市長演述 平成30年第1回(平成30年3月議会)

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ページ番号1003187  更新日 平成31年1月18日

本日、平成30年第1回花巻市議会定例会が開会されるにあたり、平成30年度の市政運営に臨む所信の一端を申し述べるとともに、主要施策の概要についてご説明いたします。

はじめに

このたびの市長選挙を経て、引き続き2期目の市政を担わせていただくことになりました。市民の皆様の期待の大きさと、その責任の重さを改めて痛感しており、皆様の信頼に応えるため、全力で職務に務めてまいります。

1期目の4年間においては、平成28年度まで「花巻市まちづくり総合計画第2期中期プラン」や「花巻市まち・ひと・しごと創生総合戦略」等を策定し、それらの計画に基づき、「人口減少対策」、「市街地の再生」、「交流人口の拡大」、「防災力の強化」の4つの重点戦略を念頭に、各種施策の実現を図ってまいりました。

また、市にとって財政上有利で、結果として市の負担が少なくなる財源を確保するために、平成28年3月議会において合併時に策定した「新市建設計画」の改定に同意いただき、充当率95パーセント、交付税措置率70パーセントの合併特例債について、合併市として法律上発行が可能とされていた約390億円中、まちづくり基金への積立額約20億円を含む発行済み額約160億円を除く、未発行額約230億円の発行を平成28年度以降平成37年度までの10年間において可能にし、さらに充当率100パーセント、交付税措置率70パーセントの過疎対策事業債を大迫地域、東和地域の事業にフルに活用とするとともに、平成29年3月には辺地総合整備計画を数年ぶりに策定し充当率100パーセント、交付税措置率80パーセントの辺地対策事業債の活用も可能とすることといたしました。

また、道路・橋梁整備等のためには、社会資本整備総合交付金・防災安全交付金、地方創生交付金等、国の資金の活用を図ると共に、平成28年6月には花巻市のまちづくりを進める上で指針となる「花巻市立地適正化計画」を全国で3番目に策定し、花巻地域、大迫地域、石鳥谷地域、東和地域の4つの生活サービス拠点における医療・生活・商業のサービス機能を維持していくことを基本とし、その上で、花巻地域の中心部を「都市機能誘導区域」に指定し、総合花巻病院移転事業、エセナ跡地広場整備事業等、「都市機能誘導区域」における医療・生活・商業のサービス機能整備に国の支援が期待できる体制を整えました。

平成30年度は、私の市長としての1期目であるこれまで4年間の取り組みや構想が、事業として具現化、あるいは、具体的な計画の策定が始まる年であり、元気なまち花巻市の復活につながりますよう、市政運営を行ってまいります。

合併特例債につきましては、平成30年度予算案において、平成30年度の発行予定額「22億2,040万円」を見込んでおり、平成30年度発行予定額を含めた平成30年度末までの発行済額は「232億9,040万円」となりますことから、平成31年度以降の発行可能額は「156億7,960万円」と見込んでおります。この全額について、図書館整備、整備実現の可否を探っているJR花巻駅の橋上化、東北自動車道花巻パーキングエリアへのスマートインターチェンジ整備、さらには石鳥谷「道の駅」リノベーション等、今後、平成37年度までに実施が見込まれる事業に活用することとしております。

その中で、花巻市も要望したところですが、現在、開会中の通常国会において、議員立法により、合併特例債の発行期限をさらに5年間延長することを認める法改正を目指していると伺っております。合併特例債の発行期限をさらに5年間延長する法律が成立した場合には、発行期間についてその分余裕ができることとなりますが、現在、花巻市が整備実現の可否を探っている大型案件は、その計画から実現まで少なくとも4年、また、案件によっては5年以上かかることが見込まれる大規模な内容も多いこと、さらに立地適正化計画に基づき近い将来に見込まれる「都市機能誘導区域」において事業化するものについては、国の財政支援も見込まれることから、それらの事業については、今後4年間においてしっかりした計画を策定し、合併特例債の利用に加えて、過疎債、辺地債も利用しながら、平成37年度末までに完了することを目途に進める必要があると考えております。

