「花巻市クマ等の銃猟・麻酔捕獲に関する対応マニュアル」 を策定しました

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ページ番号1021849  更新日 令和7年11月25日

市に寄せられたツキノワグマ(以下、「クマ」と表記。)の目撃件数は11月19日時点で821件となっており、すでに昨年度の目撃件数303件を大幅に上回っています。また、同日時点における市が捕獲したクマの頭数についても昨年度の14頭を大幅に上回る71頭となっており、引き続きクマの出没に注意が必要です。
市が同日時点で捕獲した71頭のクマのうち66頭は箱わなによるものであり、今後も捕獲者にとってより危険の少ない箱わなによる捕獲が中心となる見込みです。
その上で、本年9月から可能となったクマなどの「緊急銃猟(注1) 」の実施に対応する環境を整えるため、市ではこの度、「花巻市クマ等の銃猟・麻酔捕獲に関する対応マニュアル」を策定しました。
このマニュアルは、緊急銃猟の実施に関する事項のほか、緊急銃猟に限らず県からの市に対する捕獲許可・特例許可( 注2)に基づく銃猟など、また、麻酔によるクマの捕獲の判断などに関する事項を定めたものです。
市ではこのマニュアルに基づいて、必要に応じて緊急銃猟を実施するなど、今後も引き続き市民の皆さんの暮らしと安全を守ることを最優先に対応していきます。

(注1)緊急銃猟とは
住居集合地域等や乗り物(電車や自動車)の中などにクマなどが出没した場合、人に弾丸が当たらないように安全確保した上で、市町村の判断で銃猟を可能とする制度。
市町村長は「住居集合地域等や乗り物(電車や自動車)の中などにクマが侵入、またはその恐れがある」、「危害防止が緊急で必要」、「銃猟以外での迅速な捕獲が困難」、「住民に弾丸が当たる恐れがない」、「クマがその場にとどまる可能性が高い」などと判断した場合に、市町村職員や委託した鳥獣被害対策実施隊員などに緊急銃猟をさせることができます。
(注2)県の捕獲許可・特例許可とは
市がその年度内に捕獲予定のクマの頭数(狩猟を除く)や捕獲方法、捕獲期間などを県に申請し、県から許可を受けたクマの捕獲上限頭数や捕獲方法、捕獲期間のことです。

「花巻市クマ等の銃猟・麻酔捕獲に関する対応マニュアル」策定までの経緯

今までは銃でクマを捕獲することはできなかったの?

今までも、次の2つの法律によって銃によるクマの捕獲が可能となっていました。

(1)鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)による場合

この法律は、日本の野生鳥獣を保護する一方、個体数が増えすぎたり市街地などに出没して人や農作物に被害を及ぼしたりする場合に、適切に野生鳥獣を管理するための法律です。これに基づき、花巻市鳥獣被害対策実施隊員(実施隊員)などが、銃による狩猟や、県からの市に対する捕獲許可・特例許可に基づき、銃猟によるクマの捕獲ができました。

(2)警察官職務執行法による場合

鳥獣保護管理法の場合、住居集合地域等( 注3)や乗り物(電車や自動車など)の中などでは、銃猟による捕獲が禁止されていました。
このため、このような場所では原則として銃を発砲することができませんでしたが、人に危険が差し迫っている状況になった場合には、「警察官職務執行法」に基づき、警察官がハンターなどに発砲を命じることが可能となっていました。しかし、例えば、クマが家の中や施設内に侵入して膠着状態にある場合は、人に危険が差し迫っているとはならず、警察官職務執行法による銃の発砲命令は出すことができません。

(注3)住居集合地域等とは
住居が集合している地域や広場、駅、その他多くの人が集合する場所のことです。

緊急銃猟制度がスタート

このような膠着状態にあっても、より予防的・迅速な対応が必要と考えられる場合に対応するため、「緊急銃猟」と呼ばれる制度が創設され、本年9月からスタートしました。この、緊急銃猟を実施するためには、市町村においてマニュアルを作成する必要があったことから、「花巻市クマ等の銃猟・麻酔捕獲に関する対応マニュアル」を策定しました。

警察官もライフル銃によるクマの駆除が可能に

国家公安委員会規則の改正が11月13日に施行され、警察官によるライフル銃を使ったクマの駆除が可能となりました。岩手県警と県外から派遣された銃器対策部隊で編制する「クマ駆除対応プロジェクトチーム」が始動し、ライフル銃を使ったクマの駆除も視野に県内の警戒や巡視を始めています。

