市長演述 令和7年第1回(令和7年3月議会)

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ページ番号1023058  更新日 令和7年2月26日

はじめに

本日、令和7年第1回花巻市議会定例会が開催されるにあたり、令和7年度の市政運営に臨む所信の一端を申し上げさせていただきます。

令和6年度は、本市の行政運営において最も重要な計画である第2次花巻市まちづくり総合計画に基づく、新たなまちづくりを開始した一年でありました。市民や企業、団体の皆さま、市議会の御支援、御協力により、着実に第一歩を踏み出すことができましたことに感謝申し上げます。

令和7年度は、第2次総合計画に基づくまちづくりの2年目を迎え、市がこれまで進めてきた取組をさらに力強く推進する重要な一年となることから、効率的で効果的な市政運営の観点に立ち、持続可能な活力あるまちづくりに全力で取り組んでまいります。

人口動態の状況

市の人口は、住民基本台帳の速報値によると令和6年末で前年比1,225人減の89,861人となり、その内訳は、日本国籍を有する方が1,298人減の89,122人に対し、日本国籍以外の外国人の方々は73人増の739人となったところであります。

人口減少の要因としては、年間の死亡者数が出生数を上回る自然減の影響がまず挙げられます。全国の令和6年の出生数が統計のある1899年、明治時代でありますが、それ以降、過去最少となり、初めて70万人を割る見通しとなっている中、当市の令和6年の出生数も前年比38人減の361人と、少子化の傾向に歯止めがかからない状況が続いております。また、死亡者数につきましては、前年より減少したものの、1,524人と出生数を大きく上回る状況となっております。

一方、転入から転出を差し引いた社会増減は、子育て世代の転入超過の傾向はあるものの、若年層の転出超過が顕著であったため、令和6年は、住民基本台帳の速報値で38人の社会減となったところでありますが、令和5年の98人の社会減に比べその規模が縮小しております。

この社会増減を、県内市町村間との転入・転出の動きで見ますと、令和6年は全体で247人の転入超過による社会増となった一方、県外との関係で見ますと、東京をはじめとする首都圏では178人の転出超過、仙台のある宮城県でも111人の転出超過となっており、先ほど申しあげましたとおり、県内市町村との関係では、これまでと同様、ほとんどの市町村との関係で転入超過による社会増となっているものの、首都圏や宮城県への大幅な転出超過により、全体として社会減の状況となったところであります。

少子高齢・人口減少が続く中、当市の人口は減少していくことが予想されますが、そのスピードを緩やかにするとともに、人口規模が縮小する中にあっても市全体の活力を持続させていくことが重要であると考えておりますことから、第2次花巻市まちづくり総合計画に掲げた二つの重点施策推進プロジェクトを中心に人口減少対策に取り組むとともに、市民の命と生活を守り、魅力あふれるまち、強く優しいまちづくりの推進に努めてまいります。

子ども・子育て応援プロジェクト

はじめに、重点施策推進プロジェクトの一つ目「子ども・子育て応援プロジェクト」について申し上げます。

母子保健につきましては、令和6年4月に設置したこども家庭センターにおいて、全ての妊産婦、子育て世帯、子どもに対し切れ目ない相談支援を行っているところですが、引き続き、安心して子どもを生み育てられるようサポートするとともに、児童虐待の防止や早期発見に向け、関係機関と連携した見守り等に努めてまいります。

妊娠期からの支援については、市内のNPO法人まんまるママいわてに委託して行っている「産前・産後サポート事業」「産後ケア事業」を継続するとともに、産後支援のさらなる充実を図るため、新たに宿泊型の産後ケアサービスの導入に向け、提供すべきサービスの内容やその提供に必要な施設の構想などについて委託先と協議を重ね検討を進めてまいります。

