市長演述 令和4年第1回(令和4年3月議会)

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ページ番号1016020  更新日 令和4年2月25日

本日、令和4年第1回花巻市議会定例会が開催されるにあたり、令和4年度の市政運営に臨む所信の一端を申し上げさせていただきます。

はじめに

このたびの市長選挙を経て、3期目の市政を担わせていただくこととなりました。市民の福祉向上と将来の花巻市の基盤を創るという目的に向かって、市民の皆様、議員の皆様とともに、進んでいきたいと考えております。

3期目の私の公約としまして、「市民のいのち、暮らしを守る」施策の実行、「子ども達の未来 はなまきを創る」、この2つを実現させるために、「新型コロナウイルス感染症対策」、「地域医療の確保と子育て支援」、「定住促進対策」、「市街地活性化対策」、「産業団地整備と雇用環境の充実」、「農業と集落を守る対策」の以上6点について重点的に取り組んでまいりますが、本議会に提案する令和4年度予算は、予算編成期に市長選挙が行われたことから、主に扶助費や公債費などの義務的経費や継続的に実施している事業の予算の計上を基本とした骨格予算として編成しています。

今後のまちづくりに向けた新たな重点施策や政策的な経費については、花巻市まちづくり総合計画第3期中期プラン掲載事業のローリング等、今後の検討を踏まえ、令和4年度早期に肉付予算として補正予算を計上する予定とします。

新型コロナウイルス感染症対策

感染拡大の防止

初めに新型コロナウイルス感染症対策についてであります。

ワクチン接種につきましては、花巻市医師会等関係各位のご理解、ご協力をいただきながら、2回目の接種を終えた方について順次3回目の接種を開始しているところであり、早期の完了を目指しております。

また、5歳から11歳の小児も含む64歳以下の方々についても、順次接種できるよう準備を進めており、一部においては既に開始されております。

感染予防の徹底について、引き続き周知に努めるとともに、公共施設等における感染予防のために必要なアルコールやマスク等の感染予防用品および抗原定性検査キットなど検査用品の確保に努めておりますが、感染防止対策を推進してまいります。

市民の暮らし・経済対策

当市においては、感染予防のため、そして感染拡大の影響を受けている市民や事業者に対する支援を行うため、令和2年度から3年度予算にかけて数次にわたる補正予算を計上してきたところであります。

本年4月以降も、新型コロナウイルス変異株による感染拡大が懸念されますことから、令和4年度骨格予算において、ワクチン接種に必要な経費や、感染拡大の影響を受けた事業者に対する支援に必要な経費につきまして、総額6億3,974万円の新型コロナウイルス感染症対策予算を計上し、令和3年度からの繰越分と一体で感染症対策を徹底してまいります。

コロナ禍の影響による困窮世帯の支援

市民に対する支援としては、岩手県社会福祉協議会が実施する緊急小口資金や総合支援資金の特例貸付利用者に対する貸付金の40パーセントの支援や、経済的な負担が増している世帯や学生に対し、安心した生活が送れるよう支援を行うとともに、こども食堂の運営に対する支援を行ってまいります。

また、解雇や雇止めなど事業主都合により離職された方、廃業した個人事業者、内定を取り消された方の再就職を支援するため、正規雇用として雇い入れた事業者に対しての離職者等正規雇用促進奨励金、また、事業主都合による解雇または雇止めにより失業した市民に対し、一律10万円の見舞金を支給する失業者生活見舞金につきましても、継続してまいります。

市内事業者の事業継続

令和2年度から実施している地代・家賃補助につきましては、市内事業者の事業継続の支援が引き続き必要な状況でありますことから、本年4月から6月までの3か月間、月額の2分の1を補助することとし、継続してまいります。

国の事業復活支援金の申請につきましては、4月以降も継続して市独自の申請サポート会場を開設し、本支援金の対象となる個人事業者の申請をサポートしてまいります。

依然として厳しい経営状況が続く温泉宿泊施設等の観光関連事業者への支援のため、感染症の感染状況、国及び県の施策などの実施状況、県の施策について延長する動きもございます、そのような実施状況、市内宿泊施設等の利用状況等を注視しながら、温泉宿泊施設等利用促進事業など事業継続を支援する事業の実施につきまして取り組んでまいります。

