市長演述 令和5年第1回(令和5年3月議会)

印刷大きな文字で印刷

ページ番号1017944  更新日 令和5年2月24日

本日、令和5年第1回花巻市議会定例会が開催されるにあたり、令和5年度の市政運営に臨む所信の一端を申し上げさせていただきます。

はじめに

私が市長として市政を担わせていただいて10年の節目を迎えます令和5年度は、「子どもの成長とともに創る、未来のはなまきを確かなものに」の方針のもと、子育て・ひとづくりのまちづくりを中心に、花巻に住みたいと感じられるような活力に満ちたまちづくりや、若者から高齢者までの市民が安心して暮らせるまちづくりに取り組んでまいります。

第2次花巻市まちづくり総合計画の策定

令和6年度から令和13年度までを計画期間とし、まちづくりの方向性を示す「第2次花巻市まちづくり総合計画」を現在策定しております。これまで、市民意識アンケートのほか、23歳以上の幅広い世代による一般部門と、高校生から22歳までを対象とした若者部門の市民ワークショップを開催したほか、専門的な意見を反映するため市内関係団体等10団体との意見交換を行い、多くの市民の皆様の参画により、幅広い層から御意見を伺ってまいりました。

今後、本年4月末を目途に、長期ビジョンの素案を策定し、その後地域説明会やパブリックコメントにより、さらに市民の皆様の御意見をお聞きしてまいりたいと考えております。

また、長期ビジョンに基づいて取り組む施策の基本的な方向性や推進方針などを定める前期4年間のアクションプランは、令和5年度末を目途に策定してまいります。

市の人口は、住民基本台帳の速報値ベースで令和4年末では前年比1,095人減の92,377人となっております。人口減少の要因は、全国の令和4年の出生数が80万人を割り込む見込みとされる中で、当市の出生数も457人とコロナ禍前より大きく減少し、また死亡数が1,611人と多いことがあげられます。

転入から転出を差し引く社会増減は、令和4年は、コロナ禍による行動制限が緩和されたことを受け、首都圏への転出拡大の動きが全国的に見られますが、市の住民基本台帳の速報値を見ますと、65人の増となっております。

今後も市の活力を維持し、住み続けたい魅力あるまちとしていくためには、当市が取り組む子どもの医療費助成や妊産婦の産前・産後サポート体制の強化を含む、子どもを産み育てやすい環境づくりのための子育て支援の拡充や、移住者や子育て世帯を対象とした若い世代への定住促進策など、若者が住みたい、住み続けたいと思えるまちとなるための施策に、引き続き重点的に取り組む必要があると考えます。

子ども・子育て支援の充実

国では、本年3月末をめどに「次元が異なる少子化対策」の具体策のたたき台を取りまとめ、骨太の方針を策定する本年6月までに、将来的な子ども子育て予算の倍増に向けた大枠を提示する方針を示すとしております。

これまでも当市は、子育て支援に注力してきたところですが、令和5年度は、国及び県の動向も見ながら市がさらに取り組むべき子育て支援施策の検討を進めます。国が全国の市区町村に設置を進める子ども家庭センターにつきまして、本年中を目途に体制整備に向けた検討を進めて参ります。妊娠期から出産・子育てまで一貫して身近で相談に応じ、様々なニーズに即した必要な支援につなぐ伴走型相談支援の充実を図るとともに、出産育児に係る経済的負担の軽減を図る出産・子育て応援交付金の交付を一体的に実施します。

市独自の子育て支援策として、これまでも第3子以降の保育料及び副食費の一部又は全部の助成や、3歳児未満の児童の保育料の引き下げなどに取り組んでまいりましたが、令和5年度におきましては、国の制度により実施してきた3歳児以上の児童の保育料無償化に加え、県の補助制度を活用しながら、3歳児未満で第2子以降となる児童の給食費を含む保育料の無償化や、在宅育児世帯への支援を実施するとともに、3歳児以上の児童を対象に保育施設利用世帯から徴収している副食費のうち、第3子以降の児童に要する副食費の全額を支援するなど、今まで以上に充実した子育て支援策に取り組んでまいります。

