市長演述 令和6年第1回(令和6年3月議会)

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ページ番号1020953  更新日 令和6年2月27日

はじめに

本日、令和6年第1回花巻市議会定例会が開催されるにあたり、令和6年度の市政運営に臨む所信の一端を申し上げさせていただきます。

はじめに、本年1月1日に発生した能登半島地震により亡くなられたすべての方々のご冥福を心からお祈りいたします。また、被害に遭われた皆さまに、改めてお見舞いを申し上げます。

第2次花巻市まちづくり総合計画に基づくまちづくり

本市の市政運営において最も重要な計画である第2次花巻市まちづくり総合計画は、多くの市民、関係団体等の意見を伺いながら、策定に取り組んでまいりました。本年2月8日には、令和6年第1回花巻市議会臨時会において、長期ビジョンを議決いただいたところであり、現在、令和6年度から9年度までの4年間に取り組む施策の方向や目標値などを掲載する前期アクションプランの策定作業を進めております。令和6年度は、新たな総合計画のもとでまちづくりを進めてまいります。

人口動態の状況

市の人口は、住民基本台帳の速報値によると令和5年末で前年比1,291人減の91,086人となり、その内訳は、日本人、日本国籍を持つ方が1,426人減の90,420人に対し、日本国籍を持たない、外国人の方々は135人増の666人であります。

人口減少の要因は、全国の令和5年の出生数が過去最少となるとの見通しのとおり、当市の出生数も住民基本台帳によりますと399人と減少が続き、少子化の傾向に歯止めがかからないことと併せ死亡者数も前年より減少したものの、1,591人と出生数を大きく上回っていることにより、自然減の影響が大きいことが挙げられます。

一方、転入から転出を差し引く社会増減は、子育て世代の転入超過の傾向はあるものの、若年層の転出超過が顕著であったため、令和5年は、住民基本台帳の速報値で80人の社会減となったところです。これは、若年層において、就職等の理由により、関東圏や宮城県などへの転出の動きが、コロナ禍による影響の揺り戻しとして見られたことが主な要因と考えられます。

今後において、令和4年までの社会増の動きを継続させ、本市の人口減少のスピードを緩やかにし、市全体の活力を持続させるためには、少子化に歯止めをかけること、若者や勤労世代を確保することを優先的に取り組むことが重要でありますことから、第2次花巻市まちづくり総合計画に掲げる6つのまちづくり分野の政策を横断的に推進する「重点施策推進プロジェクト」による人口減少対策に取り組んでまいります。

子ども・子育て応援プロジェクト

プロジェクトの1つ目「子ども・子育て応援プロジェクト」でありますが、令和5年12月にこども基本法に基づく「こども大綱」が閣議決定されたことをうけて、本市では、少子化対策・教育・福祉・保健などといった幅広い分野が含まれる「市町村こども計画」を策定することなどにより、子育て支援の一層の充実を図るため、令和6年度より健康福祉部内に子育て支援施策の中核を担う部署として、こども課とこども家庭センターを設置し、部局横断の取組を推進してまいります。

「こども家庭センター」は、「子育て世代包括支援センター」と「子ども家庭総合支援拠点」の機能を維持した上で、全ての妊産婦、子育て世帯、こどもに対し、母子保健・児童福祉の両機能が一体的に相談支援を行う機関として設置するものであり、切れ目なく対応してまいります。

市内のNPO法人まんまるママいわてへ委託して行っている「産後ケア事業」、「産前・産後サポート事業」を継続し、母子の心身の健康をサポートしてまいります。また、宿泊型サービスをはじめ、産後ケアサービスのさらなる充実に向け、国の動向も注視しながら、引き続き委託先とサービスの拡充について協議を重ねてまいります。

周産期医療については、市民が安心してお産することができる環境を維持するため、市内産科医療機関へ就職する医師に対する支援を拡充するとともに、助産師及び看護師に対する支援、産科医療機関が人材紹介事業者から紹介を受けて医師を雇用した場合に要する経費についての支援を継続し、市内の産科医療の確保を進めるとともに、「岩手中部・胆江・両磐」周産期医療圏における地域周産期母子医療センターであり、岩手中部医療圏の基幹病院である岩手県立中部病院の産科医療体制の維持・拡充、および新生児の安全を確保するための小児科機能の拡充について、引き続き岩手県及び県立中部病院に要望し協議してまいります。

妊産婦への交通費支援については、これまでのハイリスク妊産婦と同様に、市内のすべての妊産婦を対象に、自家用車等の利用分など、産科医療機関を利用する場合の移動等に要する経費も補助対象とするなど拡充を図っており、今後も市民が安心して出産できる環境の充実を図って参ります。