PayPayを活用したポイント還元キャンペーンにつきましては、支援策として非常に大きな効果を発揮しており、事業者の方々にとって大変好評でありますことから、令和4年度におきましても第6弾のキャンペーンを実施してまいります。

第5弾を本年3月1日から3月31日までの1か月間実施することとしております。

第6弾のキャンペーンにつきましては、効果をより大きく出せるよう感染症の状況を見計らいながら、補正予算を計上の上、実施してまいります。

市の財源や国の予算の活用

令和4年度に取り組むこれらの新型コロナウイルス感染症対策事業の内、ワクチン接種については、令和3年度と同様、国の新型コロナウイルスワクチン接種対策負担金及び接種体制確保補助金を主たる財源として、実施してまいります。しかしながら、コロナ禍の影響による困窮世帯の支援及び事業者に対する支援、さらには米価下落対策などの市の単独事業については、令和2年度及び令和3年度においては、国からの新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、不足する分についてのみ市の一般財源等を活用し実施してまいりましたが、国は令和4年度予算には市町村に交付する地方創生臨時交付金をその項目として計上していないことから、これらの市の単独事業については、まずは、市の一般財源等を活用して実施する予定としています。

国や県の支援状況を見ながら、さらに必要な事業は市の一般財源等を活用して、令和4年度補正予算を編成し、市民のいのち、暮らしを守り、事業者の事業継続をさらに支援することを検討してまいります。

なお、イーハトーブ花巻応援寄附金については、本年1月末現在で過去最高の約41億円となっており、引き続きふるさと納税ポータルサイト及び返礼品事業者と連携し、本市の魅力ある地場商品の効果的なPRに努めるとともに、いただいた寄附金については寄附者の意向を踏まえながら、有効に活用させていただきます。

地域医療の確保と子育て支援

周産期医療については、市民が安心してお産することができる環境を維持確保するため、令和3年度補正予算により、従来の助産師・看護師に対する支援に加えて、市内の産科医療機関において産科医師を確保することを目的とする周産期医療確保対策事業費補助金を予算化しておりますが、令和4年度においても産科医師に対する一時金や保育料、家賃、奨学金返還金、交通費などの支援を実施し、また、産科医療機関が医師の人材紹介事業者から紹介を受けて医師を雇用した場合に要する経費の一部を支援することにより、岩手県立中部病院を含めた市内の周産期医療の維持確保に努めてまいります。

総合花巻病院の旧建物等の解体に関しては、市と公益財団法人総合花巻病院は、昨年11月に建物等の解体後における土地形状や解体スケジュール、土壌汚染対策に関すること等を整理した「総合花巻病院の移転整備に関する変更協定」を締結し、現在、同法人が建物等を解体中であります。同法人からは、令和5年3月に一部構造物を除く建物等の解体が完了する見込みであると伺っており、市といたしましては、建物等の解体が完了して当該土地が更地になった段階で、同法人との協定に基づき、土地を取得するために土地価額などの条件について同法人と交渉をすすめることとしています。

子育て支援といたしましては、まず、子どもの医療費助成について、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、これまで8年間において拡充に取り組んでまいりましたが、さらなる拡充を図るため、小学生、中学生、高校生等の医療費助成の認定基準となる所得制限の撤廃に向けて、システムの改修や関係機関との調整を進めながら、時間はかかりますができるだけ早期の実施を目指します。

結婚前から子育て期にわたるまでの母子保健や育児に関する様々な悩みに円滑に対応していくため、これまで市内のNPO法人まんまるママいわてへ委託して行ってきた「産後ケア事業」、「産前・産後サポート事業」を継続するとともに、「産後ケア事業」については、週3日と月2日であった開設日を週4日に増やし、同法人とともに母子の心身の健康をサポートしてまいります。さらに、同法人のスタッフの拡充と意向を踏まえた上で、将来的には宿泊を伴うサービスの実現に向けて、同法人とともに検討を進めてまいります。