その意味で今後4年間は将来の花巻市のまちづくりを考える上で、その後、当面は見込まれないほど、極めて重要な4年間になると考えており、この期間に、まちづくりについて、しっかりとした計画を立てることが、花巻市にとって極めて重要であると考えております。

花巻市立地適正化計画に基づく事業

「花巻市立地適正化計画」に基づき、旧4市町それぞれの中心地域を生活サービス拠点と位置づけ、予約乗合交通を含めた公共交通を利用したネットワークを維持整備していくことを基本とする「花巻市立地適正化計画」に基づく、事業を着実に推進してまいります。

まず、総合花巻病院移転新築整備につきましては、公益財団法人総合花巻病院が、2月1日に建築工事に着手し、来年10月末の竣工を予定しております。市といたしましては、市民の生命と健康を守るため、総合花巻病院移転新築整備基本構想の実現に向けて引き続き支援してまいります。

次に、花巻中央地区のエセナ跡地の広場整備については、現在、実施設計を行っており、平成30年度中の完成を見込みます。

(仮称)災害公営住宅(花巻中央地区)につきましては、平成29年度に実施設計と用地買収を行い、本定例会におきまして、工事請負契約締結の議案を提出し、来年3月の竣工を目指します。あわせて、災害公営住宅の隣接地に、まちなかにおける子育て世帯向けの地域優良賃貸住宅を民間の活力を活用しながら整備していくことを計画してまいります。

新花巻図書館整備につきましては、平成29年8月に策定した基本構想を踏まえ、関係者や市民の皆様の意見を伺いながら、その規模や建設場所、事業費等を示した基本計画を平成30年度中に策定いたします。

JR花巻駅の東西自由通路と橋上化等の整備について、引き続き、東日本旅客鉄道株式会社による、整備に係る条件整理や概算費用を算定するための調査を行ってまいります。この調査結果を踏まえながら、花巻市として整備の可否について引き続き検討してまいります。

また、旧4市町の中心地を結ぶ基幹公共交通の維持を図るとともに、各地域内の交通については、民間事業者による支線バス路線の維持が困難となった場合は、予約に応じた効率的な運行が可能な予約乗合バスを導入し、交通手段の確保に努めてまいることとし、平成30年度中に民間事業者の支線バス路線の廃止が見込まれている大迫地域については、予約乗合バスの導入に向けた準備を進めているところでございます。

3総合支所の主な施策

大迫総合支所

大迫地域につきましては、今年も大迫交流活性化センター周辺を会場に、昨年、ご好評をいただいた「日本ワインフェスティバル花巻大迫」を5月26、27日に開催いたします。

また、大迫地域にとり、重要なぶどう産業につきましては、法人1社、個人2名が新たにワイン専用種を含むぶどうの生産を開始することとなりました。大迫地域にとって、重要なワイン産業を維持発展させるためには、その原料となる、ぶどうの生産維持を図る必要がありますが、ぶどう生産農家の高齢化や担い手不在により、ぶどう栽培を継続できない農家の園地を新規就農者へ引き継ぐため、ぶどう栽培作業の委託に要する費用を農家へ補助する制度を、平成30年度に新たに設けることとし、本定例会に提案する平成30年度予算案にこの費用を計上しております。

大迫高校の生徒の確保につきましては、関係機関や地域との連携により、大迫地域外からの通学者に対する通学費補助やオーストリア共和国ベルンドルフ市への派遣交流を引き続き支援するとともに、ぶどう栽培体験や大迫高校神楽等の高校の特色を引き続き発信してまいります。

石鳥谷総合支所

石鳥谷地域につきましては、まず、道の駅「石鳥谷」の南部杜氏の里としての魅力や利便性の向上を図るため、南部杜氏伝承館の展示内容、施設の機能の大幅な拡充を含む、現行、施設資源を最大限に生かした施設再編の基本構想・基本計画を策定することとし、国の支援の可能性を見据えながら、「一般財団法人日本みち研究所」に対し、その作成作業の支援を委託することとし、平成30年度予算案において、そのための費用を計上しております。

