市長演述 令和2年第1回(令和2年3月議会)

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ページ番号1011459  更新日 令和2年2月28日

本日、令和2年第1回花巻市議会定例会が開催されるにあたり、令和2年度の市政運営に臨む所信の一端を申し述べます。

はじめに

はじめに、現在、花巻市が置かれている現状の内、特に市政及び市民の生活に影響する事項についてお話させていただきます。

花巻市を取り巻く医療事情について

総合花巻病院

公益財団法人総合花巻病院が平成28年12月に公表した「総合花巻病院移転新築整備基本構想」に基づき、平成30年2月1日から着手した病院・特定施設棟、看護学校棟は昨年11月16日に完成し、令和2年3月1日に開院し、翌日の3月2日から外来診療を開始することとなりました。

新病院は、17の診療科を備え、常勤医師11名、岩手医科大学・東北大学などから応援いただく非常勤医師23名の医療体制でスタートすると伺っております。なお、常勤医師については、近々1名が加わり、12名体制となる予定であり、さらに、もう1名を確保するため、現在具体的な手続きを行っていると伺っております。この事業は、市内の中核病院である総合花巻病院の建物・施設の老朽化が進み経営にも困難さが見受けられたこと、また、花巻温泉病院の閉院が見込まれていたことから、市が働きかけ、岩手医科大学、医師会、岩手中部保健所を含む総合花巻病院移転整備検討委員会の皆様に「総合花巻病院移転新築整備基本構想」についてご審議いただき、言わば医療関係者のコンセンサスの下、県立中部病院及び岩手医科大学附属病院に最先端の高度医療は担っていただき、救急機能を担いつつ、回復期の病床を中心とした地域包括ケアを担う病院として構想されたところであります。

今後首都圏において高齢化が進行することにより医療需要がさらに増えると予想されること、また、働き方改革に伴う超過勤務の規制が令和6年からは医師にも適用されることから、医師不足の解消は当面見通せないところであります。このような中で、言わば「かかりつけ医機能」を持つ総合花巻病院が、心地よいスペース、施設を備えた病院として開院されますことを歓迎いたします。

周産期(産科)医療

昨年8月、市内の産婦人科クリニックが助産師不足を理由に産科機能を取りやめ、婦人科機能に特化することが発表され、また、昨年9月には、東北大学が県立中部病院に派遣している産科医3名を本年3月末に引き上げるとの意向が報道されたところであります。

当市は昨年6月下旬に東北大学から同大学産科医局所属医師が不足している状況をお聞きし、県立中部病院へ派遣していた産科医師3名を引き上げる方針について11月ごろに公表する予定であることをお聞きしたところであり、岩手県医師会、花巻市医師会、北上医師会の最大限のご支援を得て、北上市と同一歩調を取り、県と同様に、岩手医科大学に県立中部病院への産科医派遣をお願いしたところであります。

岩手医科大学産婦人科医局も、産科医が不足している状況でありましたが、岩手医科大学の「岩手県の周産期医療は岩手医科大学が守る」という強い信念の下、県立中部病院に産科医を派遣するという方針を9月初旬にはいただいたところであります。

県立中部病院の分娩数は4月以降、当面は今までより減少することとなると伺っておりますが、東北大学からの引継ぎが順調に進んだ後、産科医数を充実し、分娩数も今までと同程度まで回復することも想定されていると伺っております。

また、産科機能を取りやめることを発表した市内産婦人科クリニックについては、産科の検診機能を残すということをお考えいただいているとのことであり、検診機能はぜひ継続していただきたいと考えております。

岩手県保健医療計画(2018年から2023年)において、「産科医については総合周産期母子医療センターで常勤医師20名以上、地域周産期母子医療センター等で常勤医師10名以上の配置が必要」との学会の提言が記載されております。これを岩手県に当てはめると、岩手医科大学附属病院産婦人科には20名の常勤産科医、県立中部病院等には10名の常勤産科医が必要ということとなり、岩手医科大学産婦人科医局だけでは到底派遣不可能ということとなり、その場合には県内の地域周産期母子医療センターを1ないし2か所に集約しなければならないこととなりますが、県土の広い岩手県では到底現実的なものではありません。

一方、令和6年から医師についても超過勤務規制が適用となることを見据えて、岩手医科大学は分娩機能を持つ地域周産期母子医療センターの常勤医師は最低5・6名必要としております。このような中で、花巻市を含む岩手中部医療圏において、新たに、病院の産婦人科を新設することは不可能であり、花巻市としては、県立中部病院が地域周産期母子医療センターとして分娩機能を維持し続けることを力強く働きかける必要があると考える次第です。