また、岩手県が本年4月から産後ケア事業利用促進事業として、利用料を無償化した市町村を支援するという方針が示されたことから、当市としても、そのような県の支援を前提として、産後ケア利用者が負担する利用料の無償化に取り組み、さらに利用しやすい態勢を整えます。

待機児童対策につきましては、市内保育施設の新設や各種保育士確保の取組の充実により、令和2年度以降、年度当初の待機児童をゼロに抑えることができていますが、年度途中から待機児童が発生しており、依然として保育士不足が課題となっておりますことから、市内私立保育園等の保育士等に対する再就職支援金貸付をはじめとする支援事業には引き続き取り組んでまいります。特に、昨年12月から開始した新卒保育士等に対する就職支援金貸付を令和4年度から本格的に実施するほか、家賃補助の補助上限額や補助率の拡充など、制度を充実させ、保育士のさらなる確保に努めてまいります。

さらに、保育需要に対応して、配置基準を上回る職員を配置する保育園などの施設等に対し市独自に補助を行う「保育士確保・保育所等受入促進事業」を新たに実施してまいります。

学童クラブにつきましては、花南地区において利用児童の増加に伴い、今後待機児童が発生する可能性があり、南城学童クラブの施設の増築を行ってまいります。

なお、子育て世帯の経済的負担軽減を図るため、保育園等を利用する3歳未満児の保育料を軽減することについて、3歳未満児はまだ国の無償化の対象となっておりません。保育料を軽減することについて、令和4年度内の実現を目指して検討してまいります。

就学援助事業につきましては、準要保護世帯の認定基準について、現在、生活保護基準の1.3倍としているところを、令和4年度認定分から1.5倍に緩和することで、児童生徒を就学させることが困難な保護者等に対する支援の範囲を拡充します。

公立保育園や公立幼稚園、こども発達相談センターの施設の安全確保のため、子どもたちの安全確保のため、新たに屋外用防犯カメラの設置を進めてまいります。

学校・PTA・地域と連携し実施設計を進めてきた、桜台小学校校舎の長寿命化につきましては、令和4年度から本格的に改修工事に着手し、令和6年度の事業完了に向けて取り組んでまいります。

人口動態と定住促進

次に定住促進対策についてであります。

市の住民基本台帳を基にした「住民登録人口集計表」による人口の推移は、令和元年末は前年比755人の減、令和2年末は前年比797人の減、令和3年末は前年比959人の減となっており、市の人口は93,472人となっております。

一方、転入から転出を差し引く社会増減については、令和元年は147人の増、令和2年は112人の増、令和3年については、市の住民基本台帳の速報値を見ますと、71人の増となっており、住民基本台帳をベースにした数字では、過去3年間連続して社会増が続いております。

過去3年間の年齢別の社会増減の状況を見てみますと、18歳から29歳までの人口は引き続き転出超過の傾向が見られ、このことは、進学・就職期における主に首都圏への転出超過によるものと考えられます。

一方、30歳から49歳までは転入超過の傾向が見られ、また14歳以下の人口も転入超過の傾向が見られ、県内他市町村を中心とした東北地方から当市への転入者が増加している傾向にあります。これは、近隣市町への企業立地が進んでいることなどに加えて、移住者や子育て世帯を対象とした定住促進策や、子供の医療費助成や妊産婦の産前・産後サポート体制の強化などにより、子育てをしながら生活を送る上で望ましいまちとして選ばれていることも要因であると考えられます。そのことから、花巻市の活性化のためには、定住促進策や子育て支援を今後も継続していく必要があると考えます。

近年、首都圏等における地方への移住ニーズが高まっており、当市への移住定住に関する相談件数についても、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前の令和元年度が132件であったのに対し、令和2年度は390件と約3倍となっており、令和3年度は令和3年12月末現在で既に455件にのぼるなど、増加傾向が続いています。このような中、本市への移住・定住支援を進めるため、移住相談員の増員や、新たに移住コーディネーターを配置するほか、東和地域における相談業務を地元の団体へ委託し週7日の対応とするなど、移住希望者への情報発信の強化と相談体制の充実を図ります。

