障は要保護者の申立てや第三者の意見聴取に止まらず、実態を把握して事実に基づいた保護を行わなければならない」としております。このことにより、CWは被保護者に寄り添った指導を行いながら支援にあたるべきところ、今回の件は、担当CWが被保護者の特児手当受給の事実を把握しながらも、障害者加算の要件を満たすとの認識が欠如しており、被保護者に対して障害者加算の申出についての勧奨をしておりませんでした。
また、特児手当を被保護者の収入として保護費から控除していたもので、現在に至るまでの担当CWにおいても、特児手当が切れた際には更新手続きを被保護者に勧奨していたものの、障害者加算の要件を満たしていることを見落としていたものであります。
今後の対応として、過去5年以内の期間の障害者加算769,000円につきましては、本年度の保護費において支給いたします。
また、5年を超え時効となった障害者加算468,370円につきましても、上記のとおり市に落ち度があると認められることから、請求権が消滅したものとして不支給とすることは、被保護者のみならず市民の理解を得ることは困難と考えられ、時効到来期間の未支給分についても一般会計において給付金として支給いたします。当該経費は、12月市議会定例会に補正予算として上程し、議決後に対象者に申請手続きについて通知いたします。
4 是正への取り組み
今後は、CWが被保護者ごとのケース記録を記載する際に、障害者加算の判断は適切であるか、加算漏れがないかを必ず確認するとともに、全ケース記録を確認しているSVにおいては、特に加算漏れに注意を払ってチェックを行います。また、年に一度の被保護者ごとの援助方針を立てる際は、CWはSVの確認のもと、現在の支援内容の適正性をしっかり点検したうえで作成することを徹底します。
さらに、加算漏れのチェック強化のため、保護世帯の全ケースについて、年に一度、加算の状況を一斉に点検する機会を設け、組織的に検証を実施するとともに生活保護システムにおいて確実な検証を可能とするためのツールの作成・導入について検討してまいります。
本件により、関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしましたことに深くお詫び申し上げます。
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