当市は令和2年度当初予算案において、県が制度化するハイリスク妊産婦に対する交通費補助に加えて、居住地から離れた産婦人科に妊婦検診または分娩のためタクシーを利用する通常の妊産婦に対しても市独自の施策として、交通費支援に係る予算を計上しております。

また、妊婦の方が、異変・異常を感じ、かかりつけ医に連絡がつかない場合などは、躊躇せずに救急車を呼んでいただくことを呼びかけることといたします。この点について、岩手医科大学にもお伝えし、ご理解を得ているところであります。

なお、消防本部の救急業務にあたる消防隊員を3名増員するため、「花巻市職員定数条例の一部を改正する条例」について本定例会に提案を予定しております。

県立東和病院

昨年9月に厚生労働省が公表した再編・統合の検討対象となる公立・公的病院の中に県立東和病院が記載されたと報道されました。

「県立東和病院は急性期病床から回復期病床中心に転換されており」「総合花巻病院移転新築整備検討委員会においても、県立東和病院の回復期病床があることを前提として総合花巻病院の回復期病床を中心とする病床数が決定され」ていることから県立東和病院の医療機能の見直し或いは再編・統合の議論は不要であります。

県も県立東和病院について同様の見解を表明しており、昨年11月に開催された岩手中部保健医療圏地域医療連携推進会議病院部会・市町部会においても、「県立東和病院は、病床機能を回復期へ転換済みであり、国が求める再編・統合の方針に沿って適切に対応されている」との方針が全会一致で承認されています。

県市長会では花巻市からの提案により、「岩手県において地域医療構想を策定するにあたっては、市町村の意向を十分に考慮すべき」との意見表明がなされ、県に伝えられております。

このような現状から、県立東和病院が再編・統合される可能性は極めて小さいものと考えております。

市の人口動態について

花巻市の住民基本台帳を基に集計した「住民登録人口集計表」による人口の推移をみてみると、昨年12月末において、95,228人であり、前年比755人の減少となります。一方、平成29年は前年比1,028人減少、平成30年は前年比1,039人の減少。その内、社会増減は平成29年200人減、平成30年177人減と改善傾向にあり、令和元年は16人増と初めて減少から増加に転じており、ある意味で大きな変化の年となりました。

自然減に関して影響が大きいのは出生数の減少であります。花巻市の「期間合計特殊出生率」は平成27年に1.44、平成28年に1.38、平成29年に1.47と他の市町村と比べて遜色ない状況であるにも関わらず、出生数が減少している一因としては、若い女性の転出があげられます。花巻市では特に20代の女性人口が減少している状況であり、それが出生数の減少につながっているのではないかと推測しているところであります。

花巻管内の平成30年度の市内高校卒業生の県内就職率は卒業生229人のうち194人で84.7パーセント、そのうち、花巻管内への就職は107人で46.7パーセントとなっており、高い地元就職率が継続しております。

一方、大学・専門学校進学時、または卒業時に花巻を離れる方が多いこと、そのことが20代女性の減少の大きな要因となっているのではないかと推測されるところであります。

過日、岩手県総合計画審議会に委員として出席し、看護師、保育士以外の方々で転出される方が多い要因について、県に分析をお願いしたところですが、民間委員から、県内企業が採用していた大学卒業女性の「事務職」がIT化の進展等により少なくなり、その結果首都圏等の企業に就職する方が増えているのではないかとの指摘がありました。

首都圏では男女を問わず「総合職」として雇用する企業が増えていますが、あるいは県内の企業においては女性を総合職として採用することがまだ一般的になっていない可能性もあるのではと思っております。この意味でも男女共同参画社会の推進は重要であります。

一方、子育て世帯住宅支援、定住促進住宅取得支援、UIJターン支援、空き家バンク、また、子育て世帯への医療費・予防接種費用助成、保育園整備、保育料補助、産後サポート事業などにより花巻市は子育て支援が充実しているとの評価をいただいており、このことも社会増に一定の効果を与えているものと考えます。

その上で、令和元年は、トヨタ関連企業及びキオクシア岩手株式会社の雇用が、当市の社会増につながっているものと認識しております。
キオクシアは、同社製品の相場回復の状況から、早晩、第2工場あるいは第3工場の建設も予想され、花巻市に居住する方も増加するのではと考えております。