また、子育て世帯、新規就農者等への移住・定住支援であります「定住促進住宅取得等補助金」、「子育て世帯住宅取得奨励金」のほか、昨年度から若者世代への住宅支援として実施しております「結婚新生活支援補助金」、「若者世代空き家取得奨励金」に継続して取り組んでまいります。

首都圏から市内へ移住・定住された方に支援金を交付する移住支援金制度については、移住から就業までを後押しするための効果的な手法を検討しながら、引き続き岩手県と連携して取り組んでまいります。そのうえで、本市独自のUIJターン者就業奨励金制度も活用し、首都圏をはじめ、県外から本市へのUIJターン者の増加につながるよう取り組んでまいります。

市街地活性化対策

次に市街地活性化対策についてであります。

JR花巻駅橋上化・東西自由通路整備につきましては、現在、JR東日本で全体事業費の縮減を含め複数以上の計画案の検討を進めております。また、西口駅前広場の再整備についても市が民間コンサルタント会社への委託により整備方針の検討をしております。これらの計画案については、検討終了後速やかに公表するとともに説明会等を実施し、市民の意見を伺いながら意見の集約化を図り、そのうえで、JR東日本との交渉を進めることにより、花巻駅西側地区の利便性向上及びJR花巻駅を中心とした東西地域の一体的な活性化を図ってまいりたいと考えております。

新花巻図書館の整備に関しましては、市民の方々の参画を得て、検討会議で「新花巻図書館整備基本計画試案」の検討・修正を進めているところですが、今後も、検討会議と並行してお聞きしている市民各層の皆様のご意見も踏まえて、検討会議において蔵書に関する考え方や建設候補地に建設する場合の条件や現時点での状況についてお示しした上で検討し、建設場所について、一定の方向性を見出し、その上で市民の意見の集約化を図っていきたいと考えておりますが、検討会議で一定の方向性が示せなかった場合については、新たに市民の皆様の意見を伺う仕組みをつくることも視野に入れ、意見の集約化を図り場所の選定を進め、新しい図書館の整備を早期に実現してまいりたいと考えております。

なお、「新花巻図書館整備基本計画試案」について、検討会議における検討が進み、案としてまとまった段階となった際には、市民参画の手法として、令和2年8月24日に市民が構成メンバーとなっている市民参画・協働推進委員会に確認いただいたところにより、市民からのパブリックコメントを実施し、花巻市図書館協議会で審議いただき、さらには花巻・大迫・石鳥谷・東和地域においてそれぞれ1回ずつ予定されている市民説明会を行った上で、花巻市教育委員会議において承認をいただき「新花巻図書館整備基本計画」を定めることになりますが、基本計画の策定にあたっては本件についてすでに公表されている、先ほど申し上げた3つの市民参画の手続きに加えて、市民、関係者の皆様や教育委員会とも十分に協議をしていく必要があると考えているところであり、そのような手続きを進めてまいります。

平成28年6月に策定しました立地適正化計画においては、昨年度に引き続き、都市機能誘導区域における誘導事業等の検討を行うとともに、居住誘導区域内における防災対策・安全確保対策を示した「防災指針」の作成を行ってまいります。

産業団地整備、雇用環境の充実

次に産業団地整備と雇用環境の充実についてであります。

現状では、市内に進出を希望する企業の要望に、用地不足によりまして十分お応えできていないことについては、再三ご報告申し上げている通りであります。産業団地の整備につきまして、花南地区を対象に令和2年度から本格的に検討しておりますが、これまでの成果を比較、検討した結果、総面積約33ヘクタールのうち、その候補地のうち中央部の約12ヘクタールの工区が費用面で最も優位性があり、且つ速やかな整備が期待できることから、市独自の産業団地として先行開発する方針とし、令和3年度は、中央部の工区にかかる用地測量や補償調査、埋蔵文化財の試掘などのほか、基本設計の策定と地権者や隣接者への住民説明会を開催しましたが、令和4年度予算への肉付予算に関する補正予算措置を議会にお認めいただいた場合には、令和4年度に用地買収や支障物件の補償のほか、より詳細且つ具体的な設計となる実施設計の実施や排水路の敷設替工事の設計など、本格的な整備に向けた取り組みを加速させてまいりたいと考えております。

