心肺蘇生法の流れ(乳児、小児用)
あ!子どもが倒れている!
目の前で子どもが倒れたら、あなたはどうしますか。
小さい子どもの突然死の主な原因は、大きなけが、溺水、窒息などの事故ですが、その多くは十分に注意することで予防することができます。
たとえば
- 小さな子どもの手の届くところに、口に入る大きさのもの(一般的なトイレットペーパーの芯を通る大きさのもの)や薬や洗剤を置かない。
- お風呂やプールなどの際は絶対に目を離さない。
- 車にはチャイルドシートをつけ、シートベルトを必ず着用する。
また、乳幼児の突然死の原因として知られている乳幼児突然死症候群は、約1歳まで寝ているときは決してうつぶせにしないことが大切です。
しかしいざという時のための手段を知っていることはとても有効です。
下の図のとおり、「心停止の予防」「早期認識と通報」「一次救命処置」を早く行うことで、救命率は格段に上がります。
大切な人・大切な命を守るために心肺蘇生法を学びましょう。

(1) 安全の確認
- 周囲の安全を確認し、様々な状況にあわせて自分の安全を確保してから近づきます。
(2) 反応の確認
- 「大丈夫?」と肩をたたき、声をかけながら反応があるかないかを確かめます。このとき、足の裏をたたいて刺激することも有効です。
(ポイント)
反応があるかないか判断に迷う場合、またはわからない場合も反応なしと判断し次に移ります。
(3) 119番通報をしてAEDを手配する
- 大きな声で「誰か来てください!人が倒れています」と応援を求め、協力者が駆けつけたら、「あなたは119番へ通報してください」「あなたはAEDを持ってきてください」と具体的に依頼します。
(ポイント)
- 協力者が誰もおらず自分だけの場合には、まず119番通報をしてください。
- 119番通報すると、通信指令員が応急手当の指導をしてくれます。電話のスピーカー機能を活用すると両手が使えるので、指導を受けながら胸骨圧迫を行うことができます。
(4) 普段どおりの呼吸があるかの確認
- 倒れている人の胸とお腹の上がり下がりを見て、「普段どおりの呼吸」をしているかを10秒以内で確認します。
(ポイント)
- 「普段どおりの呼吸」がない場合、またはわからない場合は心停止と判断し、胸骨圧迫を始めます。
- しゃくりあげるような、途切れ途切れの呼吸は「死戦期呼吸」といい、普段どおりの呼吸ではありません。
(5) 胸骨圧迫
乳児(1歳未満)の圧迫位置
- 圧迫の位置は、両乳頭を結ぶ線の少し足側を目安とした胸骨の下半分です。
- 胸骨圧迫は指2本で行います。(中指と薬指もしくは両親指)
2本指圧迫法
人差し指と中指、もしくは中指と薬指の2本で圧迫します。
胸郭包み込み両母指圧迫法
2本指法で押しにくい場合は、両手を使った胸骨圧迫の方法もあります。
小児(1歳から16歳未満)の圧迫位置
- 圧迫の位置は、胸の真ん中を目安とした胸骨の下半分です。
- 胸骨圧迫は片手または両手で行います。
乳児及び小児の胸骨圧迫
- 1分間に100~120回のテンポで連続して絶え間なく圧迫します。
- 圧迫の深さは、胸の厚さの約3分の1を目安に十分沈む程度に、強く、速く、絶え間なく圧迫します。
- 胸骨圧迫30回押した後、次の人工呼吸に移ります。
(ポイント)
- 胸骨圧迫のやり方などわからない場合は、119番通報して通信指令員から指示を受けることができます。
- 小さいからといって、弱く圧迫しても効果が得られません。
- 協力者がいる場合は、交代時間が最小限になるように声を掛け合い胸骨圧迫を続けましょう。
(6) 人工呼吸
口対口人工呼吸
子どもの心停止は、人工呼吸がとても有効です。胸骨圧迫30回が終わったあと、気道確保し人工呼吸を行います。
- [気道確保]片手を額に当て、もう一方の手の人差し指と中指の2本をあご先(骨のある硬い部分)に当て、頭を後ろにのけぞらせてあご先を上げます。
- 気道を確保したまま、額に当てた手の親指と人差し指で鼻をつまみます。
- 自分の口を大きく開けて倒れている人の口を覆い、空気が漏れないようにして息を約1秒かけて吹き込みます。倒れている人の胸が少し上がるのを確認します。
- 一度口を離して、同じ要領でもう1回(計2回)吹き込みます。
- 胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を繰り返し実施します。
口対口鼻人工呼吸
乳児で口対口人工呼吸を行うことが難しい場合は、乳児の口と鼻を同時に自分の口で覆う口対口鼻人工呼吸を行います。
- [気道確保]片手を額に当て、もう一方の手の人差し指と中指の2本をあご先(骨のある硬い部分)に当て、頭を後ろにのけぞらせてあご先を上げます。
- 気道を確保したまま自分の口を大きく開けて、倒れている人の口と鼻を覆い、空気が漏れないようにして息を約1秒かけて吹き込みます。倒れている人の胸が少し上がるのを確認します。
- 一度口を離して、同じ要領でもう1回(計2回)吹き込みます。
- 胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を繰り返し実施します。
(ポイント)
- 胸が上がらない場合でも、吹き込みは2回までとし、すぐに胸骨圧迫を再開します。
(7) AEDの使用