周産期医療につきましては、市民が安心してお産することができる環境を維持するため、市内産科医療機関へ就職する医師、助産師及び看護師に対する支援と、産科医療機関が医師の人材紹介事業者から紹介を受けて医師を雇用した場合に対する経費についての支援を継続し、市内の産科医療の確保を進めるとともに、「岩手中部・胆江・両磐」周産期医療圏における地域周産期母子医療センターであり、岩手中部医療圏の基幹病院である岩手県立中部病院の産科医療体制の維持、および新生児の安全を確保するための小児科機能の拡充について、引き続き岩手県及び県立中部病院に要望し、周産期医療の維持確保に取り組んでまいります。

妊産婦への交通費支援につきましては、当市では岩手県の補助金制度を活用して医師が妊娠や分娩に高いリスクがあると判断した妊産婦いわゆる「ハイリスク妊産婦」を対象に、公共交通機関、タクシー及び自家用車の利用等に対する交通費や産科医療機関近隣の宿泊施設に待機宿泊するために要した宿泊費に対し支援するとともに、市の単独事業としてハイリスクに該当しない妊産婦が利用するタクシー料金への支援を行っておりますが、当市においてもハイリスクに該当しない妊産婦に対する交通費等の支援対象について、公共交通機関や自家用車の利用のほか待機宿泊のための宿泊費を加えるなどの拡充を行います。

子どもの医療費助成につきましては、さらなる拡充として、市内の高校生等までのすべての子どもが対象となるよう、令和5年8月より小学生から高校生等までの医療費助成の認定基準である所得制限の撤廃を行ってまいります。

また、妊産婦の医療費助成につきましては、市内のすべての妊産婦が対象となるよう、認定基準である所得制限の撤廃について、令和6年度の実施を目指し、そのためのシステムの改修を行います。

妊娠前から子育て期にわたる母子保健や育児に関する様々な悩みに円滑に対応していくため、市内のNPO法人まんまるママいわてへ委託し行っている「産後ケア事業」、「産前・産後サポート事業」を継続し、母子の心身の健康をサポートしてまいります。さらに、同法人の意向を踏まえた上で、宿泊型サービスをはじめ、産後ケアサービスの充実に向けた検討、協議を重ねてまいります。

保育園等の待機児童対策につきましては、その発生要因が、依然として保育士不足によるものでありますことから、その解消に向け、市内私立保育施設の保育士等を対象とした再就職支援金貸付などの支援事業を継続して実施し、保育士の確保に努めてまいります。

また、社会福祉法人石鳥谷町保育協会が運営している石鳥谷善隣館保育園と石鳥谷保育園について、運営法人が国の補助制度を活用し、両園の統合を前提とした新たな幼保連携型認定こども園を整備する計画があり、同地域における待機児童の解消につながると期待されることから、市の整備費に対する財政支援のみならず、事業が円滑に進むよう支援してまいります。

学童クラブにつきましては、利用児童数の増加により待機児童が発生している桜台小学校区に、民間事業者による新たな施設整備が予定されており、施設の完成が見込まれている本年秋頃までの期間、臨時開設場所を提供するなどの支援を行ってまいります。

定住促進対策

当市の移住定住相談は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前の令和元年度が132件であったのに対し、令和3年度は573件となっており、首都圏等における地方への移住ニーズが依然高い状況にあるとも考えられますことから、移住支援相談員による相談対応の充実や、移住コーディネーターによる情報発信に努めてまいります。