また、花巻市は、多くの平野部が農業振興地域内の農用地区域に指定され、その除外が農林水産省のガイドラインにより困難な状況にありますが、市内平野部においては多くはないものの、農業振興地域であっても農用地区域に指定されていない、いわゆる白地地域にある農地等の土地や、農業振興地域の指定がない都市計画法上の用途区域内で開発されていない土地において企業用地を開発しようとする民間事業者に対し、新たに「民間産業用地整備促進奨励事業補助金」を創設するなど、企業用地の開発も支援していきます。

企業誘致活動につきましては、スマートインターチェンジや市南側の国道4号の4車線化などの整備により、本市の交通インフラがいっそう充実し、また産業団地の整備も進むことから、県南地域に集積が進む自動車や半導体の関連企業のほか、運輸・物流企業等も含めた幅広い業種や企業に向けて、市独自はもとより、県や関係機関、民間事業者とも連携した誘致に取り組んでまいります。

国内外の経済動向や企業ニーズを踏まえた市独自の優遇制度を随時検討、実施するほか、市内の用地や空き物件を紹介するホームページの拡充など、市内への企業立地の促進や誘導を図るための体制の強化にも併せて取り組んでまいります。

また、企業の人材不足解消のため、人材確保に苦慮している市内事業所が製造業者も含めてありますことから、人事担当者向け及び経営者向けにセミナーを開催し、採用活動に対する機運醸成を図るほか、求職者が市内事業所を検索することが容易になるよう、市内事業所を一覧で紹介する検索サイトを構築してまいります。

コロナ禍の影響により、就職活動が十分にできない学生等を対象とした事業所の紹介動画を作製し、市ホームページへ動画の掲載及び市内高校にて動画上映会の実施を通じ、就職支援の強化を図ってまいります。

農業と集落を守る

次に農業と集落を守る対策についてであります。

花巻市には、圃場整備が進んだ大規模圃場や、中山間地の起伏に富んだ棚田など、それぞれの集落には美しい田園風景が広がっております。農業と集落を守っていくためには水田を維持する必要があります。

コロナ禍の影響もあり、主食用米の需給が緩和し米価が下落していることから、令和3年度補正予算に計上した米価下落対策を実施し、主食用米から転作作物への作付転換を推進するなど国による需給見通しを踏まえて県が示した目安に応じた米生産が行われるよう誘導を図り、主食用米の需給調整に協力し、ひいては米価の維持を図る、それに協力するとともに、令和4年産米についても、その概算金等に応じて必要な場合には、主食用米の需給緩和による米価下落対策を行ってまいります。

さらに、地域の人と農地の課題を解決するため実質化した人・農地プランを実践するとともに農業用ICT(情報通信技術)等の導入を進め、市が設置しているRTK-GPS地上基地局を活用した農業用機械の自動操舵システムや農業用ドローン、ロボット草刈機や水稲用水管理支援システムの導入を支援し労働力の低減や生産性の向上を図ってまいります。

現在実施しております有害鳥獣捕獲に対する補助金への市単独での補助額の嵩上げや狩猟免許取得経費への支援、これは大変大きな効果が出ております。このような支援を引き続き実施するほか、新たに令和4年度から電気柵設置に対する補助額の上限を撤廃するとともに、個人への補助率を2分の1から3分の2とするなど対策の拡充を図ってまいります。

花巻市が全国に先駆けて国へ強く要望し、市内あるいは市町村内の一部地域についても引き続き過疎対策事業の対象とすることが認められた新しい過疎対策法である「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」が昨年施行され、大迫・東和地域については、返済について国の財政支援を受けられる過疎対策事業債が引き続き発行できることとなりました。過疎対策事業債に加えて、市の基金なども活用しながら、大迫・東和地域住民のいのち、暮らしを守る施策を行ってまいります。

旧4市町の中心地を結ぶ基幹公共バス路線の維持を図るとともに、岩手県交通株式会社の経営については大変心配であるとのお話はしておりますし、県が中心となり関係市町村が一緒になって支援する必要があるということについては、再三申し上げている次第でありますが、市街地循環バスや予約乗合バスなどの運行費補助等により、継続して高齢者・若年者など交通手段を持たない市民の交通手段の確保に努めてまいります。