全ての子どもと全ての妊産婦を対象とし、所得制限の撤廃を行った医療費助成と、国の保育料無償化の対象とならない3歳児未満の児童の保育料の一定額引き下げや、3歳児未満で第2子以降となる児童の保育料の無償化及び在宅育児世帯への支援のほか、3歳児以上の児童を対象に幼児教育・保育施設の利用世帯から徴収している副食費の第1子への一部補助及び第2子以降への全額補助などの支援策を引き続き実施し、妊産婦や子育て世帯の負担軽減に努めてまいります。

また、保育園等に入所していない3歳未満の児童を一定の時間を上限に保育園等で預かる乳児等通園支援事業、いわゆる、こども誰でも通園制度について、令和8年度からの実施に向けて、調査・検討に取り組んでまいります。

小・中学校の学校給食につきましては、米を含めて食料品の価格高騰に伴う学校給食費の値上げは行わず、食材料費の増額分の約6,700万円を市が負担し、保護者の費用負担の軽減に努めてまいります。

花巻で暮らそうプロジェクト

重点施策推進プロジェクトの二つ目「花巻で暮らそうプロジェクト」について申し上げます。

先ほども申し上げましたとおり、当市においては、子育て世代の転入超過の傾向が続いております。また、先ほども県内市町村との関係で社会増になっていることを申し上げましたが、当市の移住・定住支援策の効果が一定程度表れた結果と捉えておりますことから、令和6年度において支援内容を拡充した「定住促進住宅等補助金」等により移住・定住の促進を図るほか、新たに、まちづくりの担い手となる若い世代を中心とした定住の促進と、市内企業の人材確保支援も目的とした奨学金返還支援制度として「日本学生支援機構奨学金返還支援事業補助金」を創設し、当市へのUIJターン者の増加及び市内企業への就業につなげてまいります。

また、人口減少、少子化対策の一環として、本市も運営に参画している「いきいき岩手結婚サポートセンター」への入会登録料について、令和7年度入会分からその全額を助成するほか、婚姻時における住宅取得・賃借・リフォーム費用や引っ越し費用などを支援する「結婚新生活支援補助金」に引き続き取り組んでまいります。

花南産業団地につきましては、中央部のB工区において、昨年7月から分譲希望の受付を行っており、現在、本定例会に議案として上程しておりますとおり、西側の一部2区画の土地の売払いに向けた手続きを進めているところでありますが、引き続き、残りの区画の分譲についても、企業からの反応があるところでありますので、企業誘致活動に取り組んでまいります。また、南側のC工区につきましては、造成に向けた埋蔵文化財発掘調査等の各種調査を進めてまいりますほか、北側のA工区につきましても、各種設計・調査を行うとともに、岩手県土地開発公社のご協力をいただきながら、先行投資にはなりますが、企業の需要に応えるよう用地買収や物件移転補償を進めてまいります。

大型案件の進捗

JR花巻駅橋上化・東西自由通路整備につきましては、昨年11月に実施設計に着手したところであり、令和7年度にかけて実施設計を進め、令和8年度の工事着手に向けて、国の財政的支援を受けながら作業を進めてまいります。

また、自由通路整備に伴う西口駅前広場整備につきましても、同様に西口ロータリー拡張整備などの実施設計を実施するとともに、これも国の支援を受けながら駐輪場の移転整備工事を進めてまいります。

新花巻図書館整備につきましては、これまでに、建設候補地を「総合花巻病院跡地」と「花巻駅前」の2か所に絞り、それぞれに建設した場合の比較調査を行い、その調査結果もあわせ、無作為抽出した市民による対話型の市民会議を開催し、各候補地のメリット・デメリットを整理しながら市民の意見の集約を進めてきたところであり、その結果を踏まえ、建設候補地を記載した新花巻図書館整備基本計画の策定を進めてまいります。

令和7年度のその他の主要施策

市民の暮らしを守る

公共交通の維持・確保につきましては、民間路線バスへの補助や市のコミュニティバスの運行により、地域内交通の確保に努めてまいりますほか、大迫・石鳥谷・東和地域の予約乗合交通につきましては、平日週3日の運行から、平日週5日の運行に拡充し、利便性の向上を図ることとしており、タクシー料金よりも低い利用料で自宅付近の公道から病院やスーパーなどへ直接移動できる交通手段でありますことから、地域内交通の要として多くの方に利用していただけるよう利用促進に努めてまいります。