石鳥谷駅は電車により盛岡から約30分と近距離に位置しております。盛南開発、矢巾町への岩手医大附属病院の移転、紫波町オガールプロジェクトの成功等により、盛岡市のベッドタウンは南下する傾向が見られますが、このような情勢を踏まえ、石鳥谷駅周辺を「花巻市立地適正化計画」においては「居住誘導区域」に設定したところであります。現在、石鳥谷駅東口において民間企業が宅地開発し、販売しております。花巻市は、昨年12月に石鳥谷駅東口において合計約7,100平方メートルの土地の寄附を受けたところであり、隣接地の市有地を含めて合計約10,600平方メートルの所有地を有することとなりました。この市有地を宅地として活用する計画の策定を行うこととし、これに加え、現在、石鳥谷駅東口において未利用となっている空地の活用について民間活力の可能性についても、検討していきたいと考えております。

石鳥谷生涯学習会館につきましては、施設の長寿命化を図るため、建物劣化度調査により適正な維持管理に努めるとともに、エレベーターを平成30年度に設置いたします。

東和総合支所

東和地域につきましては、平成30年度において、現在休止している東和コミュニティセンターの解体を行うとともに、現在実施中の新たなコミュニティセンター建築の実施設計が完了した後、できるだけ早く、平成30年度中にも新コニュニティセンター建設の補正予算をご提案し、平成30年度中にも建設に着手したいと考えております。

また、東和地域においては、住民が主体となって、土沢商店街等において「アートクラフトフェア」、道の駅「東和」において「ガーデン&マーケットin東和」が開催されており、さらに新たに東和農旅の活動が開始されております。これらの取り組みは、あくまで住民の方々が主体となっているものでありますが、市職員に対しては、市の業務として、それらの取り組みに対する支援を行うことを指示しており、今まで以上に「まち」の中に出て住民とともに、まちづくりに取り組むことをお願いしております。

花巻市の人口減少の大きな要因は、社会減より自然減であります。しかし、その中で市内の平成30年1月末現在の有効求人倍率が1.6倍と高止まりしており、企業にとっての人手不足が進む状況において、企業の要望に応えるためにも、また、花巻市の人口維持を図るためにも、花巻市へのUIJターンを促進する必要があります。この観点から従前より取り組んでいる移住者に対する情報提供環境の整備や支援制度の充実、空き家バンク制度、大変効果が発揮していると理解しておりますが、引き続き推進するとともに、移住定住の受け入れ環境を整備し、市と市民や移住希望者等がサイトを共有し交流できる双方向参加型サイト「まきまき花巻」を引き続き運用してまいります。

移住定住対策

また、県外から花巻市へ移住し、住宅を取得した子育て世帯の方や、空き家バンクに登録している空き家を取得もしくは賃借した方、さらに昨年5月より実施した市外から農業に従事する予定で花巻市に移住した方に対する、住宅取得にかかる諸経費や引っ越し経費、住宅の改修費等の経費の一部を支援する定住促進住宅等補助金につきましては、今後も継続し、定住に係る支援を推進してまいります。

また、平成30年度、新たに花巻地域、大迫地域、石鳥谷地域、東和地域の生活サービス拠点への定住や子育て世帯の親との同居・近居を誘導するため、住宅を取得した子育て世帯を対象とした奨励金制度を創設いたします。各地域の生活サービス拠点の区域の意味でございますが、花巻地域及び石鳥谷地域においては、「花巻市立地適正化計画」において「居住誘導区域」や「都市機能誘導区域」に指定されている区域といたします。

しかし、「花巻市立地適正化計画」においては、制度の制約から大迫地域・東和地域の中心地域には「居住誘導区域」は指定されておりません。しかしながら、大迫地域・東和地域から花巻地域または石鳥谷地域に移住する住民がみられ、その結果、大迫地域・東和地域の人口減少がみられる傾向にあることから、今回、創設する補助制度においては、大迫地域・東和地域のそれぞれの地域の中心部に移住する方々も奨励金の対象とするものであります。

先ほど申し上げましたとおり、大迫地域中心部・東和地域中心部には「居住誘導区域」は指定されておりません。そこで、大迫地域・東和地域の中心部のどの範囲への移住を補助金の対象にするか決める必要がありますが、その決定にあたっては、それぞれの地域の皆様と協議を行い、その上で対象地域を決定することといたします。