また、予約乗合バスについて、市民の方々がより利用しやすく、より効率的な運行となるようAIを搭載した受付配車システムを導入します。

高齢者及び障がい者福祉タクシー事業について、従来のタクシー利用に加えて市内路線バス、市街地循環バスも利用できるようにし、利用者の利便性の向上を図ります。

防災危機管理体制については、千年に一度または150年に一度の洪水が発生した場合、新堀地区、八重畑地区においては、これまで洪水浸水想定区域に指定されている北上川に加え、本年2月4日に指定された稗貫川の洪水浸水想定区域分の避難対象者が増加することにより、両地区の指定緊急避難場所及び指定避難所では収容しきれない状況が想定されます。

このほか、特に大迫地域においては、居住地から指定緊急避難場所までの間に土砂災害が発生した場合に孤立する可能性のある地区が想定されます。

このことから、指定緊急避難場所以外の避難先となりうる施設の改修や整備について、優先度の高いところから、地域の皆様と協議を行い検討してまいります。

さらに、稗貫川の洪水浸水想定区域の指定に伴う地域住民の皆様への説明会を開催し、コロナ禍の下においてなかなか難しいところはございますが、可能な限り開催し、避難対象者の避難体制の確立を進めてまいります。

令和4年度のその他主要施策

令和4年度のその他の主要施策につきまして、説明いたします。

観光・交流人口の拡大

観光・交流人口の拡大についてであります。

宮沢賢治の世界観や賢治が現代に与える影響等を芸術面から紹介する「賢治フェスティバル」は、賢治のふるさとならではのイベントとして、多くの方々に大変好評をいただいています。

新型コロナウイルス感染症の感染状況にもよりますが、「童話村の森ライトアップ」及び「イーハトーブフェスティバル」を開催し、実行委員会を構成する民間団体とともに「賢治のふるさと花巻」を全国に向けて発信してまいります。

着実な継続事業の進捗

市道山の神・諏訪線や寺林線、城内大通り一丁目線等の幹線道路の整備、検討を継続するとともに、橋梁の点検及び補修を進めてまいります。また、上町成田線等の歩道整備を進め、特に小学生にとって安心・安全で快適な道路環境の充実にも努めてまいります。

花巻パーキングエリアへのスマートインターチェンジ整備については、測量調査、用地買収、埋蔵文化財調査などを行ってきましたが、令和5年度中の供用開始に向けて引き続き工事を進めてまいります。

大迫地域仲町地区の各商店の方々、商工会議所及び関係者が設立した「大迫地域街並み整備検討委員会」での議論を踏まえつつ、地域の様々な意見を取り入れ、歴史のある古い建物の保存整備等の推進に向けて必要なハード・ソフト両事業について地域の方々と共に協議の上、街並み整備に向けた支援体制を整えてまいります。

岩手県立大迫高等学校の生徒確保について、これまで大迫高等学校生徒確保対策協議会を通じ、通学費補助制度の拡充や制服購入費補助、各種検定試験料補助の制度を創設し支援を拡大してまいりましたが、令和4年度入試においては22名の志願者を確保することができました。地域の方々と共に喜びたい、そして地域の方々に感謝申し上げたいと思います。

令和4年度においては、新たに県外の入学希望者がオープンスクールへ参加しやすくするための旅費の一部補助を行い、また、県外などから入学する生徒の学生寮の拡充を今後検討し、必要な場合には令和4年度中に補正予算を計上し、その拡充に努めてまいります。

道の駅「石鳥谷」の整備につきましては、道の駅施設の設置者である国と協議を行いながら、施設再編を着実に進めてまいります。道の駅指定から30周年を迎える令和5年度のリニューアルオープンに向けて、りんどう亭大食堂の屋根改修や市が整備を行うこととなっている広場、コの字型の広場、国以外の市が整備する駐車場の整備を進めてまいります。