医療費の助成については、令和5年8月より市内のすべての子どもが高校生に相当する18歳になった最初の3月末まで医療費助成の対象となるよう、医療費助成の認定基準となる所得制限の撤廃を行ったところですが、一人あたり15回を最大とする妊産婦健診に加えて、令和6年4月より、市内のすべての妊産婦が妊産婦医療費助成の対象となるよう、医療費助成の認定基準となる所得制限を撤廃し、妊産婦及びその配偶者の経済的負担の軽減に向け、さらなる拡充を行ってまいります。

不妊治療の支援については、子どもを産み育てたいという方が、不妊治療を受けやすい環境づくりを推進するため、不妊治療を行った方に対し助成を行ってまいります。助成の対象となる治療及び検査については、令和4年4月から医療保険の適用となった体外受精や顕微授精、それらと併せて行われる男性不妊治療といった生殖補助医療及びタイミング法や人工授精といった一般不妊治療のほか、生殖補助医療に追加的に実施される良質な精子を選択して顕微授精を行うIMSI(イムジー)やPICSI(ピクシー)などの先進医療といった医師が必要と判断した保険適用とならない治療についても助成の対象とし、多くの不妊治療に対し支援を行うことで、治療を望まれる方の経済的な負担の軽減に努めてまいります。

待機児童対策については、主に年度途中に発生する待機児童の発生要因となっている保育士不足の解消に向け、市内私立保育施設の保育士等に対する再就職支援金貸付などの支援事業の継続実施や、保育士等就職支援サイト「保育のおしごとナビ」の内容の充実を図っていくほか、令和6年度は、保育士等への家賃補助額の引き上げや、年度当初からあらかじめ配置基準を超えて保育士を雇用する施設に対する人件費支援の拡充などを行ってまいります。

市内の学校法人や社会福祉法人が運営する幼児教育・保育施設については、老朽化等に伴う施設改修に併せて、新たに認定こども園に移行する計画があることから、国の補助制度を活用しながら、法人が行う施設整備の費用に対し財政支援を行ってまいります。

学童クラブについては、ひとり親世帯や多子世帯等を対象に学童保育料の軽減策に取り組んでまいりましたが、ひとり親世帯できょうだい同時入所の第2子以降の保育料を無償化し、学童クラブ利用世帯のさらなる負担軽減に取り組んでまいります。

市では、国の保育料無償化の対象とならない子育て世帯の経済的負担軽減策として、3歳児未満の児童の保育料の一定額引下げや、令和5年度より県の補助制度を活用しながら3歳児未満で第2子以降となる児童の保育料の無償化、在宅育児世帯への支援を行ってきたほか、3歳児以上の児童を対象に保育施設利用世帯から徴収している副食費のうち、第3子以降の児童に要する副食費の全額を支援してまいりました。

このうち、3歳児以上の児童を対象に実施している副食費支援については、無償化対象を第2子まで拡充するほか、第1子につきましても、食材費の価格高騰分については、市が負担することとし、保護者負担の軽減を図ります。

また、補助金の支給方法を、償還払い方式から現物給付方式に変更し、保護者の利便性の向上を図ってまいります。

学校給食についても、食材費の価格高騰分については市が負担し、学校給食費を据え置くことにより、保育園等副食費支援と同様に保護者負担の軽減を図ります。

返還免除型奨学金「はなまき夢応援奨学金」については、令和3年度から日本学生支援機構給付奨学金採択者も対象者とし、同奨学金との併用を可能としたところでありますが、同奨学金を使わない場合でも同奨学金において適用される成績要件を設けることなく収入要件を満たす対象者は、はなまき夢応援奨学金も申請できることとするとともに、貸与額を増額するなど制度の充実を図ります。

また、これまで市内の大学を卒業した方を対象とし、大学卒業後に市内に居住している方の花巻市奨学金の返還額の半額を、収入の状況にかかわらず補助する「ふるさと奨学生定着事業補助金」については、市外に所在する大学等を卒業した方もすべて対象とする改正を行い、市の貸与型奨学金制度を利用していた方が、市内に居住し返還を開始する場合に補助金を申請できるようにします。

さらに、市の奨学金制度を利用し、市内認可保育所等で勤務する方、介護福祉士等の資格を取得し市内介護サービス事業所等に勤務する方に対し、引き続き奨学金返還を支援するとともに、市内の私立認可保育施設または私立保育園に勤務する保育士等や市内産科医療機関に就職した産科医師、助産師、看護師に対し、市の奨学金のほか、日本学生支援機構の奨学金をはじめとした各種の奨学金返還を支援してまいります。

花巻で暮らそうプロジェクト

「花巻で暮らそうプロジェクト」でありますが、本市への移住定住相談件数は令和3年度573件、令和4年度670件、令和5年度は令和5年12月末までで536件と増加傾向にあることから、首都圏等での移住フェアへの出展や、移住コーディネーターによる情報発信に努めるとともに、移住支援相談員と地域団体との連携を深め、移住定住相談体制の充実を図ります。