子育て支援

先ほども申し上げましたが、人口減少の主な要因は子供の出生数減少を特に要因とする自然減であります。この観点から子育て支援、大変重要になります。花巻市の一般会計予算は平成30年度予算案において、約476億円に対し、市税は約111億円に留まり、花巻市が国の支援を受けずに独自に行える施策については自ら限度があります。

この中で高齢者の生活を守るための施策については、今までと同様に継続していく必要がありますが、人口減少に対処する施策としては、子育て世帯の支援を行い、安心して子どもを産み育てる環境を拡充することが最も重要となります。この観点から平成30年度予算案においては、市長就任以来、拡充に努めてきた子育て支援に特に重点をおいて、さらなる拡充をいたします。

まず、医療費助成につきましては、市長就任以来、行っている就学前児童の医療費全額助成、そして新たに施策として実現してきた現物給付、小学生や心身に障がいのある児童の保護者、ひとり親家庭への医療費助成に加え、平成30年度からは、さらに子育て世帯の経済的負担のさらなる軽減を図るため、新たに中学生・高校生等の医療費助成を開始いたします。

また、第3子以降の児童の保育料負担軽減につきましては、市長就任以来、実施してきた施策でありますが、これまで第1子の要件を小学校6年生までとしていたものを「年度内に18歳である者」までに拡充し、第3子以降の利用者負担額の一部または全部を補助する。そのような拡充をいたします。

次に保育園の待機児童の解消に向けて保育施設を整備するとともに保育士を確保するため、以下の施策を強力に推進いたします。

1つ目といたしましては、平成29年12月補正で予算措置した、花巻駅西側にあります空店舗を活用して市が市立保育園として整備している小規模保育施設が3月に完成しますので、4月から利用を開始します。さらに平成30年度においては、法人立保育園5園の整備を支援するとともに、市立西公園保育園に保育室を増設します。これらの施設整備が進みますと、入所定員が198人増加することとなり、特に0歳児から2歳児において待機児童が発生している、花巻地区においても待機児童は、計算上、解消されることとなります。

2つ目といたしましては、不足する保育士確保策です。まず、法人立保育園の保育士等に対し、平成29年7月より実施しております再就職支援金貸与や保育料の減免・補助等を継続して実施いたします。
次に、平成30年度からは新たに市内在住で市内法人立保育施設に勤務する方を対象として、家賃月額の上限を40,000円とし、勤務先から支給される住宅手当を除いた額に対して、採用された日の年度から起算して1年目2分の1、2年目3分の1、3年目4分1の家賃補助を行ってまいります。

さらに、国民健康保険特別会計は、平成30年度より運営主体が市から岩手県に移行され、広域的、効率的な運営を推進いたしますが、花巻市においては、国民健康保険税率の見直しを行い、所得の低い世帯も負担が大きくなることがある資産割を廃止し、それとともに均等割や平等割の調整により、全世帯の国民健康保険税の引き下げを行ってまいります。この引き下げにより、1世帯当たり平均で年額11,580円の保険税額の引き下げを見込んでおります。これは、子育て世帯に限らず、所得が相対的に高くない世帯全般に特に引き下げの効果が及ぶと考えておりますが、国民健康保険に加入している子育て世帯にとっても保険料の軽減がなされ、その意味で子育て世帯につながるものと考えております。

平成30年度の主要施策

次に、平成30年度に新たに実施する事業を中心に主要な事業についてご説明いたします。

しごと

花巻市の農業の根幹をなす水稲につきましては、平成30年産より主食用米の生産数量目標の配分が廃止され、需要に応じた生産に取り組むため、生産者毎の生産目安を花巻市においても提示しております。また、需給バランスを図るため、水田フル活用ビジョンに基づいた飼料用米や野菜等水田活用作物の作付を進めることに加え、良食味で高品質な主食用米の生産を目指し、ケイ酸を含む土壌改良資材を利用する農業者の取り組みに対し引き続き支援をしてまいります。

経営コストの削減や生産性の向上への効果が見込まれる農業用ICT(情報通信技術)等の導入の取り組みにつきましては、ICT機器導入や農業用ドローン操縦の技能取得に係る費用に対して支援してまいります。
農地の集積・集約化につきましては、平場については花巻市、全国においても中間管理機構の利用が進んでいるところですが、中山間地域等の条件不利地域における農地の流動化を図るなど、農地中間管理事業を活用した農地集積をさらに推進するほか、平場を含めて農地の地理的な集約の推進に取り組んでまいります。