また、交通手段をもたない高齢者や重度障がい者の方々の通院や買い物を支援するため、一部高齢者につきましては対象者を拡大した上で、予約乗合交通にも利用できるタクシー等助成券の交付を継続するとともに、医療機関までの距離が遠く交通費の負担が大きい一人暮らし高齢者等及び重度障がい者の方々に対し、通院に対する交通費を引き続き助成してまいります。

市民の医療環境の充実につきましては、本市の地域医療の中核を担う総合花巻病院の事業再生について、引き続き経営状況や経営改善の進捗状況を把握し、必要な助言、協議等を行うとともに、医療体制の強化に直結する医師確保について、法人からの支援要請により、医師確保に関わる財政支援を含めて必要な支援を検討してまいります。

市街地や住宅地におけるクマの被害対策につきましては、各市町村に先んじて、AIカメラの活用や、未利用果樹の伐採経費への支援、クマの移動経路となり得る河川や市街地等の草刈り、出没時の迅速な対応のための有害鳥獣対策推進員の増員などのほか、児童・生徒の登下校の安全を確保するため、送迎対応ができない家庭に対するスクールバスやタクシー利用による安全対策を引き続き実施してまいります。

しごと

第2次まちづくり総合計画に定める「しごと分野」の取組について申し上げます。

令和6年産の主食用米については、農協が集荷する際に、生産者に支払う概算金が上昇し、また、米の小売価格が令和5年産米と比べ高値となっております。この状況は農業者にとっては望ましいものであると考えているところでありますが、国は一部業者が値上がりを見込んで買い占め、売り渋りに動いたと見て、その対応策として、本年2月に政府備蓄米を放出することを決定したところであります。生産の目安をしっかり定めることにより米価の安定を図ること及び必要な場合には政府備蓄米を放出することにより、米価の安定を図ることにつきましては、昨年来、本市が主張し、農林水産省にも提言してきたところでありますが、国の施策は若干遅きに失したとはいえ、市の主張に合致しているところであり、そのことは市としても評価したいと考えております。今後におきましても国に対し適切に対応されるよう要望してまいりたいと考えております。

「水田活用の直接支払交付金」につきまして、「5年間に1度の水張りルール」が示された直後から、本市では市長会や県選出国会議員を通して、また、直接農林水産省や東北地方農政局に赴き、あるいは農林水産省の幹部に花巻市に来ていただき、そのルールについて撤回するよう要望してきたところですが、農林水産省や東北地方農政局の考えは基本的に変わらなかったところであります。

このため、制度の実施にあたり課題と考えられる事項について国に対応いただくよう改めて要望してきたところであり、その内容につきましては、1点目は「当市の主要作物であるりんどうの5年ルールの運用について、現場の実情に合わせた期間に変更することについて検討した結果を早急に示すこと」、2点目は「畑地化に関する支援は、6年目以降も継続すること」などであります。

このような状況の中、本年2月に、令和9年度以降の水田政策の方向性として、これまでの水田を交付対象とする仕組みから作物ごとの生産性を向上する仕組みに転換するとともに、令和9年度以降の水張りは求めないことが国から示されたところであります。このことにつきましては、これまで本市が市内の農業者、農業団体とともに様々な機会を通じて行ってきた要望活動も実を結び、成果が表れたものと捉えております。今の農林水産大臣は、水田より畜産が盛んな九州選出の方ですが、非常に農業に詳しい方でありますので、あるいはこのような転換をされたのかと思うところですが、市として、このことは評価したいと思っております。

しかしながら、この見直しにつきましては、まだ詳細な内容が示されていないことから、引き続き国の動向を注視してまいります。

有機農業につきましては、花巻市有機農業推進協議会が主体となり、研修会の開催や生産技術実証など、有機農業に取り組む農業者の育成、有機農業を広く周知するためのマルシェや講演会の開催のほか、学校給食における有機農産物の利用について、納入可能な農産物の種類や分量について把握するとともに、まずは有機米による給食の提供について試験的ではありますけれども実施してまいります。