花巻市の昼夜間人口比率をみてみますと、平成27年では96.1パーセントと昼間の人口が夜間の人口を下回っており、このことは、多くの市民が他の市町で働き、夜間は花巻市に帰ってくる、いわゆるベッドタウン化を表しています。その中で、当市が人口を維持するためには市内企業の活性化による雇用増に加え、当市の居住地としての魅力を高めることが必要であると考えます。

昨年、花巻市において貸家として着工された新設住宅着工戸数は、285戸であり、前年対比407パーセントと大幅に増加しており、地域別の内訳は明確ではありませんが、花巻中央地区の市街地は極めて少なく、郊外の農地を転用した住宅地が拡大する傾向となっていると認識しているところです。

都市機能の維持の重要性

総合花巻病院の移転新築は、花巻中央地区に立地することにより、周辺に店舗ができ住民の買い物の便が良くなっており、さらに今後も人が集まるなど、新たな動きを生み出すことも期待しているところであります。

首都圏では魅力の乏しい郊外住宅地から都心回帰が進むように、花巻市がベッドタウンとして選ばれ続けるためには、郊外だけでなく、市街地の都市機能も確保する必要がある、そのように考えます。

過疎対策事業債について

花巻市においては、大迫地区、東和地区の事業に過疎対策事業債を発行でき、平成27年度の発行額が5億円程度であったのに対して平成28年度以降は年間10億円以上と大幅に増額発行し、大迫中学校改築事業、東和コミュニティセンター改築事業など多くの事業に過疎対策事業債を利用してきたところでありますが、過疎地域自立促進特別措置法は令和2年度末で失効することとなっております。

当市は、昨年県市長会及び東北市長会を経由して全国市長会に「みなし過疎」及び花巻市のような「一部過疎」を令和3年度4月以降も制度として残すべきであるとの提言をし、全国市長会の要望項目となったところであります。また、県にも総務省への働きかけをお願し、さらに一関市及び奥州市に呼びかけ両市と共に与党議員を中心とする県選出の国会議員にも要望を行ったところであります。

施策の方向と主要施策

令和2年度の施策の方向と主要施策の中で、3つの項目について、ご説明いたします。

「子育て支援」

1項目めとして「子育て支援」のために、市独自の妊産婦への交通費支援、保育士確保事業、私立保育園・幼稚園等のエアコン整備補助、宮野目学童クラブ増築及び花巻学童クラブ仮移転、学童クラブ保育料減免基準の統一などの「保育環境の充実・保護者負担の軽減」、「中学生医療費助成の現物化実施」と「高校生等医療費助成の市内医療施設における現物化」を内容とする「医療費負担の軽減」に取り組みます。

「インフラなどの整備、継続した取り組みを着実にする施策」

2項目めとして「インフラなどの整備、継続した取り組みを着実にする施策」に取り組みます。

道の駅「はなまき西南」については、本年秋ごろのオープンを目指します。また、大迫中学校校舎改築事業も、グラウンド整備を行い全て完了させます。

道の駅「石鳥谷」については、南部杜氏伝承館の曳家を行うなど本格的な再編整備をはじめます。

国道4号花巻・北上間の拡幅については、本日、都市計画決定が告示されましたことから、早い時期での新規事業化が期待されるところです。また、主要地方道花巻大曲線・小倉山の2工区の小倉山4号トンネル築造工事は昨年国県で予算化され、今県議会において契約の承認がなされる予定と伺っております。

(仮称)花巻PAスマートインターチェンジについては、建設に関わるネクスコ、県、花巻市の費用負担などを定めた協定を本年度中に取り決めることとしており、当市がすでに整備中の「山の神諏訪線」からインターチェンジ料金所へのアクセス道路約110メートルの整備、県整備部分を含む側道の整備などについて負担することとなると見込まれます。令和2年度においては、調査、測量、設計等を行う予定であり、令和2年度当初予算案においてはその費用を計上しております。なお、市が負担する費用については、文化財調査も含めて国の補助率55パーセントの補助が見込まれているところであります。

市道「山の神諏訪線」の未開通分について、令和2年度は用地買収の他、一部工事に着手します。なお、山の神諏訪線は(仮称)花巻PAスマートインターチェンジのアクセス道路と位置づけ、国の補助率55パーセントの補助事業として市の負担が縮減されることとなるよう要望を行っているところです。