しごと

しごと分野についてでありますが、県内有数のぶどう産地である大迫地域において、ぶどう生産・ワイン原材料の安定確保を図り、高齢化や担い手不足等の課題を抱えるぶどう農家への支援を行うため、関係機関で構成された大迫地域ぶどう産業振興協議会が実施する、栽培面積を維持するための対策や作業省力化研究の推進、有害鳥獣対策への補助、新規就農者に対するフォローアップの継続などに取り組んでまいります。

暮らし

暮らし分野につきましては、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けていけるよう、地域に根差した介護予防を始め、通院や買い物への付き添い支援や除雪等の多様な生活支援、地域ぐるみで認知症高齢者とその家族を支援する体制の整備、継続性ある在宅医療と介護サービスの提供に向け更なる体制強化を進めます。

さらに、高齢者等の権利擁護支援として、成年後見制度の利用を進めるため、相談対応や制度の利用支援等を行う中核機関を市に設置します。

優良な住環境の整備につきましては、都市計画の用途地域等において、適正な道路幅員を確保するなどの優良な宅地開発を実施する民間事業者に対して、引き続き造成費用の一部を補助します。

空き家により阻害されていた景観や住環境を整備し、街の新陳代謝を図るため、1年以上使用されていない空き家・空き店舗等を対象に、同じ場所に家屋、店舗等を新築することを条件として、引き続き空き家等の解体費の一部を補助します。

太陽光をはじめとする再生可能エネルギー等発電設備の設置が、市民の皆様のご理解のもと適正かつ安全に進められるよう、設置に関する手続き等を定める条例の制定について、検討を進めてまいりましたが、国の新たな動きが出てきたことから、その動きとの整合性を図りながら、条例制定について引き続き検討してまいります。

消防指令業務の共同運用につきましては令和3年第4回花巻市議会定例会におきまして「いわて消防通信指令事務協議会」の設置の協議に関し、議決を得られましたことから、消防指令業務の共同化に向けた準備を推進し、各種災害に対応できる消防体制の連携、強化を図ります。

光ファイバ未整備地域の解消を図るため、令和2年度より国の補助事業を活用し、民設民営による光ファイバ網の整備を進めてまいりました。これにより、今回の事業主体が独自に整備することとしている地域を除き、市内全域の既存の電話回線が敷設されている世帯において、遅くても本年3月1日から光回線を活用したインターネットサービスが利用可能となります。

一方、地理的な制約等からテレビ地上波放送を受信できないテレビ難視聴地域の施設老朽化を受けて、今回整備した光ファイバ網を活用すること、NTT東日本とあるいは関係する会社と話をしていますとなかなか難しいようでございますが、その光ファイバ網を活用することや各組合が設置する共同受信施設の設備更新等への支援について検討してまいります。

人づくり

貸与型奨学金につきましては、コロナ禍の影響により家計が急変した世帯を含め、修学に向けた支援が必要な方への貸与を継続してまいります。

また、返還免除型奨学金「はなまき夢応援奨学金」につきましては、令和3年度より貸与要件を緩和し、日本学生支援機構給付奨学金採択者を新たに対象者に追加するとともに、これまで併用不可としていた同奨学金との併用を可能とする制度改正を行ったことから、当該制度の周知に努めてまいります。

学校給食につきましては、新たに学校給食センターについて、岩手中部広域行政組合が可燃ごみ処理施設の建設に導入し、また現在不燃ごみ処理施設についても、過日の組合の議会で公表したとおり、今検討しているPPP方式導入の可能性も選択肢の一つとして、学校給食センターを整備するための計画策定及び用地取得に向けた調査等を行います。

文化会館は、建築から46年が経過しておりますことから、大ホールを安全に安心してご利用いただけるよう、大ホール音響設備改修のための実施設計を行い、改修工事の実施についても検討を進めてまいります。

石鳥谷生涯学習会館は、生涯学習と文化活動の拠点施設であると同時に、災害時の指定緊急避難場所兼指定避難所でありますことから、施設の設備更新を計画的に進めており、令和4年度は講堂の空調設備改修を行います。

萬鉄五郎の顕彰を目的とした萬鉄五郎祭の開催及びアートクラフトフェア開催支援については、コロナ禍の影響を見ながら、それらの推進を図るとともに、市民の美術に対する関心を高めるため、多彩な企画展覧会やテーマ展を開催します。

