三度栗の伝説

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ページ番号1013991  更新日 令和3年3月31日

三度栗の伝説(亀ヶ森村誌抄)

この話は弘法の井戸の続編ともいうべきもので、弘法井戸の傍らにそびえていた大きなクリの木の話である。
一人の旅の僧が、老婆から冷たい水のご馳走を受けて渇きをいやし、しぼし休息して出発しようという問際に、
「厚意に甘えてぼかりで何の返しもできぬが、この種を後で植えてみなさい。いくらかでもお返しになるであろう」
といって懐から数珠の玉のようなものを三、四粒差し出して厚く礼を述べ、いずこともなく去つて行った。
その後、幾年かして種子から育ったのが、今の「三度栗」であるという。この栗の木は、不思議なことに毎年秋になると、三回ずつ大きな実を付けた。その最初から、今の木まではもう何代を過ぎたかは分からないが、最初は弘法井戸から十間(18メートル)以上も離れた場所に植えられたものであるが、代替わりするたびに井戸に近付いて行き、ついには井戸の東側に接するようになったということである。
この栗の木は落雷して枯れ、木の根元が七、八尺(約2.4メートル)ほど残るだけであったが、現在は切られて跡形もない。しかし、明治時代に苗木をもらって帰って植えていた人がいて、葡萄沢の清八ヵマドの庭に今も健在である。家人によれぼ、やはり年に三回実を付け、一ヵ月以上も栗拾いができるという。
また一説には、弘法さまのお休みになられた跡には、キノコ(俗称まごじゃくし)が生えるといい、やはりこの井戸の西側にあったそうである。疱瘡(天然痘)になった時には、体を掻くとますます増えていくが、この「まごじゃくし」をつけると早く治るという言い伝えがあり、わざわざこれをもらいに来る人が多かったという。

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