また、市内において岩手県土地開発公社が開発所有する複数の産業団地の内、第1工業団地及び流通団地は完売、第2工業団地も商談中の区画を除くと残りは少なくなっており、現在分譲している花巻第1工業団地テクノパークにつきましても分譲率90.1パーセントで残りは2区画0.8ヘクタールとほぼ完売しており、新たな企業の進出希望があっても要望にお応えできない状況となっております。そのことから、現在、二枚橋地域に市主導で初となる産業団地の整備を進めており、産業用地約2.7ヘクタールについては令和2年度中に立地企業に売却することを目指します。

さらに、(仮称)花巻PAスマートインターチェンジ整備を見据え花南地区における産業団地の整備を検討しており、令和2年度は基本計画の策定及び測量、地質調査等を行うこととしております。

次に、新花巻図書館整備に関するものであります。
JR東日本が花巻駅前の同社所有地を花巻市に貸すことに関して本社の了解を得たことから、市として本年1月29日に「新花巻図書館複合施設整備事業構想」を公表したところであります。

JR東日本の了解に1年近くかかったわけでありますが、それにより、今般、平成29年8月に策定・公表した「新花巻図書館整備基本構想」に基づき、「新花巻図書館整備基本計画」を策定できるステージになったところです。今後1年間かけて、市民の皆様とともに基本計画を策定していきたい、そのように考えております。

「新花巻図書館整備基本構想」は、平成24年10月に「花巻図書館整備市民懇話会」から受けた「花巻図書館への提言」に基づき、作成されたものであります。

この中で、花巻図書館は老朽化し、蔵書・閲覧スペースが狭く、閲覧室が2階にあるため、高齢者や障がい者にとって使いづらい状況にあること、駐車スペースが手狭であること、また、市街地の停滞が大きな課題となっている中で、市街地再生を図るための核としても新しい図書館の整備が必要となっていることが明記されております。
その上で、基本方針として、「1.郷土資料や先人資料の充実」、「2.幼児、子ども、高齢者、障がい者、すべての市民が気軽に利用できるようにし、読書はもちろん、くつろぎの場でもあり、交流の場ともなる施設とすること」、「3.情報を得る場、生活、仕事、教育、産業など各分野の課題解決を図る図書館として、広い分野にわたる資料やレファレンス(検索・相談)機能の充実を図ること」とされております。そして、ユニバーサルデザイン、十分なスペース確保、先人・郷土資料、子どもスペースの設置、防災、防犯対策、環境への配慮、必要な駐車スペースの確保等の他、飲食スペースの設置など、複合的な施設の併設の検討も掲げられ、レファレンスサービスの充実、中央図書館としての役割を担うこと、などが記載されております。

また、建設場所に関しては、「花巻市立地適正化計画」の中で示す「都市機能誘導区域」に整備することとし、場所によっては近隣施設との連携や他施設との複合化など、民間との連携も含めて検討することが記載されております。

当市の「都市機能誘導区域」の中で図書館、駐車場を確保できる場所としては花巻駅東口周辺または総合花巻病院跡地を含むまなび学園周辺が該当することとなりますが、今述べました「市街地再生」、「複合化」、「民間連携」などの条件からは、花巻駅東口周辺が強く意識されていたことも事実であります。

全市の中央図書館として花巻地区の市街地にお住いの方のみでなく、旧1市3町すべての方々にとってアクセスが良い場所であることが極めて重要であります。

現在、市民の大部分の方にとって、移動手段は自家用車であり、新しい図書館へも、多くの市民は自家用車を使った来館が予想されます。

しかし、免許を返納した方も含めた高齢者、障がい者、また未成年者など免許取得前の方々には、公共交通を必要とする方がいます。花巻市においては、バス路線が利用者の不足による赤字、運転手の不足等により、廃止されていく中で、それでも公共交通を必要とする方のために、バス路線維持のための補助金交付、全国に先駆けた予約乗合交通の充実、福祉タクシー券の支給などを実施するなど、自家用車を利用できない市民の方々のための交通手段の確保を必死に行っているところであります。

駅前に図書館を設置した場合、例えば、旧3町の方々は、予約乗合交通により、それぞれの地域の中心地まで移動し、そこから鉄道または公共バスによって直接花巻駅前の図書館に来ることができます。高齢者、障がい者、未成年者の方々も含めて、新花巻図書館に来館できること、そのことが中央図書館にとって何よりも大事にすべきことと考えます。