「花巻市クマ等の銃猟・麻酔捕獲に関する対応マニュアル」の概要

クマ捕獲の判断

クマの出没に関する情報が寄せられると、市職員、実施隊員が速やかに現地調査を行い、クマの捕獲の必要性について判断します。

クマの捕獲方法の選択

市職員、実施隊員は、クマによる人身被害の可能性が切迫しているかなどを踏まえ、クマの捕獲方法を次の中から選択します。

  • 県の捕獲許可・特例許可に基づく銃猟による捕獲
  • 緊急銃猟による捕獲
  • 麻酔による捕獲
  • 箱わなによる捕獲

緊急銃猟を実施する際の必要事項

緊急銃猟を実施することとなった場合は、市職員を中心に構成する「緊急銃猟対策チーム」を設置すること、また、そのチーム内の各班の役割について規定しています。
なお、緊急銃猟の実施の判断は市町村長が行うこととされていますが、本市の場合、より迅速に実施することができるよう、市長が委任した農林部長(不在の場合は、農村林務課長)が緊急銃猟の実施の判断をできることとしています。農林部長は、緊急銃猟の実施の判断をした場合、「緊急銃猟対策チーム」の各班長にその旨を伝え、必要な人員の確保や準備を直ちに行うよう指示をします。また、花巻警察署の支援を受ける体制を確保するとともに、必要に応じて岩手県の支援を得ることとしています。

緊急銃猟対策チームの各班の主な役割

  1. 指揮班・・・緊急銃猟に関する指揮全般を行います
  2. 安全確保班・・・弾丸が人または引火物などの危険物に到達する可能性があり、危険だと思われる範囲の通行禁止・制限の実施、ホームページ、SNSなどによる周知活動などを行います
  3. 捕獲班・・・捕獲者の選定、安全確保の方法や発砲の向きなど銃による捕獲の実施に関する計画調整、クマの監視、銃猟によるクマの捕獲、銃猟後のクマの状態確認などを行います

もし、緊急銃猟を実施することとなった場合に市民の皆さんにお願いしたいこと

クマの捕獲方法については、先述のとおり、今後も箱わなによる捕獲が中心となる見込みですが、もし、緊急銃猟を実施することとなった場合、市ではホームページやSNS、広報車などを通じて市民の皆さんにお知らせします。緊急銃猟が実施される地域にお住いの皆さん、付近にいる皆さんには特に次のことについてご協力をお願いします。

(1)安全な場所への事前の避難

屋内に居る人は窓から離れるなど、現地にいる市職員などの指示に従い、速やかに安全な場所への避難をお願いします。

(2)付近への立ち入りの禁止

弾丸が人または引火物などの危険物に到達したり、被弾したクマが暴れたりする可能性があるため、安全が確保されるまで現場周辺には近づかないようにお願いします。
緊急銃猟の実施状況は随時、市ホームページやSNS、広報車などを通じてお知らせします

(3)通行禁止・制限の厳守

弾丸が人または引火物等の危険物に到達する可能性のある範囲の通行禁止や通行の制限を実施します。現地にいる市職員等の指示に従い、この範囲には絶対に立ち入らないようにお願いします。

クマ対策の強化について国・県へ要望しました

11月11日の岩手県への要望、12・13日の「岩手県市長会秋期要望行動」、「岩手県市長会と県選出国会議員との行政懇談会」に岩手県市長会の一員として上田市長が出席。ツキノワグマ出没への対策について市の考え方を伝えるとともに、国・県へ要望しました。

市の考え方

西日本における取組(注4)を参考に、岩手県を含めた東日本においても、国や県において毎年、クマの個体数に関する大規模調査を実施するべきである。
市民の命を守るため、人里や市街地に生息、徘徊するクマの捕獲や駆除による個体数管理を積極的に進めるべきである。

(注4)西日本における取組
兵庫県では、10年以上前からクマの個体数を適正数内に抑えるよう、毎年クマの個体数管理の調査を行うとともに、一定数を超える場合にはクマの捕獲や駆除をして、個体数を増やさない取組を続けてきています。