民有林の森林整備につきましては、国の支援を受けるためには、森林経営計画を策定する必要がありますが、小規模な民有林については、独自に森林経営計画を策定することが困難である、そのような実態があります。このことから花巻市が市内全域に保有する約1,400ヘクタールの市有林について、市内15箇所の地域に分け、それぞれの市有林について、森林経営計画を策定し、それら市有林と同一地域に所在する小規模な民有林も市が策定する森林経営計画の対象とすることにより、小規模な民有林に対する国等の支援を可能としてまいります。

また、木質バイオマス燃料の安定供給と松くい虫被害木や地域資源の有効活用を促進させるため、小口の買い取り制度を引き続き実施してまいります。

産業支援に中核的な役割を担う花巻市技術振興協会は、今まで任意団体であり国や県の補助事業を受託することができなかったため、地域企業への支援に対し制限がありましたが、3月1日より法人格を有する「一般社団法人ビジネスサポート花巻」に改組、改称し、新たな産業創出や地域企業への支援体制の強化・向上を図ってまいります。

昨年、花巻市を訪れた観光客の数は、214万人と、国内の人口減少や岩手国体による入込増の反動から、前年対比で約8万6千人の減少となる一方で、そのほとんどが花巻の宿泊施設に宿泊いただいている訪日外国人観光客は4万5千人と、前年対比約2倍と大幅に増加しております。

花巻空港への国際チャーター便は、平成29年度、台湾便を中心に過去最高の164便の運航が決定しております。平成30年度は、現時点で台湾、香港、タイとの136便の運航が決定しているほか、本年1月には、岩手県とタイガーエア台湾との間で国際定期路線の実現に連携して取り組む覚書が締結され、花巻空港初の国際定期便の就航に向けた取り組みが進んでおります。

また、岩手県が台湾に次ぐ重点市場としており、花巻を訪問される外国人観光客が台湾に次いで多く、平成29年度は平成28年度と比較して3倍以上に増えている香港からの観光客を増加させるため、私を団長とし、花巻市、遠野市、平泉町の行政や観光関係者が、観光庁の交付金を活用して、本年2月に、香港の大手旅行会社や関係機関を訪問し、より一層の送客をお願いしおります。これについては大きな成果が出たと考えております。

今後も引き続き、花巻空港の利用促進を図り、外国人観光客を増加させるため、岩手県をはじめ関係団体と連携した取り組みを進めてまいりますほか、国内外に向けた広域連携による誘致活動を積極的に推進してまいります。

花巻産のぶどうやりんごを活用したワインやシードル等の果実酒につきましては、醸造新規参入者に対する支援や、花巻産ワインの販路拡大とワイン産地としての認知度向上に向け、首都圏でのプロモーションイベントの開催、ワインツーリズムに取り組むとともに、先ほど申し上げましたとおり、「日本ワインフェスティバル花巻大迫」を本年5月に再び開催いたします。

企業誘致につきましては、市内団地の分譲可能な用地が残り少なくなってきたことから、平成30年度は第一工業団地と第一工業団地テクノパークを拡張する形で約4ヘクタールの現状農地を取得します。

また、中長期的に整備を計画している産業団地の候補地につきましては、いずれも農業振興地域が含まれていることから、これを活用することは大変困難ですが、その中で慎重に適地選定を進めるとともに、現在、設置の可能性を模索しているスマートインターチェンジ建設計画の進捗状況も踏まえながら、一定規模の面積を有する新たな産業団地の整備を検討してまいります。

雇用対策につきましては、花巻管内の有効求人倍率が依然高い水準にありますことから、花巻公共職業安定所、花巻雇用開発協会等の関係機関と共同で市内企業における人材不足の解消に向けた各種事業を推進してまいります。

特に、花巻市内の高校を卒業した生徒の地元就職率は県内でも高い水準にあり、本年3月に卒業し就職内定されている高校生の県内企業への就職率は84パーセント、うち市内企業への就職率は47パーセントと引き続き高い定着率を維持しておりますが、一方で、大学や専門学校卒業生の市内企業への就職は低調な状況にあります。