そのほか、セーフティーネットである収入保険の加入支援のほか、農業資材の価格高騰の影響を受けている畜産農家の経営安定を図るため、飼料購入や乳用子牛等を市場へ出荷するまでの経費について支援してまいります。

中山間地については、国の「中山間地域等直接支払交付金制度」の継続による集落の維持を前提として、担い手を確保できる地域については生産効率向上のための圃場整備の実施を、担い手の確保が困難な地域については市単独事業の「水田活用永年生牧草支援事業」を活用した粗飼料生産を中心とした新たな営農形態への転換を検討するなど、地域の状況を踏まえながら必要な支援を実施してまいります。

また、中山間地域等直接支払交付金制度については、中山間地の集落を守っていくための活動を交付対象とした「集落機能強化加算」が制度として認められ、これにより高齢者の買い物支援、送迎や見回りなど、集落を守る活動が行われてきたところですが、令和7年度から始まる第6期対策においては、この加算を廃止する方針が先日、発表されたところであります。

その中で第5期対策で既に取り組んでいる集落に限って第6期対策においてもこのような加算制度の対象とすることとされたところでありますが、市といたしましては、このような加算は、それ以外の集落も含めて集落を守るという観点からも大事なものと考えており、当該加算を廃止しないよう、国に働きかけを行ってまいります。

担い手不足への対応といたしましては、将来の農地利用の姿を明確化した「地域計画」を令和6年4月1日に市において策定したことを踏まえ、担い手への農地の集積や地理的な集約、最近、国全体でも集約が大事だと言われておりますが、花巻市においては集積のみならず集約にいち早く取り組んでおります。そのような集約を進めるとともに、スマート農業、これも花巻市のスマート農業は各市に先んじて実施しているところでありますが、このスマート農業をより一層推進し、省力化等による作業効率の向上に取り組んでまいります。また、農業の後継者として期待される新規就農者の確保・育成を図るため、国・県事業の活用や市単独事業により支援してまいります。

森林林業については、森林環境譲与税を財源とした森林経営の推進や人材の確保育成への支援などを通じて、森林林業の再生に向けた取組を進めるとともに、合板材の素材や、バイオマス発電の燃料としての木材供給など森林資源の活用を推進するほか、森林作業道の整備や高性能林業機械の導入への支援により、林業関係団体や山林を所有する個人が施業に取り組みやすい環境を整備してまいります。

また、地域の里山整備への支援を通じて、人間が利用する場所と鳥獣が生息する場所との境界、いわゆる緩衝帯を整備することにより、有害鳥獣の被害防止に努めてまいります。

令和7年度に花巻市に交付される予定の森林環境譲与税は8,600万円を超える金額になっております。この森林環境譲与税につきましては、今申し上げたような事業等に充当してまいりますが、充当しなかった分につきましては基金として積み立てて、将来的な利用、例えば公共施設の木質化等への利用も念頭に置きながら考えていきたいと思っております。

商業の振興につきましては、本年1月26日に閉店したイトーヨーカドー花巻店の後継店として、事業を引き継ぐ株式会社OIC(オイシー)グループが、明日2月27日に新商業施設「シーナシーナ花巻」としてオープンする予定であり、一部テナント、既存のテナントについても、開店時期は一部遅れますが、旧イトーヨーカドー花巻店の閉店時まで営業していた全てのテナントが引き続き入居されるほか、新規テナントも順次開店する予定と伺っております。

また、イトーヨーカ堂の従業員で希望される方々については、ロピアの新たな店舗において雇用される予定と伺っているところであり、また、新たな店舗が開店されるまでの間、休業補償等をすると伺っているところでありまして、その点についても、我々としては評価したいと思っているところであります。

