(3)所有者不明土地・建物管理制度の創設
所有者不明土地・建物管理制度の創設(令和6年4月1日に施行されました)
「不在者財産管理人」、「相続財産管理人」などの従来からある制度では、対象とする不在者の財産、相続財産の全般を管理するという人に着目した制度ですが、今回の改正により、特定の土地・建物のみを管理処分するための『所在者不明土地建物管理制度』が創設されました。
所有者不明土地管理制度の手続きの流れ(概要)
(1) 申立て
まず、手続きは不動産所在地を管轄する地方裁判所への申立てから始まります。
申立権者は所有者不明土地等の管理についての利害関係人(共有地における不明共有者以外の共有者)等に限られています。また、申立ての際には予納金(不動産管理に必要な費用を確保するためのもの)を支払う必要があります。
(2) 異議申立期間の公告
その後、裁判所は当該不動産について、所有者不明土地管理制度の申立てがされた旨や異議を届け出ることができる旨を公告(1カ月以上の期間)します。
(3) 管理命令の発令・管理人選任
裁判所が所有者不明不動産について管理が必要と認めた場合、管理人が選任され、管理命令が発せられます。管理人は事案に応じて弁護士や司法書士、土地家屋調査士などの法律専門職が選任されることが想定されています。なお、当該不動産の登記簿には管理人が選任された旨が嘱託登記によって公示されます。
管理人の権限と義務
(1) 管理人の権限
管理人には対象となった不動産の管理権限が与えられます。
管理人は、管理はもちろんのことですが、裁判所の許可を得れば不動産を売却する、建物であれば取り壊すなどの処分をすることもできます。また、管理人は管理に必要な費用の前払いや報酬を受けることができます。
(2) 管理人の義務
管理人は所有者に対して善管注意義務※を負います。また、管理対象が共有持分だった場合には共有者全員に対して誠実公平義務を負います。他にも、不動産を売却して金銭が生じたとき、管理人はその金銭を供託して、その旨を公告する義務があります。
注)善管注意義務
善管注意義務とは「善良なる管理者の注意義務」のことであり、立場・職業から鑑みて通常期待される程度の注意を払う義務のことです。なお、前述の通り管理人には法律専門職の選任が想定されているので、要求される注意義務も厳しくなるものと考えられます。
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