製造業をはじめとする市内企業の状況をみますと、好調な受注等に対応するために工場の増築や従業員の採用増を計画する動きがあるものの、慢性的な人手不足により雇用確保が図れず、増築等に慎重になるなど、事業活動に影響を及ぼしている企業が少なくないと認識しております。

そこで、平成30年度は、平成29年度まで行ってきた高校生の地元定着を促進する事業に加え、県内外の大学生等を対象とした市内事業所での中・長期(1から6カ月)のインターンシップを実施するとともに、市内事業所と大学生等とのマッチングを進めるための事業所説明会や見学会を開催して、大卒者等の地元定着と市内事業所への人材確保に努めてまいります。

暮らし

道路環境の充実につきましては、山の神諏訪線や寺林線、上町花城町線、城内大通り一丁目線等の幹線道路の整備を促進するほか、橋梁の点検や補修等とともに、平成30年8月末までの完成を目指し豊沢橋の架け替え事業を進めてまいります。これらの事業はすべて国の財政的な支援を受けて行う予定のものであります。

また、西南地区への道の駅設置に向けて実施設計や用地取得を進めてまいります。
さらに、産業の振興と市民の利便性向上を図るため、東北縦貫自動車道花巻パーキングエリアに接続するスマートインターチェンジの整備について、関係機関との検討を継続し、その調査等費用を平成30年度予算案に計上しております。

インターネットに係る光通信未整備地域につきましては、東和町の浮田地域や谷内地域の一部、田瀬地域、大迫町の内川目地域、外川目地域においては、通信事業者から費用対効果や加入世帯数の一定以上の確保等の条件を付されており、現時点での光ファイバーを利用した環境の整備は困難でありますことから、モバイルWi-Fiルーターの導入に対する支援を行い、インターネット接続環境の向上を図ります。

自主防災組織の活動を支援するため、(仮称)自主防災アドバイザーの委嘱や防災士育成事業補助制度を創設いたします。

消防力の強化につきましては、消防団の団員が地域によって減少していることから、このままでは消防団の組織体制を維持することが困難となるため、現在、花巻市と消防団が連携し、消防団組織の見直しを行っており、花巻市としては消防団の意向を踏まえながら消防団組織の再編を支援するとともに、入団しやすい環境づくりを推進してまいります。

「花巻市空家等対策計画」により、空き家等の適切な管理に向け所有者等に対し、指導・助言や、勧告等の措置を行い、あるいは、シルバー人材センターのサービスの紹介等を行うとともに、平成30年度において新たに老朽危険空き家の解体に対する補助制度を創設いたします。

介護サービスにつきましては、介護サービスに携わる人材を確保するため、市内の介護サービス事業所等で働く場合に、奨学金返還金の一部を補助する介護人材確保事業を平成30年度から新たに開始いたします。

退院直後の母子に対して心身のケア等を行う産後ケア事業については、花巻市の委託事業者による開設場所が本年4月から移転され、利用者の受入体制の充実を図ってまいります。

人づくり

虐待を受けた児童等の社会的養護につきまして、市内児童養護施設「清光学園」の移転新築整備を支援いたします。

今月末に改築完了予定のこども発達相談センターにおいて発達相談等を実施し、発達に課題のある幼児の早期発見と支援に努めてまいります。

少子化による児童生徒数の減少や施設の老朽化等、教育環境の変化による課題が生じておりますことから、望ましい教育環境についての基本方針を策定し、市民の皆様と意見交換を行い、将来を見据えた教育のあるべき姿の構築に取り組んでまいります。

また、学校における情報セキュリティの向上と教職員の多忙化の解消。大変な問題となっておりますが、この解消を図るため、文部科学省が策定した「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に基づき、学校における情報ネットワーク運用の効率化と強靭化に努めてまいります。

児童生徒の安全と快適な教育環境を創出するため、大迫中学校の屋内体育施設等の改築を継続してまいりますほか、国の学校改築・補修についての予算は相当少なくなっている状況がございますが、学校施設の将来を見据えた改修の手法や実施時期、見込まれる費用等、そのような費用等をまとめた学校別の施設管理計画の作成を進めてまいります。