「シーナシーナ花巻」が、本市における重要な商業施設として多くの市民に愛され、本市経済及び市民の生活に多大なるご貢献くださることを期待しているところであります。

令和6年の観光客入込数につきましては、各種イベントが通常開催となったほか、国内外の観光需要が増加したことなどから、令和5年と比較して106.0%、コロナ禍前の令和元年と比較して98.8%となる約209万人にまで回復していることから、令和7年度においても引き続き、県や一般社団法人花巻観光協会などの関係機関との連携を通じ、観光客入込数の増加と観光消費額の向上に努めてまいります。

一方で、日本の人口は、先ほど申し上げたように非常に大きな減少基調にあり、今後、65歳以上の高齢者の人口も減っていくことが見込まれている中、国内観光客の大幅な増加は見込めない状況でありますことから、外国人観光客の誘致が本市の観光推進にとって非常に重要な要素であることを踏まえ、令和7年度におきましても一般社団法人東北観光推進機構や県などの関係機関と連携し、海外の旅行会社に向けたプロモーションを展開するほか、昨年11月に海外、具体的にはタイの旅行会社を招聘し、市独自で実施した、花巻市を含む岩手県の観光資源を体験、取材いただく視察ツアーを引き続き実施するなど、外国人観光客のさらなる誘致に向けて取り組んでまいります。

花巻管内の有効求人倍率は、令和6年12月時点で1.47倍と高い水準を保っており、県内では北上市に次ぐ高い水準であり、深刻な人手不足が続いていることから、採用活動に関する動向や企業の魅力の伝え方のノウハウの普及を図ることで、企業の採用力の向上につながるよう、市内企業の経営者や人事担当者向けのセミナーを開催するなど、引き続き支援に努めてまいります。

また、高校生を対象として、将来の職業選択のきっかけづくりや地元定着を目的に実施している「企業見学バスツアー」及び「市内企業合同説明会」について、令和7年度は対象者の見直しなども行いながら実施してまいります。

さらに、「花巻市企業検索サイト」により、企業と高校生や求職者をつなぐ場を確保し、市内企業の人材確保を支援してまいりますほか、ワーク・ライフ・バランスの充実をはじめとした、より働きやすい職場環境づくりについて、市内企業への働きかけを行ってまいります。

暮らし

次に「暮らし分野」の取組について申し上げます。

市道整備につきましては、「寺林線」等の幹線道路の整備を促進するとともに、橋梁の点検及び補修、これは全国的に大変重要だという認識がされております、そのような点検及び補修を行うほか、「上町・成田線」、「城内・大通り一丁目線」等の歩道設置を進めてまいります。

また、河川と河川につながるまちとを、それぞれが有する様々な資源や魅力を生かし一体的に活性化する取組として、国の支援制度を活用し、銀河大橋から花巻南大橋までの北上川右岸地区において「かわまちづくり」を推進するため、「(仮称)花巻地区かわまちづくり計画」を策定し、国の登録を本年において目指すとともに、計画に基づく事業を実施していくための測量調査を実施してまいります。

これについては、国が実施する部分と市が実施する部分があり、市が実施する部分は比較的少ないわけであり、あとは国のほうで様々な事業を実施いただく予定でありますが、現在、国と協議しているところでありまして、申請する前に、議員説明会等において内容をご報告させていただきたいと考えております。

なお、この「(仮称)花巻地区かわまちづくり計画」につきましては、いま、市民の方々と関係団体と一緒に策定を進めているところでありまして、さらに国にも入っていただいて協議をしていただいている状況であります。

重要なライフラインである汚水処理事業につきましては、災害時の機能確保を目的として、下水道処理場等の「急所施設」と避難所等の「重要施設に接続している管路」の全てについて、国の交付金を活用しながら耐震診断を行い、耐震化を図ってまいります。これについては、埼玉県の事案がありましたが、その前からこのようなことを計画していたところでありまして、適切な時期に検討を進めてきたと考えている次第であります。