市からの主な要望内容

  • 国や県による大規模なクマの個体数調査を実施し、その分析結果を速やかに公表すること。また、市町村が主体となって同様の調査の実施を希望する場合には人的・財政的支援を行うこと
  • クマの適正な個体数管理のため、都道府県が定めているクマの捕獲上限数を大幅に増やすこと
  • 箱わなや電気柵の購入、捕獲活動などを支援する国の「鳥獣被害防止総合対策交付金」について、資材価格高騰の実情を踏まえ、交付上限単価の見直しや引き上げなどを行うこと
  • クマの捕獲対策にあたるガバメントハンター(狩猟免許を保有し、自治体職員としてクマ等の鳥獣被害対策を行う人)を育成し、市町村に派遣すること。また、市町村が同ハンターを育成・雇用する場合の人的・財政的支援を行うこと
  • クマの市街地への侵入等を防止すため、国管県理の道路や河川等の雑草の刈払いを積極的に進めること
  • クマ撃退用スプレーの購入費や、子どもたちの安全を確保するためのスクールタクシー・バスによる送迎経費について支援すること
  • クマ対策に従事する職員の時間外勤務の経費や危険手当などについて支援するほか、迅速なクマ対応を行うため、自衛隊や警察の派遣制度を整備すること

クマ対策に関する市の予算を増額しました

補正予算(専決処分)により、クマ対策に関する市の予算を増額しました。

(1)クマ出没時のタクシーやバスによる送迎対応

補正額:173万円 補正後予算額:331万円

市では、クマが市街地や通学路付近に出没して危険だと考えられる場合には、その情報を保護者の皆さんに伝え、その上で、子どもたちが安全に登下校できるように保護者の皆さんに自家用車など車による送迎をお願いしています。送迎が難しい家庭については、市の費用負担でタクシーやバスによる送迎対応を行っていますが、昨年度の実績をすでに大幅に上回っており、予算が不足する見込みであったことから、予算を増額しました。

(2)銃猟やわな猟によるクマの捕獲などに関する補助金

補正額:211万円 補正後予算額:1,499万円

緊急銃猟など銃猟によるクマの捕獲業務を行う場合の出動および駆除に対する補助金について新たに予算を計上したほか、わな猟によるクマの捕獲やクマが出没した場合の追い払い活動や警戒パトロールなどを行う場合の出動に対する補助金を増額しました。

クマ対策に関する市の補助制度をご活用ください

(1)クマ撃退用スプレーの購入に対する支援

【対象】 次のいずれかに該当の場合

  • 市内に住所を有する18歳以上の人がクマ撃退用スプレーを購入する場合
  • 市内にある事業所や団体などがクマ撃退用スプレーを購入する場合

【補助対象経費】 クマ撃退用スプレーの購入費(送料や付属品などは対象外)
【補助率】 補助対象経費の4分の1
【上限額】 1本につき5,000円

クマ撃退用スプレーは海外製品が多く、説明が英語で表示されているものも多くあるため、クマ撃退に効果があるのか判断することが難しい場合があります。クマ撃退に効果があるものか不安な場合は、農村林務課へご相談ください。

(2)放任果樹の伐採に対する支援

【対象】 市内の土地を所有または管理している人
【対象経費】 市内のカキやクリの木の伐採にかかる費用(幹の太さが9cm以上の木が補助の対象です)
【補助額】

  • 業者に委託する場合…対象経費の2分の1以内(1本当たり15万円を上限)
  • それ以外…1本当たり2,000円

この他にも、市ではクマ対策に関するさまざまな補助制度(電気柵の購入費支援、狩猟免許を有する人へのガンロッカー・装弾ロッカーの購入費支援、狩猟免許の取得費用への支援など)を設けています。詳しくは、農村林務課へお問い合わせください。

クマに遭わないようにご注意ください

クマ対策について油断は禁物です。市では、市民の皆さんの暮らしと安全を守るため、引き続き様々な支援を行ってまいりますが、クマと出逢ってしまった場合の対策として万全なものはありません。
何よりも、クマに遭わないようにすることが大切です。
クマに遭わないように注意するべきことなど詳しくは下記「クマの出没に注意しましょう」のページをご覧ください。

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このページに関するお問い合わせ

農村林務課
〒025-0052 岩手県花巻市野田335番地2(花巻農協総合営農指導拠点センター内)
電話:0198-23-1400(農林部直通) ファクス:0198-23-1403
農村林務課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。