市内の中高校生の多くにとっても花巻駅付近は便利な場所であります。人が集う場所としての図書館が駅前にできた場合には、勉強または読書をする中高校生のみならず、様々な年齢層の方々も図書館に集まり、交流が深まることを期待しています。

花巻市の中心市街地は過去数十年に亘り、活性化が叫ばれながら、衰退の一途をたどってきたことは否めない事実であります。郊外型店舗が展開されるとともに、中心市街地の商店街が衰えるのは全国あるいは世界的に共通のところであります。

しかしながら、花巻駅が在来線のみの駅となったこと、また、花巻駅の東側は坂が多く平坦地が少ないことは、花巻市の中心市街地が、他市と比較しても、特に衰えが目立つ要因となっていることも、否定できないところであると考えます。

そのような中で、マルカンビル大食堂の復活、総合花巻病院が移転新築することをきっかけとして、中心市街地に新たな店舗ができるなど、中心市街地が変わってきたことも事実であります。しかし、そのような状況でも、花巻市の中心市街地に店舗を開店しようとする有名ナショナル・チェーンの動きはほとんどなく、あるいは同様に分譲または賃貸マンション・ホテル等を建設しようとする事業者の動きは、かすかな動きを除いて、見えてきていない状況です。

民間の動きに期待することはなかなか難しい状況で、市が中心市街地すべての地域において活性化の施策を実施することは困難であり、施策を実施するとしたら、その対象となる地域を絞り込まなければならないものと考えております。

先ほども申し上げましたが、花巻駅は在来線のみの駅であり、また東側はすぐに坂であり、用地が少ないことから新幹線駅を有する駅はもちろん、それ以外の駅と比べても、駅前の活性化は困難な状況にあります。

しかし、花巻駅東口は市としての顔でもあり、また、公共交通の要衝であり、市民が集う場所としてふさわしいことから、上町地域に次いで、市が活性化を図る地域として、総合花巻病院跡地を含むまなび学園周辺と比べても優先すべき地域であると考えております。

このような観点から、図書館建設用地については、一昨年の12月議会において、JR花巻駅に隣接する土地を図書館用地の候補地とすることについて、JR東日本と交渉すると申し上げ、また、昨年12月議会では、スポーツ用品店の場所と具体的に申し上げたところです。

JR東日本盛岡支社は一貫して同用地を市の図書館用地として利用することにご理解を示していただきましたが、本年1月に本社が了解することによって、当該土地を利用できることが初めて確定したところであり、このことにより、次のステップとして、「基本計画」の策定に入ることは申し上げたとおりです。

JR東日本の所有地を図書館用地として利用する場合には、市が同地を購入するか、普通賃貸借または定期賃貸借により借地をするかが必要となるわけですが、JR東日本の意向が、土地の売却ではなく、賃貸借であったことから、当市としては50年間の定期賃貸借を選択したところであります。

定期賃貸借の場合、土地の賃貸料をJR東日本に支払わなければならないところであり、この金額については、今後当該不動産の鑑定を基準として、当市とJR東日本間で協議決定されることとなりますので、その前にその金額の推定額を申し上げることは、はばかられるわけではありますが、仮に月60万円程度という賃料であれば市の財政的負担は、土地売買代金としてその金額を一括して払う場合に比べて、当初から相当長期間、より小さくすることができます。図書館の用地については、まずは、市民の利便性が第一であり、また、市街地活性化の観点を重視し、その上で市の財政負担を考えるべきと考えています。我々としては、用地として適当と考えた土地について、その上で市の財政的負担を考えたのだということを、念のため申し添えます。

ここ数年、全国各地において新しい形態の図書館ができ、話題となっております。多くの図書館は今までの「静まり返った図書館」ではなく、子育ての場所として幼児が寝そべって絵本を読める場であったり、中高生が情報を得たり勉強したり、また自分の居場所を確保できる場であったり、老若男女がそれぞれ交流できる場所であったり、中には飲食自由・私語自由の場所も作ったり、あるいは、カフェはすでに当たり前との意見もあるようですが、それ以外の商業施設、賃貸住宅などとの複合施設も多くなってきています。

本年4月以降、シンポジウム、ワークショップなどで市民の意見を聞き、それを取り入れながら、「基本計画」を固めていきたいと考えております。その上で、市としては、今般の図書館整備と併せて図書館と同じ建物内に賃貸住宅、カフェ等を整備するとともに、駐車場及び広場整備も考えているところであります。