化製場を発生源とする悪臭公害対策につきましては、矢沢地区に義務教育学校が令和10年4月に開校予定であることを見据え、市として必要な状況把握や指導を継続するとともに、県が主導して施設の新設や改築など根本的な解決につながる対策を行うよう、引き続き要望してまいります。

新興製作所跡地につきましては、令和7年1月17日に仙台地方裁判所においてメノアース株式会社の破産手続きの廃止が決定されました。このことは、土地の価値に比べてその整備にかかる費用が莫大なものになるということがはっきりしておりましたので、議員説明会でもご説明させていただきましたが、そのようなことで土地を買う人がいなかったということであります。今後、市といたしましては、現地に残置されているガレキ等の解体物が早期に処理されるよう、廃棄物の処理及び清掃に関する法律上の処理責任者である解体工事受注事業者に対して、産業廃棄物を所管する県が継続して指導するなど適切に対応していただくよう、また、低濃度PCB廃棄物につきましても、法に基づく対応を適切に行っていただくよう併せて県に対して要望してまいります。

健康・いのち

次に「健康・いのち分野」の取組について申し上げます。

現在、任意接種となっている予防接種のうち、50歳以上の方を対象とした帯状疱疹の予防接種につきましては、令和7年度から、65歳以上の一定の年齢の方を対象とした定期予防接種にするとの方針が国から示されたところでありますが、市といたしましては、定期予防接種対象以外の方についても、これまでと同様に接種費用を助成してまいります。

新たな乳幼児健診の取組として、5歳児健診の実施につきましては、サポートが必要な子どもをより早く必要な支援につなげ、就学後に起きる問題を回避・低減させることが期待できることから、健診の実施方法や健診実施後のフォローアップ体制などについて、医師会や関係機関、小児科の協力が必要でありますが、市内の小児科医院だけでは難しい状況もあると思います。そういう中で関係機関と協議しながら検討してまいります。

災害に対する備えといたしましては、地域防災力を支える自主防災組織への支援や、地域防災のリーダーとなり得る防災士の養成を継続するほか、防災士間の連携や学習の機会を提供することを目的に新たに設置する「(仮称)花巻市防災士会」の活動を支援してまいります。具体的には、関係者の方々と話し合いを進めているところであります。

また、昨年10月に策定した新たな災害用物資備蓄指針、今までのものをさらに拡充することで指針を作ったわけでありますが、その指針に基づき、花巻市において想定される最大の災害に基づいて、避難所等の環境改善や女性、子ども、障がい者に配慮した備蓄品の充実に取り組むほか、3台のトイレカーを導入し、市内の避難所やイベント等で活用していくとともに、大規模災害発生時においては、被災自治体の応援要請等に基づき、市外への派遣も行ってまいります。トイレカーの導入につきましては、令和7年度中の納入は難しいかもしれませんが、導入に向けて契約を結ぶこととしております。

なお、大船渡市の山火事につきましては、昨日の午後3時に鎮圧したという宣言がされたところでありますが、今度は大船渡市と陸前高田市の境界付近で新たな山火事が発生したという報道がされています。

花巻市の消防本部では、昨日鎮圧された大船渡の山火事に対し、現地からの要望に基づいて、ポンプ車を3度派遣しているところであります。そのことについては、消防本部に対して感謝したいと思います。

住宅火災を減少させる取組につきましては、様々な媒体を活用した積極的な火災予防活動を実施するとともに、消防に関するイベント開催などを通じて、幼少期から防火意識の向上を図ってまいります。

また、消防団の入団促進活動を積極的に行うとともに、消防団組織の見直しや施設整備を適正に行い、消防団組織体制の充実・強化を図ってまいります。

子育て・人づくり

次に「子育て・人づくり分野」の取組について申し上げます。

矢沢地区における義務教育学校の設置に向け、基本構想に基づいた施設の設計業務を進めるとともに、設立委員会を中心に、引き続き地域と連携して開校に向けた準備を進めてまいります。

また、児童の安心・安全な保育環境の充実を図るため、令和8年4月に新しい園舎での保育開始を予定されている、「(仮称)ゆもとこども園」と「若葉保育園」の整備に対し、支援を行ってまいります。