近年の当市における転入超過の傾向は、こども・子育て世帯等への移住定住支援策の効果が一定程度あったものと捉えておりますことから、令和5年度より「定住促進住宅取得補助金」や「子育て世帯住宅取得奨励金」の子育て世帯の要件を、15歳から、18歳に達する年度末までの子に拡充するほか、若者世代等への住宅支援である「結婚新生活支援事業費補助金」や「若者世代等空き家取得奨励金」などにも、今後継続して取り組んでまいります。

移住支援金制度につきましては、国の制度拡充に伴い、令和5年度から、世帯での移住者に対して、18歳未満の子ども1人の支援金額を現行の30万円から100万円に引き上げとなりますことから、市独自のUIJターン者就業奨励金制度も併せて活用を促すことにより、当市へのUIJターン者の増加及び市内事業所への就業につなげてまいります。

活力に満ちたまちづくりに向けた事業

道の駅「石鳥谷」の整備につきましては、道の駅施設の設置者である国と協議を行いながら、市及び国においてそれぞれ施設再編を着実に進めており、南部杜氏伝承館を含む全施設の改修、広場及び駐車場の整備が完了し、県内第1号の道の駅として指定されてから30周年を迎える本年7月にフルリニューアルオープンする予定となっております。

花巻パーキングエリアへのスマートインターチェンジ整備については、本年中の供用開始も視野に入れながら、早期の供用開始を目標に工事を進めてまいります。

現在の市内全体の産業団地の分譲率は、令和4年3月末時点の95.1パーセントから96.1パーセントに上昇し、市内に進出を希望する企業の要望にお応えできていないことから、花南地区の産業団地の速やかな整備が必要になっております。

当産業団地は、現在、整備が進むスマートインターチェンジや4車線化を進めている国道4号に近接するほか、北上市と隣接する地理的条件を具備していること、さらには、複数以上の企業より分譲開始時期などの照会をいただいていることを勘案しますと、企業からの関心が高い団地であると考えております。

令和5年度以降は、埋蔵文化財の発掘調査や各種申請手続きと造成にかかる各種工事などを経て、現在のところ、令和7年度からの分譲開始を目指しておりますが、企業からの引き合いにお応えできるよう、1日も早い分譲を目指すとともに、総面積約33ヘクタールのうち、今回整備している中央部の約12ヘクタールを除いた残り約21ヘクタールにつきましても、需要に応じて速やかな整備・分譲が可能となるよう、各種設計や調査などに取り組んでまいります。

なお、令和5年度から「産業団地事業特別会計」を新たに設置し、中長期的な視野に立った取組も進めてまいります。

また、市の産業団地整備に加え、企業向けの用地を開発しようとする民間事業者に対し、公共インフラの整備費の一部を補助する民間産業用地整備促進奨励事業補助金の交付を通じ、新たな企業の受け皿となる用地の充実にも取り組んでまいります。

JR花巻駅東西自由通路・橋上化整備に係る追加調査等の結果につきましては、昨年、市民説明会を、市内15か所において計19回実施し、延べ267名にご参加をいただきました。諸団体への説明につきましても、10団体、計103名を対象に実施し、また、駅を多く利用する市内高等学校4校の生徒に対し整備概要についての説明と意見交換を行なっており、それに合わせて実施したアンケート調査では、「事業実施したほうが良い」、「半橋上駅ではなく橋上駅による整備を望む」との声が多数を占める結果となりました。

市は、これらの結果を受け、事業を本格的に進めるため、令和5年度において、JR東日本と協定を締結し、基本設計を実施してまいります。

また、自由通路整備に伴う西口駅前広場整備につきましては、駐輪場や駐車場の用地取得のための測量調査を実施してまいります。

新花巻図書館の整備につきましては、新花巻図書館整備基本計画試案検討会議での議論を踏まえ、駅周辺のスポーツ用品店敷地の所有者であるJR東日本と用地購入条件を交渉するため、令和4年度に市民の意向を聴く説明会を開催いたしましたが、もう一つの候補地である総合花巻病院跡地を望む根強い意見がある一方で、各種団体や高校生を中心に駅周辺を望む声が強かったところでございます。