広場については、現在コンクリートが張られている広場を芝生にすることができないか、それによって子ども連れの保護者の方々が芝生でくつろいだり、カフェが提供する飲食を楽しんだり、イベントが開催される場合には、観客が芝生に座り、飲食をしながら楽しむことができないか、などということも考えております。

全国各地において、「図書館の集客力に期待して図書館の複合化が進んでいる」と言われておりますが、駅周辺に整備する場合には、駅周辺の土地の希少価値が高いことから、特に、図書館のみならず、他の施設と複合化することが多くなっていると認識しております。

花巻駅東口はすぐに坂があり、今般図書館の整備を予定している土地と駐車場用地以外は利用できる土地がほとんどない状況であり、今回図書館の整備を予定している土地は、その意味でそもそも極めて希少な土地であると考えております。

そして、今般の図書館の建設とは別に、花巻駅の自由通路・橋上化整備についてJR東日本から現実的な案が示されているところであり、これについては後程述べますが、そのことにより駅東口が西口とつながる場合には、特に今般の図書館整備予定地は、ますます希少な土地ということができ、駅前ひいては市街地の活性化を図る場合、かかる土地を有効に活用することは必要なことであると考えます。

複合化により、図書館の使い勝手を悪くすることは本末転倒です。また、複合化に多額の費用がかかり、その結果図書館整備に充てる市の財源が少なくなることは避ける必要があります。

また、郊外型ショッピングセンターに商業の中心が移る中で、駅前に大規模なショッピング施設を設けることは、失敗の可能性が高いという点については、幾多の例もあるところであり、このことは在来線駅である花巻駅に特に当てはまることについては、UR及びJR東日本からも同様の意見をいただいたところであります。

そのような観点から、今回の図書館に商業施設を付属的に設ける場合、現時点では市民からの要望の高いカフェを中心とする小規模なものを考えております。

先ほど、花巻市の将来を考えた時に、花巻中央地区の中心市街地が都市機能を維持することが重要であるとお話ししました。花巻駅は新幹線駅ではなく在来線の駅であり、限界はありますが、市が活性化を図る場所の一つが花巻駅前周辺と考えることを申し上げました。そして、昨年、花巻市において多くの賃貸住宅が着工される中で花巻中央地区の中心市街地における建設は市が主導したもの以外にはほとんどない状況となっております。

市街地活性化そして土地の有効利用との観点から、今回公表した構想では、図書館の建物上階を賃貸住宅として整備するとの案を示したものであります。

先ほど来、申し上げております通り、花巻中央地区において大手を含むマンション業者などの動きは見えていないところであり、URの調査でも積極的な反応はなかったところであります。また、仮にマンション業者が建設することとした場合、マンション業者はその部分の採算を良くすることを要望し、市民にとって素晴らしい図書館を建設したいとの市の基本的理念と合致しない可能性があります。

そのような観点から、今回、構想する図書館複合施設に賃貸住宅を建設する可能性の調査は、あくまで市の意向が十分反映されたうえで行うべきであり、また、その規模等も市の意向を十分に反映し、無理のない内容で計画される必要があると考えております。

国は令和2年度、新たに立地適正化計画で定めた都市機能誘導区域内に、都市再生整備計画に基づく都市構造再編集中支援事業により実施される誘導施設及び公共公益施設の整備等について補助率2分の1という極めて有利な補助制度を設けることとしておりますが、市としては、図書館部分については市が図書館の区分所有権を取得することを前提として、この補助金の交付を受けることを想定しているところです。

一方、テナント、賃貸住宅部分については、合併特例債また先ほど紹介した都市機能誘導区域内の都市再生整備計画に基づく補助金の対象とはなりません。

このことから、テナント、賃貸住宅部分整備の資金は他の方法で調達する必要があります。私共は、この資金は市ではなく、市が設立にかかわり、市の意向を反映する特定目的会社いわゆるSPCが民間及び政府系金融機関から市の保証なし、すなわち市の法的責任を伴わない方法で借金または優先株、これは普通の株式と借金の中間形態でありますが、これらで調達することができないかと考えており、その返済は、市の財源ではなく、テナント及び賃貸住宅の賃料から支払う計画を策定できないかと考えております。

この方法をさらに検討するためには、今後、図書館複合施設に建設されるテナント及び賃貸住宅にどのくらいの需要があり、需要に見合った住宅戸数がいくらであるか、その建設費用はどのくらいであるかの検討が必要となります。
また、調査の結果必要となる建設費用をどのように調達するか、調達に応じる金融機関があるか具体的に検討をする必要があります。

