市が行っているクマ対策など
クマによる人身被害も発生しています
令和7年7月4日、北上市でツキノワグマ(以下、「クマ」と表記。)が住宅に侵入し1名の方がお亡くなりになる死亡事故が発生しました。
県ではこの死亡事故の発生を踏まえ、県内全域に「ツキノワグマの出没に関する警報」を発表し注意喚起の強化を図るとともに、達増知事は「クマの数を減らすことをしていかなければならない」と定例記者会見で述べ、今後のクマ対策の必要性を強調しました。
市内では令和7年7月17日現在、クマによる人身被害は発生していませんが、クマの目撃件数は増加傾向で市街地での目撃も寄せられています。
クマの市内での目撃情報
令和3年度:196件 うち花巻地域における市街地23件
令和4年度:192件 うち花巻地域における市街地33件
令和5年度:512件 うち花巻地域における市街地94件
令和6年度:303件 うち花巻地域における市街地56件
令和7年度:227件 うち花巻地域における市街地22件 注)7月17日現在
(主な出没地域 松園・天下田、桜町、空港付近)
クマの生息数も増加中!?
県では昨年度、奥羽山脈沿いにおいて「ヘア・トラップ法」と呼ばれるクマの体毛を採取して、その地点に何頭ほどのクマが生息しているのかなどを把握する調査を行いました。
県全体としての調査結果はまだ公表されていませんが、市内太田地区で市と岩手大学が連携して実施した調査の結果、令和6年6月~11月の期間で当該地区には30頭以上のクマの出没が確認されており、県内各地域においてもクマの生息数は増加していることが推測されます。
クマは山に返してもすぐに戻ってきます
一度、山から里に下りてきて人の生活圏に自分の好きな食べ物やにおいがあることを覚えたクマは、罠で捕獲されて山に返されてもまたすぐに戻ってくる可能性が高いと専門家は言っており、非常に危険です。
市および市猟友会では罠を20台保有していて、令和7年度中にさらに3台追加購入する予定ですが、令和7年度7月時点ですでに20頭のクマを罠によって捕獲しています。
捕獲したクマは、先述のとおりすぐに戻ってくる可能性があることから、山に返さずに駆除しています。
しかし、罠によって捕獲できないクマも多く、死亡事故が起きた北上市では、事故現場付近に罠を仕掛けても約1週間捕獲することができませんでした。(結果的には実施隊がクマを駆除しました)
令和7年9月から市街地での「緊急銃猟」が可能に
市ではここ数年、北上市のような、人の日常生活圏での猟銃の発砲事例はありませんが、市街地でのクマなどの「緊急銃猟」が市町村の判断で可能となる「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律」が本年4月の国会で成立し、9月1日から施行される予定です。
注)これまでは、山での狩猟とは別に市街地での銃猟は原則禁止されており、人に危険が迫ってから「警察官職務執行法」に基づき警察官がハンターなどに発砲を命じる仕組みでした
市では令和7年9月の改正された法律の施行に先立ち、北上市のように人の日常生活圏でクマが出没し人に危険を及ぼす可能性が高い場合に、「警察官職務執行法」や現行の「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」に基づき必要に応じて猟銃を発砲してクマを駆除することができるような仕組みを明確にするため、現在マニュアルの作成を進めています。
市民の皆さんの命と暮らしを守ることを第一に考え、市では引き続きクマ対策を強化していきます。
緊急銃猟とは
人の生活圏にクマなどが出没した場合、人に弾丸が当たらないように安全確保した上で、市町村の判断で銃猟を可能とする制度。
- 住宅地などにクマが侵入またはその恐れがある
- 危害防止が緊急で必要
- 銃猟以外での迅速な捕獲が困難
- 住民に弾丸が当たる恐れがない
と市町村長が判断した場合に、市町村職員や委託したハンターなどに緊急銃猟をさせることができるようになります。
市が行っている主なクマ対策
1 付近の学校などへの情報提供や警戒パトロールの実施
市内でクマの目撃情報があった場合には、深夜、早朝、休日を問わずまずは市担当職員が現場へ向かい現地の確認を行っています。
また、警察や消防、花巻市有害鳥獣被害対策実施隊など関係機関と連携し、以下のような対応を行っています。
- 付近の保育施設、学童クラブ、学校、自治会、近隣施設などへの情報提供
- 広範囲の警戒パトロール、通学路などへの立哨(通学路などでクマの出没があった場合、立哨は行わず、保護者の皆さんに車による子どもの送迎を依頼することを原則とします) 、広報車による広報活動