さらに、子育てサークル団体や子育てをしている市民の方から、「子どもを遊ばせる室内の場所がないことに苦労している」との声をいただいているほか、市の3歳児健診の際に行っているアンケート調査においても、子どもを遊ばせる施設の充実を希望する回答が多く寄せられていることから、屋内型児童遊戯施設の整備に向けて、調査・検討に取り組んでまいります。

これにつきましては、施設の規模や建設場所等をこれから検討する必要がありますが、それにあわせて財源をどうするかということもあります。いずれにいたしましても、子育て世帯の方々の意見を十分に聞く必要があると思っている次第であります。

令和6年11月30日に東北で初めて認定され、本年1月9日に認定調印式を行った「女子野球タウン」の推進につきましては、「女子硬式野球イーハトーブはなまき大会」の開催支援や、一般社団法人全日本女子野球連盟との連携による野球教室の開催、女子野球タウン認定ロゴマークを活用した女子野球の普及・啓発などに取り組んでまいりますとともに、女子野球選手のプレイ環境向上のため、花巻球場への女子選手専用トイレの設置などに向けた実施設計を進めてまいります。

国際理解と友好都市交流につきましては、引き続き、中高生の海外派遣や国際姉妹都市等からの青少年の受け入れなどの国際交流事業や国際フェアなどの実施により、市民の国際理解並びに多文化共生への理解の促進を図るほか、今年で提携60周年を迎える国際友好都市オーストリア共和国ベルンドルフ市との記念事業を実施し、両市の交流を推進してまいります。

地域づくり

次に「地域づくり分野」の取組について申し上げます。

令和6年12月市議会定例会において可決いただいた「花巻市パートナーシップ制度及びファミリーシップ制度に関する条例」に基づき、本年4月から制度の運用を開始いたします。

運用開始に向け、これまでに市が条例を制定したことについて関係団体の会議の場などで説明を行ったほか、実際に窓口などで対応する職員にも制度についての留意点などについて研修会を複数回開催してきたところであり、法律上の婚姻制度を利用することができない、あるいは容易でない方の生活上の困難や生きづらさの軽減を図り、誰もが個人として尊重される地域社会の実現に努めてまいります。

行政経営

次に「行政経営分野」の取組について申し上げます。

自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)の取組につきましては、本市におけるDX推進の全体方針である「花巻市デジタルトランスフォーメーション(DX)推進計画」に基づき、その取組を全庁で一体的に進めてまいります。

市民サービスの向上に向けたDXの取組といたしましては、従来、市役所の窓口において紙で行われていた行政手続を、マイナンバーカード等を用いて自宅等に居ながらオンラインで完結できる行政手続オンライン化の取組をより一層推進し、いわゆる「行かない窓口」の実現を図ってまいります。

なお、オンライン手続を利用できる方については利用していただきますが、DXに対して抵抗がある方々につきましては、今までどおり窓口で、紙での申請を受けるということでありますので、念のため申し上げさせていただきます。

市役所の内部事務の効率化に向けたDXの取組につきましては、国が定めた移行期限が令和7年度末までとされている住民情報システムの標準化・共通化の実装に向けて、その移行事務を着実に実施してまいります。多くの市町村において、この期限に間に合わないという見方がされておりますが、現時点において花巻市では、令和7年度末までに移行ができると見込んでいるところであります。

そのほか、引き続きAI・RPA、AIは人工知能のことであり、RPAは職員の事務作業をデジタル化して、職員が手作業をしなくても済むようにすることでありますけれども、そのような業務利用の拡大を進めるとともに、その機能の有用性が高く評価されている生成AI、私も使っていますけれども、間違ったこともありますが非常に便利であり、AIの機能により今後さらに良くなってくると思います。この生成AIにつきましても、セキュリティリスクを踏まえた対策を講じた上で、日々の業務への活用を拡大し、さらなる業務効率化を図ってまいります。