また萬鉄五郎記念美術館は昭和59年に開館し35年を経過しておりますことから来館者に安心してご利用いただくために必要な改修を行ってまいります。

令和3年度は収蔵施設の改修を行ったところですが、令和4年度は美術館の空調設備の改修に向けて設計を行います。

スポーツ振興につきましては、引き続き地域スポーツ及び競技スポーツの推進を図るとともに、コロナ禍の影響も見ながらではありますが、大規模スポーツ大会や合宿誘致等にも取り組んでまいります。

特に、本年9月23日(金曜)から26日(月曜)の期間で、日本スポーツマスターズ2022岩手大会の開催が決定しており、本市においては、ソフトボールとバレーボールの2競技を実施することとなっております。

また、令和3年度に毘沙門ドームのドーム全面改修を行っておりますが、令和4年度においても、市内におけるスポーツ施設の維持・拡充を検討し、必要により実施してまいります。

地域づくり

地域づくり分野につきましては、コロナ禍により実施が困難な状況が続いている市政懇談会など、可能な限りさまざまな機会を設けるとともに、図書館についてもそのような意見交換会ができませんでしたが、新たに基本的な事項を定める計画を策定する際など、これまでと同様に市民参画の手法により広く意見を頂戴し進めてまいります。

また、現在、市民参画条例の制定に向けた検討をしておりますが、制定に当たっては、まちづくり基本条例及び現在の市民参画ガイドラインを踏まえ、先進自治体の事例等も参考にして検討を進めてまいります。

行政経営

行政経営分野につきましては、現在の花巻市まちづくり総合計画は令和5年度をもって終了いたしますことから、令和4年度より新たな総合計画の策定作業、既に一部進んでおりますが、総合計画の策定作業を進めます。策定にあたりましては、市民の幅広い層から十分に意見をお聞きすることが大変重要であると考えておりますことから、本年4月1日より総合政策部秘書政策課内に総合計画策定室を設置し、ワークショップの開催や各種団体等からの意見聴取など計画策の定早期段階から市民の皆様から意見を伺いながら策定を進めます。

新たな総合計画の構成は、本市を取り巻く社会状況や政治状況などの社会情勢を踏まえ、将来にわたり持続可能な市政を運営していくために、SDGs(持続可能な開発目標)との関連付けの視点も取り入れ、長期的視点に立った市政運営の指針となる総合的かつ長期的なビジョンと、長期的なビジョン期間内の目標年次までに取り組む施策の基本的な方向性、推進方針などを定める実施計画の、現総合計画と同様に2層構造とすることで検討を進めております。

ICT(情報通信技術)等の技術活用による業務改善の推進についてでありますが、令和2年12月に総務省が策定した「自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進計画」では、自治体が自ら担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して、住民の利便性を向上させるとともに、デジタル技術やAI(人工知能)等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスの更なる向上に繋げていく自治体DXの推進を求めております。

本市におきましては、これまで取り組んでいるAI、RPA等につきましては、他市町村に比べても遜色ない、進んでいると認識しているところでありますが、このようなICTの活用を引き続き実施しながら、市の検討がまだ進んでいないDXにつきましては、業務の効率化を図ることで職員の負担を軽減し、住民サービスの向上を目指すためにDXの推進を従前よりも促進していきたいと考えております。

結びに

以上、私の令和4年度市政運営の方針と主要施策の概要について申し述べさせていただきました。

市政運営におきましては、市民、関係団体の皆様、そして市議会の皆様との対話を丁寧に行ってまいりますとともに、議員の皆様からの建設的な意見を市政に反映するため、わかりやすい形での市政情報の周知に努めてまいります。

花巻で暮らす方々や、花巻で働く方々、そして花巻を離れ遠くで暮らしながら花巻を応援してくださっている方々が、誇りを持てる素晴らしい花巻、若い世代が住みたい帰ってきたいと思える花巻を創り、若い世代に元気な花巻をバトンタッチできますよう、市民、市議会そして市職員の力を結集し、まちづくりを進めてまいりますので、皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

担当

企画調整係

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