- 乳児または小児にもAEDは使用できます。
- 未就学児のお子様には「未就学児用パッド」、小学生以上の方には「小学生~大人用パッド」を使用しましょう。AED本体に「未就学児用」「小学生~大人用パッド」を切り替えスイッチがあるAEDもあります。
- AEDの中に未就学児用パッドが入っておらず、倒れているのが未就学児の場合は「小学生~大人用パッド」を使用し、未就学児用パッドの要領で、胸と背中に貼ります。
注意事項

AEDの中に未就学児用パッドが入っておらず、倒れているのが未就学児の場合は「小学生~大人用パッド」を使用してください。
使用方法
- 倒れている人の近くに置き、電源を入れます。(蓋を開けると電源が入るものもあります。)
- 倒れている人の衣類を取り除き、胸をはだけさせます。
- 電極パッドの袋を開封し、電極パッドのシールをはがして粘着面を胸部地肌にしっかりと貼り付けます。(貼り付け位置はパッドに絵で示されています。)
- 機種によっては電極パッドのケーブルを接続するために、ケーブルのコネクタをAED本体に差し込むものもあります。
(ポイント)
- [胸が濡れている] タオル等でふき取ってからパッドを貼りましょう。
- [電極パッドを貼る位置に貼り薬がある] 貼り薬をはがして、肌に残った薬剤をふき取ってから電極パッドを貼ります。
- [心臓ペースメーカーや除細動器が胸に埋め込まれている] 出っ張りがある部分を避けて電極パッドを貼ります。
(8) 心電図の解析
- 電極パッドを貼り付けると、「体に触れないでください」などと音声メッセージが流れ、自動的に心電図の解析が始まります。
- AEDを操作する人は「みなさん、離れて!!」と注意を促し、誰も倒れている人に触れていないのを確認します。
(9) 電気ショック
- 「ショックが必要です」という音声メッセージが流れたら、AEDは自動的にエネルギーの充電を始めます。充電には数秒かかります。
- 充電が完了すると「ショックボタンを押してください」という音声メッセージとともに、ショックボタンが点灯(もしくは点滅)します。
- AEDを操作する人は「ショックを行います。みなさん、離れて!」と注意を促し、誰も倒れている人に触れていないことを確認して、ショックボタンを押します。(電気ショックすると倒れている人の体が一瞬ビクッと動くことがあります。)
- 電気ショックを行ったら、直ちに胸骨圧迫を再開します。
(ポイント)
- 「ショックは不要です」といった音声メッセージの場合は、直ちに胸骨圧迫を再開します。
オートショックAEDについて

オートショックAEDとは、電気ショックが必要と解析した場合に、ショックボタンを押さなくても自動的に電気ショックが行われるAEDのことです。
そのため、ショックボタンはありません(通電することをお知らせする表示のみ)。
電気ショックが必要と判断されると、体から離れるように音声メッセージが流れ、カウントダウンまたはブザーの後に自動的に電気が流れます。
オートショックAEDの使用で救助者の心理的負担の軽減をサポートし、救命率の向上を目指します。
(10) 心肺蘇生法とAEDの継続
- 心肺蘇生法を再開して2分ほど経ったら、AEDが自動的に再度心電図の解析を行います。音声メッセージに従って倒れている人から手を離し、周囲の人も離れます。
- 以後は、心肺蘇生法とAEDを約2分おきに、救急隊と交代するまで繰り返します。
(ポイント)
~心肺蘇生法を中止するタイミング~
- 救急隊に引き継いだ時「倒れていた時の状況」「実施した応急手当」「電気ショックの回数」などを伝えます。
- 普段通りの呼吸や目的のあるしぐさが出現したとき
慎重に観察しながら救急隊の到着を待ちます。この場合でも、AEDの電極パッドをはがさずに、電源も入れたままにしましょう。
より良いウェブサイトにするために、ページのご感想をお聞かせください。
このページに関するお問い合わせ
消防本部警防課
〒025-0098 岩手県花巻市材木町12番6号
電話:0198-22-6124 ファクス:0198-22-5549
消防本部警防課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。