令和7年度の行政組織につきましては、7課体制の健康福祉部を「福祉部」と「健康こども部」の2部に改編し、業務の質的向上と効率化を図るとともに、健康づくり課地域医療対策室は、体制を課内室から「健康こども部地域医療対策課」に改め、医療に関する分野を集約し、地域医療確保に向けた取組の充実を図ってまいります。

また、業務量が増加している定住推進課の定住推進係を「定住推進係」と「シティプロモーション係」に、下水道課の維持普及係につきましては、先ほど申し上げた耐震化を含めて、維持補修等の仕事が増えるということから、「維持普及係」と「工務係」に分割し、業務の効率性と専門性を高めてまいります。

時間外勤務削減等に向けた職員の働き方改革につきましては、全国的にも取組が拡大している開庁時間の見直しについて、早期の実施を目指し検討してまいります。

これにつきましては、職員の働き方改革とともに、市民の方々の利便性を考えながらも、やはり開庁時間は短縮する必要があるのではないかと考えているところであります。

行政情報の発信につきましては、広報はなまき、市ホームページ、フェイスブック、エックス等のほか、昨年11月からはLINE(ライン)での情報発信、これは登録された方々に市からプッシュ型で情報をお送りし、LINEを開ければすぐ見られるという情報発信でありますが、これをスタートし大変好評を得ていることから、これらの多様な広報媒体を活用しながら、より効果的で分かりやすい情報発信に努めてまいります。

なお、このようなことがなかなか利用困難だという方のための広報「はなまき」でありますが、これについて今は縮小する考えはないということも申し上げたいと思います。

市の財政運営に当たりましては、安定的な収入の確保と経常的な経費の抑制に努めつつ、市政課題に対応するために不足する財源につきましては、基金の活用や、市債の発行により対応するとともに、しっかりとした財政見通しを立てながら、一層健全な財政の維持に努めてまいります。

自主財源の確保に向けた取組の一つといたしまして、1市3町の合併前のそれぞれの地域の実情にあわせて設定された金額を据え置いたままとなっている市のスポーツ施設の使用料について、学生等の使用料、あるいは地元の方々の使用料については、引き続き大きな配慮は必要でありますが、例えば市外の方の使用料を含めて、見直しについては、関係者の皆さまのご意見を伺いながら検討してまいります。

市有財産の適正な管理に当たりましては、老朽化が進んでいる公共施設の長寿命化対策と併せて、近年の猛暑対策を含めた空調設備の設置、照明設備のLED化、トイレの洋式化などの整備を加速してまいります。

特に開館50周年を迎える文化会館は、受変電設備の更新、照明設備のLED化、そして利用者の方々から強く要望いただいているトイレの改修を行い、利用しやすい施設としての維持に努めてまいります。トイレの改修につきましては、洋式化はもちろんですが、既に洋式化している部分についても、心地よく利用していただくための改修も検討してまいりたいと考えているところであります。

イーハトーブ花巻応援寄附金推進事業につきましては、花巻の魅力ある返礼品を出品してくださる返礼品事業者の皆さま、本市を応援してくださる全国の寄附者の皆さまに心から感謝を申し上げますとともに、頂戴したご寄附は、ご指定頂いた寄附の使途に沿って、本市のまちづくりへ広く活用させていただきます。

結びに

結びとなりますが、日々新たな行政課題が出てきているところでありまして、それと向き合い、今の暮らしをより良く、そして命を守る、そしてより良い未来につなげていくために、私をはじめ、職員一人一人が市民の生活を支えていくという強い使命感を持ち、果敢に取り組む必要があると考えております。

本市のまちづくりの基本原則である、市民との「情報共有」を土台とした「参画」と「協働」により、市民の皆さまとともに本市の将来都市像の実現に向けた取組をさらに力強く推進してまいります。

市民の皆さま、市議会議員各位の市政運営へのご理解とご協力を心からお願い申し上げ、令和7年度の施政方針といたします。

担当

総合政策部 秘書政策課 企画調整係

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秘書政策課
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