その上で、市は、SPCの親会社、まちづくり会社と呼んでおりますが、この、まちづくり会社をコントロールするに十分な株式を保有すると共に、SPCに対して、図書館複合施設建設予定地に、JR東日本が所有し事業者に貸している建物の補償・解体費用及びテナント・賃貸住宅建設費用の一部に充当するため、政府系金融機関と同様に、優先株の発行を受けて資金を供与することを考えております。

市がまちづくり会社に出資する金額とSPCに優先株として出資する金額でありますが、これは、今後、テナント、賃貸住宅の規模によって変わってくるところであり、SPCに対して融資する金融機関及びSPCの優先株を購入する政府系金融機関が、どの程度の金額の融資及び出資に応じることができるか、により違ってくる訳であり、金融機関及び政府系金融機関との交渉結果次第とはなりますが、現時点においては、まちづくり会社に出資する金額は1千万円未満、また、SPCに対しては1億円から2億円の範囲と考えているところであります。

また、図書館複合施設の建設費でありますが、これも今後検討していく必要があります。その上で、現時点では複合施設部分を除く、図書館本体部分の建設費は20億円強を見込んでいるところであり、都市再生整備計画を策定し、それに基づく都市構造再編集中支援事業により国の補助金が見込まれる場合には、その半分が国の補助金、残り半分の内95パーセントは合併特例債を活用することが想定され、図書館部分の区分所有権購入に伴う市の実質的な負担は3億円程度にとどまると想定されます。

建物の建設としては、この他に、立体駐車場の整備も想定しているところであります。これに関する国の補助金は8分の1と低いところでありますが、これについても国の補助及び合併特例債の発行による資金調達を想定しているところであります。

また、図書館の書架・什器備品、システムの導入等についてはどのような図書館とするかによって異なるところであり、まずはどのような図書館とするかについて、専門家と市民の方々の意見を十分に聞き計画を策定し、建物の概要が固まった後、その内容について時間をかけて検討していきたいと考えており、その費用については合併特例債の活用を主にしたいと考えております。

本議会でご審議いただく、令和2年度当初予算案においては、図書館整備事業費として、新図書館整備基本構想作成及び花巻駅周辺基盤整備検討調査がそれぞれ計上されております。

新図書館整備基本構想作成に要する費用としては、市民の意見をお聞きするシンポジウム、また、ワークショップに要する費用、また、図書館専門家に対する謝礼の他、株式会社オガールに対する委託料も含まれているところであります。

先ほど申し上げました、テナント、賃貸住宅の需要調査、建設費用調達に対する金融機関との交渉、このようなことについては最終的に市が責任を持つことが必要なところであります。しかしながら、市はこのようなことについて必要な経験、ノウハウがないことも事実であります。

また、国の補助金及び合併特例債を活用し市の負担を小さくすることを見込むとはいえ、図書館複合施設の建設には巨額の費用を必要とすることは事実であり、市の負担を考えると建設費用を合理的な範囲で縮減することも必要となります。

公共事業の建設費が民間より高い理由としては、いろいろな指摘があるようですが、その一つが設計の段階で指定される仕様に基づく、いわゆる公共単価が、民間に比べて高いということも言われます。そのような中で、最近、民間事業の分野だけではなく、公共事業の分野でも、今までのいわゆる「仕様発注」に変えて、設計の段階から建設会社の創意工夫を生かす方式である「性能発注」の取り組みが進んでいるところであります。

資金調達に関する政府系金融機関を含む金融機関との交渉、また図書館複合施設建設に関する合理的な発注方式などについては外部の専門家の力を借りることが必須であります。

このような分野では、株式会社オガール以外にもコンサルタントはいるわけですが、実績において全国でも飛びぬけた存在であること、市としての協力関係がすでに確立されていること、また、紫波町を活動の拠点としており、市と頻繁に打合せすることが可能であること等から、前述のとおりお願いするとともに、図書館複合施設の建物、広場、立体駐車場を含む全体的なランドスケープデザインの助言などと併せて、そのような業務を委託することが妥当と判断している次第です。