市民の声の中には土地購入費や駐車場を含めた整備事業費の比較検討なしに判断できないという意見もありましたことから、整備費用の調査を予算化し、更に市民の意見を集約する必要があると考えておりますが、まずは、JR東日本側に市民の意見の状況を伝え、JR東日本がスポーツ用品店敷地を当市に譲渡する条件について確認した上で、今後の進め方を検討してまいります。

令和5年度のその他主要施策

令和5年度のその他の主要施策について、説明いたします。

花巻の地域・文化の魅力発信

本年は、宮沢賢治の没後90年の節目にあたりますことから、宮沢賢治並びに「賢治のふるさと花巻」を広く発信するため、「宮沢賢治没後90年事業」として、本年5月5日全国公開される、映画「銀河鉄道の父」とのタイアップによる映画の特別試写会やパネル展、宮沢賢治童話村など賢治関連施設を周遊するスタンプラリーを開催するほか、賢治が愛用していたチェロの演奏会や宮沢賢治記念館での特別展などを開催いたします。

継続事業の着実な進捗

市道寺林線、城内大通り一丁目線等の幹線道路の整備を促進するとともに、橋梁の点検及び補修を行うほか、上町成田線等の歩道設置を進め、安心・安全で快適な道路環境の充実に努めてまいります。

花巻中央広場を中心に旧まちなかビジターセンター、大堰川プロムナード、吹張町から上町通り等、公共空間を一体的に活用し賑わいの創出や新たなまちづくりの担い手を発掘するための社会実験を実施いたします。

岩手県立大迫高等学校の生徒確保につきましては、令和5年度に、高校生おおはさま留学生6名を含む27名の志願者を確保することができました。

令和6年度においても当該留学生を確保していくため、新たに県外留学生が帰省する際の旅費の補助や、県外からの入学希望者に対するオープンスクール参加旅費の補助を拡充するとともに、さらに留学生受入れのために必要な学生寮の改修を行ってまいります。

しごと

PayPayを活用したポイント付与キャンペーンにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少している市内地場事業者の支援を目的に実施してきたところであります。この点は変わっておりませんし、今後ともこの観点が重要であると考えております。その中で、昨今の物価高・燃油高の影響を受けている市民の皆様を支援する必要性も高まっており、地場事業者、市民の双方から継続してほしいとの声が多く寄せられていることから、令和5年度におきましても9回目のキャンペーンを実施してまいります。

農業者に対する支援につきましては、農林水産省による「水田活用の直接支払交付金」の対象水田の厳格化に対して、現実的な制度ではないと国に意見を申し上げてきたところであり、政府は当該交付金の交付対象水田における水張りの要件を緩和するなど方針を示したところであります。しかしながら、未だ問題が残っておりますことから、当市の農業を守るために必要な方策をとるよう、引き続き国へ要望してまいります。

ロシアによるウクライナ侵略や円安等を要因とした農業資材等の価格高騰により、大きな影響を受けている水稲生産農家や畜産農家、園芸農家等につきましては、令和4年度補正予算に計上した肥料や飼料の高騰対策の実施に加え、農畜産物の価格安定事業やセーフティーネットである収入保険の加入支援を実施してまいります。

なお畜産農家の中でも特に酪農が大変厳しい状況にあります。先日、岩手県市長会の代表として県の農政審議会に私も出席いたしましたが、大変厳しい状況になっている酪農家において、国は乳牛の頭数を減らすという施策を今行っているところであります。数年後には状況は今より良くなることも見込まれるのではないかと期待しておりますが、それまで酪農家が経営を続けていくことに関する支援を考えた場合に、やはり飼料の支援等だけでは足りず、資金繰りのことを考えていかなくてはいけないのではないかということを私から発言を申し上げた次第であります。