働き方改革に係る取り組みにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、教職員について過重な労働環境があると認識しておりますが、まずは教育委員会により、教職員の勤務時間をしっかり把握し、教職員の過重勤務の大きな要因となっている部活動等の見直しを図るとともに、教職員の業務改善に努めてまいります。

奨学資金貸与制度につきましては、就学に向けた支援が必要な方への貸与と市内に居住することを条件とした返還免除型の奨学金制度である「はなまき夢応援奨学金」を継続してまいります。

学校給食につきましては、施設の老朽化等の諸課題を抱えております。このことから、将来において安全で安心な学校給食を安定的に供給していくため、花巻市の財政上、やれることには限界がございますが、そのような検討を進めてまいります。

国際姉妹都市・友好都市との交流につきましては、今年、アメリカ合衆国アーカンソー州ホットスプリングス市との姉妹都市提携25周年を迎え、9月にホットスプリングス市からの訪問団をお招きし、10月に記念式典に出席するため、市民訪問団とともにホットスプリングス市へ訪問し、交流を深めてまいります。

また、花巻市は、昨年11月、2020年東京オリンピック・パラリンピックへの参加国や地域と東日本大震災の被災地との交流を図る「復興『ありがとう』ホストタウン」に登録され、アメリカ合衆国、オーストリア共和国を相手国に、交流を進めてまいりますが、去る2月27日には、内閣府のモデル事業として内閣府の支援も得ながら、花巻市を訪れるのが2度目となるオーストリア大使館コンスタンティン・サウペ参事官をお招きし、大迫中学校において、文化講演会を開催し、サウペ氏から今後の交流についてのご提案もいただきました。サウペ氏からは、大迫中学校において中学生がドイツ語でベートーベンの第九を歌ってくれたことに大変感激したとの言葉をいただいたところです。また、来たる3月4日には、富士大学スポーツセンターにおいて、同じく内閣府のモデル事業として、楽天野球団の米国人であるダレル・ラズナー氏をお招きし、小学生を対象とした野球教室を開催する予定となっております。

スポーツ振興につきましては、地域における生涯スポーツを推進するとともに、競技スポーツについても引き続き、支援をしてまいります。

既に田瀬湖ボートコースにおいて、2020年東京オリンピック日本代表チームの事前合宿が決まっておりますが、本年や来年も利用いただけるように協議を進めてまいります。本年についても具体的な日程を協議しているところであります。

また、花巻市にゆかりのある選手4名が所属している埼玉西武ライオンズのホーム球場である、メットライフドームにて「(仮称)花巻デー」を開催するとともに、本年12月に花巻市ゆかりの選手を講師として花巻市にお招きし、野球教室を開催することにつきましても、埼玉西武ライオンズと協議しているところであります。

さらに、「一般社団法人自治総合センター」が主催する「ドリーム・ベースボール」の花巻市における開催が内定となり、著名な元プロ野球選手からなるドリームチームと花巻市の選抜チームとの親善試合や「少年少女ふれあい野球教室」を本年9月に開催いたします。

また、花巻市の強みである高速交通網の利便性を生かし、大規模スポーツ大会や合宿誘致等のスポーツツーリズムを引き続き進めてまいります。本年も全国的な大会の開催の協議が進んでいるところでございまして、2020年度にかけて、そのような大会についても話が出てきているところです。
花巻城跡につきましては、花巻城跡調査保存検討委員会の意見を伺いながら、本丸の内容確認調査を実施いたしますとともに、今後の保存と活用方策、特に本丸の保存と活用を検討してまいります。

地域づくり

「第2次花巻市男女共同参画基本計画」に基づき、DV防止について考えるセミナーや男女共同参画推進員による出前講座等を引き続き実施してまいります。本年1月には、「LGBT(性的マイノリティ)の理解の促進」を図るため、市職員に対する研修を行いました。

行政経営

公共施設の更新・統廃合や長寿命化を計画的に行うため、平成29年度に引き続き「公共施設マネジメント計画(実施計画編)」の策定を進めてまいります。

結びに

以上、私の平成30年度市政運営の方針と主要施策の概要について申し述べさせていただきました。
市民、市議会議員の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

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