株式会社オガールにお願いするのは、あくまで、このような業務であり、どのような図書館にするかについて決めるのは、あくまで当市であります。その具体的な構想については、株式会社オガールの図書館建設の経験をお聞きすることはあると考えるものの、図書館についての具体的な計画づくりの中心となるのは、あくまで図書館の専門家である富士大学早川教授、図書館の利用者、中高生や学生、小さいお子さんの親など広範な市民であります。全国の先進的な事例を参考にしつつ、市民の方々の意見を取り入れ、市にかかわる資料を収集し、また情報を得る場所であること、を大事にしながら、人との交流の場所であったり、市民の居場所であったりする図書館の基本計画を練りたいと考えております。

複合施設について、大まかにいうと、同じ建物の中に、図書館と複合施設がある。図書館はあくまで市の公共物として建設され、市が運営する。複合施設はカフェ等図書館に付属する施設もあるかもしれないが、あくまで市がコントロールし、しかし、民間と位置付けられる企業が建設し、運営する。複合施設部分は図書館と同じ建物の中に建設されるが、図書館とは全く別のものであり、図書館のあり方、運営には全く影響しない、そのように言うことができるのではないかと思います。

なお、図書館部分を含む建物の設計・建設については、あくまで花巻市の意向に基づき発注されるものであり、その発注は市内業者が参加することを前提として、行いたいと考えているところであります。

次に、JR花巻駅の東西を結ぶ自由通路や橋上化でありますが、検討する調査費等は令和2年度当初予算案において計上しておりません。

JR花巻駅の東西を結ぶ自由通路や橋上化については、花西地区から長年に亘り西口に改札口を必要とする要望が強かったものの西口に独立の改札口を設置することはできないとするJR東日本のこれも長年のご意向を受けて、JR花巻駅の東西を結ぶ自由通路や橋上化により花巻駅西側の利便性を向上し、花巻地区中心市街地の活性化を図るという観点から、JR東日本と図書館建設用地の交渉と並行して、しかし別のものとして協議を行ってきたところであります。

同社において、自由通路及び橋上化の構想を練り、昨年提示されてきたところでありますが、当市が負担できる費用を上回る構想であると判断されたことから、規模及び費用の縮減をお願いしてきたところであります。その結果、過日、同社から修正案が事務レベルの案として提示されたところであります。

整備概要でありますが、幅員4メートルの自由通路整備、改札等駅機能を自由通路と同じ高さで地上に設置する半橋上化、ホーム及び自由通路のエレベーター、エスカレーターをそれぞれ東西に設置するものであります。

花巻駅は東北本線に加え釜石線を含む駅であり、線路の東西間の距離が長いことを考えると、概略検討段階の現時点においてJR東日本としてこれ以上の費用縮減は困難であると考えられるところであります。

また、先ほど図書館の整備に関して図書館を基幹事業としその他の施設も事業範囲とする都市再生整備計画に基づく都市構造再編集中支援事業により推進できる場合には、図書館部分について補助率2分の1の国補助金の対象とすることも見込まれると申し上げたところでありますが、花巻駅の自由通路整備・半橋上化を含めて、都市再生整備計画の都市構造再編集中支援事業の対象とした場合には、自由通路・半橋上化整備部分についても補助率2分の1の国補助金の対象とすることも見込まれることとなり、補助金を得られない部分の大部分を合併特例債の活用により調達した場合、合併特例債に関する国の交付税を勘案すると、市の実質負担は、現時点において6~8億円程度と見込まれるところであります。

なお、都市構造再編集中支援事業の対象として補助金を受給するためには、図書館整備に関わる国の補助金交付の受給を開始してから5年以内に事業を完成する必要があるとされています。

市としては、今後できるだけ早い機会に、JR東日本の了解を得た上で、現時点で考えられる構想と市の考えを、議会を含む市民の皆様に開示したいと考えております。

「安心してできる 暮らし環境の充実」

次に3項目めですが、「安心してできる 暮らし環境の充実」として、生活バス路線大迫石鳥谷線を利用する高校生の定期代補助、大迫高校通学生に対するタクシー代補助の拡充、医療機関へ通院する高齢者への福祉タクシー制度の拡充の検討を行う「公共交通の充実 医療を受けやすく」、障がい者の重度化・高齢化や家族支援が受けられなくなった場合の生活の場の提供や、介護者の急病・救急時に対応できる地域生活支援拠点等の構築を行う「福祉の充実 地域での支えあい」に取り組んでまいります。

結びに

まだまだ、申し述べたいことがありますが、それらについては定例会における一般質問、予算審議の場で述べさせていただくこととし、私の令和2年度の市政運営方針を中心として述べさせていただきました。

市民、市議会議員の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

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