県のOBで県の外郭団体の理事長、あるいは県の農協関係の方からのご発言もありましたけれども、「花巻市長が言っている通りであり、このままいくと、酪農農家の数が40年前と同様に大きく減少する危険性があるのではないか、資金繰りを支援するのは大事である」というご発言、あるいは農協団体としても利子補給等も考慮しながら酪農経営を継続していくことを考えていく必要があるのではないかというご発言をいただいたところであります。

我々としても農業関係者、農業関連団体も同じような意見を持っているということを非常に心強く感じた次第であります。県ではもう既に調査を行っているというお話でございましたが、まだその点についてはもう少し考えていただく必要があると考えられますことから、今後関係者と話を続けていく必要があると思った次第でございます。

また、意欲ある農業者の所得向上につながるスマート農業技術を含めた新技術の導入や規模拡大への取組のほか、中山間地域等条件不利地における生産活動を支援してまいります。

森林林業につきましては、平成31年度に創設された森林環境譲与税を財源として行う、航空レーザ計測による森林資源の解析データを活用したスマート林業の構築や地域の里山整備への支援などを通じて、森林林業の再生に向けた取組を進めてまいりますとともに、航空レーザ計測が令和5年度に概ね終了する見込みであり、森林環境譲与税の財源がその分ほかの事業に活用できることとなりますことから、令和6年度以降における森林環境譲与税の活用計画を検討してまいります。

農作物の食害やそれに伴う農業者の意欲の減退を防ぐため、有害鳥獣捕獲に対する補助金への市単独での嵩上げ補助や狩猟免許取得経費、電気柵設置経費への支援を引き続き実施してまいります。

花巻管内の有効求人倍率は、令和4年12月時点で1.69倍と高い水準にあり、求人募集を行っても応募が無いなど厳しい状況が続いておりますことから、市において、市内事業者の経営者向けまたは人事担当者向けにセミナーを開催し、採用活動に対する機運醸成を図るほか、市が本年2月に開設した「花巻市企業検索サイト」を活用し、求職者に市内事業者の勤務時間や福利厚生等に関する情報を発信するとともに、市内事業者とのマッチングや市内事業者見学会等を通じて、就職支援の強化を図ってまいります。

令和4年の観光客入込数は、コロナ禍ではあったものの、感染症対策を実施しながら、花巻まつりなどのイベントの開催や、国、県及び市の施策による宿泊等の支援があったことなどから、感染症の影響を受ける前の令和元年と比較し、およそ74%である約157万人まで回復してきております。

令和5年度は、コロナ禍前の観光客入込数の水準に回復するよう、国補助金等を活用する事業者への支援などを実施してまいります。

また、令和4年10月からの入国者に対する水際対策の緩和措置により、訪日外国人観光客が増加していることに加え、本年5月には、令和2年3月より運休が続いていた、いわて花巻空港の台北線が運航再開の予定であることが先日公表されましたことから、国内誘客にとどまらす、関係機関や団体と連携して、海外からの誘客にも取り組んでまいります。

暮らし

新型コロナウイルス感染防止対策

新型コロナワクチン接種は、花巻市医師会等関係各位のご理解、ご協力をいただきながら順調に進めて参りました。

新型コロナウイルス感染症への対応については、本年5月以降、国において、感染症法上の位置付けを、現在の「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げることが正式決定されました。

今後のワクチン接種については、本年2月8日に開催された、厚生労働省の専門部会及び同年2月10日に開催された国の自治体への説明において、5歳から11歳の3回目までの接種と生後6カ月から4歳の初回接種は、4月以降も随時接種できるよう現在の体制を維持する方向とし、12歳以上の次回の接種については「全ての者に本年の秋冬までに機会を確保することが望ましい」との考えが示されました。さらに、重症化リスクの高い高齢者や医療従事者については「秋冬以外の追加接種の必要性に留意する必要がある」とされ、最終的な接種方針は費用負担の在り方も含め、さらなる議論を経て正式に決定されるとのことでありました。