- 市ホームページ、SNS(LINE、Facebook、X)、いわてモバイルメール、えふえむ花巻、東和有線放送などによる情報発信
注)いわてモバイルメール、LINEでは市内の全てのクマの目撃情報を発信しています。登録方法は下記のページをご覧ください
2 子どもたちの安全を守るための取組み
(1)市内全小中学校へ「クマよけベル」を配布
市内全ての小中学生が「クマよけベル」を身に付けられるよう、市教育委員会から市内全小中学生に対しクマよけベルを配布しました。
(2)保護者に車による子どもの送迎を依頼
クマが市街地などに出没して危険だと考えられる場合にはその情報を保護者の皆さんへ伝え、その上で、子どもたちが安全に登下校できるよう保護者の皆さんに自家用車など車による送迎をお願いしています。
送迎が難しい家庭については、市の費用負担でタクシーによる送迎を行っています。
注)市や学校から、保護者に車による子どもの送迎の依頼があった場合には、危険ですので子どもたちの徒歩や自転車での登下校は控えるよう徹底をよろしくお願いします。また、保護者の皆さんも送迎の際にはクマの出没に十分ご注意ください。
3 AIカメラや草刈りで警備体制を強化
令和6年度からクマ対策の新たな取組みとして、山から市街地への侵入経路と考えられる場所へAI(人工知能)カメラを設置し警備体制の強化を図っています。
AIカメラがクマを検知すると、市担当者のスマートフォンへ撮影データが即時に自動で送信される仕組みとなっており、クマの市街地への侵入経路の特定や、市街地に侵入した場合の早期発見、早期追い払いなどが可能です。AIカメラは60台保有しており、令和7年7月時点では54台を設置。残り6台はクマの新たな目撃情報などに備えて保管しています。
また、専門家の意見としてクマは山から水路を辿って里に下りてくると言われていることから、クマの移動経路と思われる河川敷やクマが隠れる可能性のあるやぶなどの伐木について国および県に協力要請し実施いただくとともに、市では河川や河川敷、河岸段丘の草刈りを実施しています。
市民の皆さんにお願いしたいこと
7月からはクマの繁殖期かつ親離れの時期であり、今後も活発な動きが予想されます。
夜明け前や日暮れ時の不要不急の外出、徒歩での外出を控え、特に以下の点についてご協力をお願いします。
- クマの行動が特に活発な朝夕や霧が出ているときの外出はできるだけ車を使うこと
- 農作業を含め外で活動する際はラジオなど音の出るものを携帯し、クマに人間の存在をアピールすること
- もしクマに遭遇した場合、急に立ち上がったり大声をあげたり物を投げたり背中を見せて走って逃げたりせず、ゆっくり後退すること(逃げるとクマは本能的に襲ってきます)
- もし至近距離でクマに出会い攻撃を受けた場合は、「両腕で顔面や頭部を覆い、うつ伏せになる」などして致命的なダメージを受けないようにすること
- クマ撃退スプレーは風向き、射程距離、噴射持続時間に注意して使用すること
注)未経験の人は使いこなすことが難しかったり、人がいる場所で使うとクマが興奮して逆に被害が拡大したりするなどの危険が伴いますが、クマよけに一定の効果があると言われており、クマから身を守るためには有効な手段です。ホームセンターなどで購入することができ、値段は数千円から数万円です - クマが建物内に侵入しないよう、クマの餌となる米や飼料を保管している建物はもちろんのこと、自宅玄関や勝手口の施錠を必ず行うこと。
クマと出会ってしまった場合の対策として万全なものはありません。何よりもクマに遭わないようにすることが大切です。
紹介したクマ対策は、数多くある中の一部です。詳しくは下記のページをご覧ください。
また、市ではクマなどによる人的被害や農作物被害を防ぐため、放任果樹(カキやクリ)の伐採、電気柵の購入、猟銃免許のある人の銃砲などを保管するガンロッカーや装弾ロッカーを購入する場合などに対して支援しています。
詳しくは下記のページをご覧ください。
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このページに関するお問い合わせ
農村林務課
〒025-0052 岩手県花巻市野田335番地2(花巻農協総合営農指導拠点センター内)
電話:0198-23-1400(農林部直通) ファクス:0198-23-1403
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