新型コロナウイルスにつきましては、オミクロン株による感染が拡大されてから重篤化される方が減っているとの報道もございます。しかしながら、日本全国で、直接コロナ禍を原因とすることであるかどうか全てはっきりさせることはできないかもしれませんが、コロナウイルスに感染して亡くなられている(2月23日現在72,051人)ということも報じられております。

これについては、岩手県内の新型コロナウイルスに感染して亡くなった方については数(2月23日現在602人)が報道されておりますが、各医療圏の数については、岩手県は公表していないところであります。しかしながら、花巻市を含む岩手中部医療圏においても新型コロナウイルスに感染して亡くなられている方については、国と、県全体と全く異なっているということはないと我々は認識しているところであり、やはりコロナ禍によって重篤化あるいは亡くなるということを防ぐことは極めて重要だと考えているところであります。

様々な週刊誌等の報道がありますが、我々が聞いている限りにおいて、国、県あるいは市内外を含めた医療関係者の方々の多くは、ワクチン接種が重篤化を防ぐということについての意見については、同様の意見をお持ちだということを我々は認識しているところであり、我々としては引き続き国の動向を注視し、また医療関係者の意見を聞きながら、ワクチン接種については適切に対応してまいります。花巻市内に限りませんが、コロナ禍において亡くなられた方々に対して心から哀悼の意を表したいと思います。

集落を守る対策

公共交通の維持・確保につきましては、旧4市町の中心地を結ぶ基幹バス路線の維持を図るとともに、民間事業者による支線バス路線の維持が困難となった場合は、予約乗合バスの導入を検討するなど、交通手段の確保に努めてまいります。

JR釜石線につきましては、経営状況が厳しいローカル鉄道の在り方について、国土交通省の有識者会議がまとめた提言において、「(仮称)特定線区再構築協議会」の創設が提案され、その設置要件を満たす線区に該当しております。岩手県では、県及びローカル線の沿線自治体の首長で構成する「JRローカル線維持確保連絡会議」を令和4年11月8日に開催し、連絡会議として国・JRに対し要望活動を行うことを決定し、同年12月16日に、国に対して、「国の責任において、地方路線維持に向けた経営の支援を行うこと」や「黒字路線の収益を赤字路線に配分するための仕組みを創設すること」を、また、JR東日本に対して、「『(仮称)特定線区再構築協議会』の実施要請に当たっては、地域の意見を十分に踏まえ、鉄道事業法における廃止手続きを一方的に行わないこと」などをそれぞれ要望いたしました。市といたしましては、今後も「JRローカル線維持確保連絡会議」や、ローカル線区ごとの設置が予定されている連絡会議、利用促進対策を検討するワーキンググループ等に参加し、沿線自治体と連携を取りながら、JRローカル線の維持確保に向けた取組を行ってまいります。

近年、地震や台風、土砂災害などの自然災害が各地で発生しており、防災対策と危機管理体制の強化の重要性を強く感じております。

災害から身を守るには、自分や家族で助け合う「自助」も求められるところではありますが、少子高齢化の進行に伴い、これまで以上に住民同士が助け合う「共助」の重要性、またその困難さも増しているところであります。防災に関する意識啓発や災害発生時の情報伝達などの地域防災の核となる自主防災組織への支援を継続するほか、長時間にわたる避難所開設や大規模災害発生時における市役所機能の維持を図るため、避難所運営等について各地区の振興センターとの連携体制の構築を目指してまいります。

安心、安全で快適に住み続けていくための対策

高齢者等が住み慣れた地域で安心して暮らしていく上で、介護サービスが安定的に提供できるよう、地域密着型サービスの基盤の整備を進めるとともに、介護職員への家賃補助の実施や介護のお仕事セミナーの開催等により、介護サービスに携わる人材の確保に引き続き取り組んでまいります。

在宅における医療的ケア児とその家族を退院時から継続して支援するため、医療的ケア児等コーディネーターを配置し、総合的かつ包括的な支援を行ってまいります。

消防施設等の整備につきましては、高規格救急自動車等の更新整備と消防水利の維持管理に努めるとともに、災害用ドローン1機を新たに配置し、各種災害に対応できる消防体制の維持を図ってまいります。

住宅環境の向上を図るため、都市計画の用途地域等において、適正な道路幅員を確保するなどの優良な宅地開発を実施する民間事業者に対して、造成費用を補助するほか、1年以上使用されていない空き家・空き店舗等を対象に、同じ場所に家屋、店舗等を新築することを条件として、空き家等の解体費の補助を継続して実施いたします。

市内の公園緑地を安全で快適に活用していただくため、公園環境改善として、わかたけ公園の芝生の張替えを実施するとともに、その他の公園についても、公園等施設の長寿命化対策として老朽化した公園等施設の改修や更新を逐次実施してまいります。

地球温暖化の防止につきましては、太陽光をはじめとする再生可能エネルギー発電設備の設置が、市民の皆様のご理解のもと適正かつ安全に進められるよう、県が改定を進めております岩手県地球温暖化対策実行計画を踏まえながら、設置に関する手続き等を定める条例の制定について引き続き検討してまいります。

新興製作所跡地につきましては、平成28年10月からガレキ、基礎杭、解体途中建物が残置された状態が続いており、市民から不安あるいは不満の声が寄せられております。一方、市が新興製作所跡地を利活用するためには、基礎杭の撤去、ガレキの撤去、擁壁の撤去の費用などに約14億円程度要するとの試算もあります。

その中で、所有者の破産手続き、それについてはかねがね申し上げている通り、私共としては予想していたところでありますし、それが望ましいということも申し上げてきたところでありますが、そのような所有者の破産手続きに伴い、破産管財人が新興製作所跡地を管理するに至り、当該土地の活用について、破産管財人との話し合いが可能となる状況も出てきております。当該跡地が、歴史的に由緒ある場所であることや景観上の問題も考慮した場合、上部平坦地だけでも市が取得の可能性を検討するとの観点から、まずは当市の試算を確認するため、擁壁に関する現況、安全性調査及び改修案の検討を行うため、調査業務を実施してまいりたいと考えており、その費用2,600万円を令和4年度補正予算に計上し、今議会に提出したところであります。

人づくり

桜台小学校長寿命化改良工事につきましては、令和6年度の事業完了に向けて引き続き取り組んでまいりますほか、東和中学校の大規模盛土造成滑動崩落防止対策事業につきましては、対策工事の実施設計の精査、検討を行い、工事に着手してまいります。

学校の部活動につきましては、少子化の進展や教職員の働き方改革が求められる中、これまでと同様の体制で部活動を実施していくことが難しくなってきていることから、生徒にとって望ましいスポーツ・文化芸術環境を確保することを目指し、学校部活動の地域移行に向けた検討を継続してまいります。

これについては、国は令和5年度から3年度以内に学校部活動の地域移行を行うべきとの方針を出しておりましたけれども、現時点においては3年度以内にすべて完了するということではないとして方針転換を示しているところであります。

国際交流事業につきましては、今年で姉妹都市提携30周年を迎える米国アーカンソー州ホットスプリングス市との記念事業を可能な範囲で実施し、交流を深めてまいります。

スポーツの振興につきましては、本年8月に令和5年度特別国民体育大会東北ブロック大会兼第50回東北総合体育大会が開催されることが決定しており、当市において、ボート、ソフトボールなど6競技が開催されますほか、12月には、第75回日本ハンドボール選手権大会(女子の部)が開催されることが先日決定し、国及び県のハンドボール協会から市役所にご挨拶にお見えになったところであります。

当市にゆかりのある選手4名が所属している埼玉西武ライオンズのホーム球場であるベルーナドームにおいて「花巻デー」を4年ぶりに開催するとともに、当市ゆかりの選手、(WBCに参加する)山川選手を含めてということを期待しておりますが、まだ決定しておりませんが、当市ゆかりの選手を講師として招いて野球教室を開催いたします。

文化会館では、新たな取組として、障がいのある方でも鑑賞できる演劇公演やプロの演奏家が小学校を訪問して音楽の授業を行うアウトリーチ事業などを実施し、より多くの市民の皆様が芸術文化に触れる機会を創出してまいります。

萬鉄五郎記念美術館は令和4年度に美術館空調設備改修に向けた設計を行っており、令和5年度は秋に休館し、空調設備の改修工事を行ってまいります。

地域づくり

市政に対する市民の意見をお聞きし、それを市政に反映させるため、令和4年度から市内27のコミュニティ地区での対面での開催を3年ぶりに再開した市政懇談会など、さまざまな意見聴取の機会を設けてまいります。

市民参画条例の制定につきましては、まちづくり基本条例及び市民参画ガイドラインの内容を基本に、先進自治体の事例等も参考にしながら条例案の作成を行っており、先日市民参画・協働推進委員会でその件について協議を行ったところでありますが、市民参画・協働推進委員会並びに市民の皆様のご意見も伺った上で、本年中の条例制定を目指し進めてまいります。

同性パートナーシップ制度につきましては、県内各自治体でも制度の導入や導入に向けた検討の動きが出てきており、当市においても検討を始めております。現在、国においてもLGBT理解増進法案が検討されており、その内容にパートナーシップ宣誓制度などを含めた内容となった場合においては、市独自の制度策定の必要性がなくなることも想定されます。

しかし、国がそのような立法を早急にするかどうか、現時点においては明確ではないところでありますし、今の案ではパートナーシップ宣誓制度は入っていないと理解しているところであります。また、県が条例で定める場合も、市の条例が必要であるかどうかわからないところでありますことから、国及び県の動向を注視しつつ、市独自の制度の導入が必要と考えられる場合にあたっては、制度の導入について市民全体の理解を得る必要があるとの認識のもと、市当局だけで決定する要綱ではなく、条例の整備が必要ではないかと考えているところでありまして、条例整備に向けた検討をさらに進めているところであります。

行政経営

行政情報の発信につきましては、引き続き広報はなまきを中心に花巻市公式ホームページ等を活用した取組を進めるとともに、より効果的でわかりやすい形での情報発信の方法を模索してまいります。

自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進につきましては、住民情報システムの標準準拠システムへの移行について、現行システムのクラウド化、これは市内の市役所の中のサーバではなく外部に保存してもらうという意味でのクラウド化、現行システムと標準準拠システムとの差異を比較分析して市の業務の流れの見直しを行うFit&Gap(フィット・アンド・ギャップ)作業等に着手してまいります。

また、「行政手続のオンライン化」及び「AI・RPAの利用促進」につきましては、市民の利便性の向上と職員の業務の効率化の観点から、さらなる推進を図ってまいります。

結びに

以上、令和5年度市政運営の方針と主要施策の概要について申し述べさせていただきました。

令和5年度は、未来のはなまきを創り、次へ向かって進んで行くうえで重要な年となると考えておりますことから、市民、関係団体の皆様、そして市議会の皆様とともに、市の活力を維持し、住み続けたい魅力あるまちづくりに取り組んでまいりますので、皆様からの建設的な意見を賜りますよう心からお願い申し上げ、私の所信とさせていただきます。

 

担当

総合政策部 秘書政策課 企画調整係

より良いウェブサイトにするために、ページのご感想をお聞かせください。

このページの内容は参考になりましたか?
このページの内容はわかりやすかったですか?

このページに関するお問い合わせ

秘書政策課
〒025-8601 岩手県花巻市花城町9番30号
秘書係 電話:0198-41-3502 ファクス:0198-24-4034
企画調整係 電話:0198-41-3503 ファクス:0198-24-4034
秘書政策課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。