近年の当市における人口の社会増減の状況については、こども・子育て世帯等への移住定住支援策の効果が一定程度あったものと捉えておりますことから、これまで、県外から転入した子育て世帯が市内に住宅を取得した場合などにリフォームに要した経費等を対象として最大200万円を補助していた「定住促進住宅取得等補助金」について、令和6年度より、2人目以降の子ども一人につき補助上限額を10万円拡大します。

また、子育て世帯等が親等と同居・近居するため住宅を取得する場合などに、最大50万円を支給する「子育て世帯住宅取得奨励金」についても、令和6年度より、2人目以降の子ども一人につき10万円の加算を行うなど、子育て世帯に対する支援の拡充に努めてまいります。

加えて、39歳以下の若者世代または県外からの移住者が空き家を取得した際に30万円を支給し、その上で取得した空き家をリフォームした場合に、若者世代には最大40万円を、子育て世帯の場合にはさらに20万円を加算し支給する「若者世代等空き家取得奨励金等」などにも、継続して取り組んでまいります。

UIJターン者就業奨励金制度を本市独自に実施しているところですが、令和6年度、国においても東京圏の大学生のUIJターンを促進するため、地方の企業において実施される就職活動に参加するための交通費への支援制度を創設すると伺っていることから、当該制度の動向を注視し、UIJターン者の増加及び市内事業所への就業に取り組んでまいります。

結婚する方の数が減っていることを踏まえて、市と関係団体が連携し、市民と県内外の方が参加可能な広域的な婚活イベントを開催するとともに、結婚新生活支援事業補助金による婚姻時における住宅費用や引っ越し費用などの支援について、夫婦いずれも39歳以下の場合については上限30万円、夫婦いずれも29歳以下の場合については、上限60万円の支援を行っておりますが、夫婦いずれも29歳以下の場合についてはさらに10万円を加算し支援の拡充を図ってまいります。

また、シビックプライドの醸成を主な目的として、「若者と街をつなぐシティプロモーション」を現在実施しており、今後も若者活躍の支援として、各種のまちづくり活動に取り組む高校生・大学生の活動に対する支援を引き続き行ってまいります。

若者や子育て世代にとって魅力あるまちなかとなるよう空き物件や公共空間を活用するリノベーションまちづくりについては、令和5年度より開始した社会実験を継続し、花巻中央広場を中心とした公共空間を使いやすく多様な使い方が生まれるよう支援し、さらに新たなまちづくりの担い手を発掘し支援してまいります。

現在、工事を進めております(仮称)花南産業団地の中央部、約13ヘクタールにつきましては、現時点では、令和7年度上半期の完工を見込んでおりますが、一部の区画につきましては、令和6年度秋の分譲開始を視野に取り組んでまいります。また、残る約20ヘクタールのうち、南側の約9ヘクタールにつきましては、本格的な整備を見据え、用地買収や移転補償を岩手県土地開発公社のご協力をいただきながら進めてまいりますほか、残る北側約11ヘクタールにつきましても分譲状況や企業側からの引き合いに応じ、各種設計や調査などに着手できるよう準備を進めてまいります。

花巻管内の有効求人倍率は、令和5年12月末時点で1.68倍と高い水準にあり、深刻な人手不足が続いておりますことから、令和4年度より開催している市内企業の経営者または人事担当者向けのセミナーにより、採用活動に関する最近の動向や企業の魅力の伝え方のノウハウ普及を図ることで、市内企業の採用力向上が図られるよう引き続き支援を行ってまいります。

令和4年度に開設した「花巻市企業検索サイト」を活用し、企業と高校生や求職者をつなぐ場を確保し、市内企業の人材確保を支援してまいります。

大型案件の進捗

JR花巻駅橋上化・東西自由通路整備については、現在作業中の基本設計が本年7月に完了予定となっております。基本設計の結果を踏まえ、実施設計についての協定をJR東日本と締結し、事業を進めてまいります。

また、自由通路整備に伴う西口駅前広場整備については、具体的な整備内容を検討するため、基本設計を実施してまいります。

新花巻図書館の建設候補地については、JR花巻駅前と総合花巻病院跡地の2カ所に絞られてきており、この建設候補地2カ所について、それぞれ建設した場合の事業費や建設イメージを比較できる資料を作成し、建設場所についての市民の意見を集約してまいります。

令和6年度のその他主要施策

市民の生活を守る

令和6年度のその他主要施策でございますが、市民の生活を守るとの観点から、JR釜石線の存続に向け、本市を含む釜石市、遠野市、住田町の3市1町の沿線自治体で構成する沿線自治体首長会議を中心に、岩手県の補助制度を活用しつつ、地域住民のマイレール意識の醸成や、同路線の魅力発信などの事業に取り組むとともに、本市単独で令和5年度内に実施する乗降調査や住民意識調査の調査結果を参考に、利用促進策の検討を行ってまいります。

公共交通の維持・確保については、今後も、1市3町の中心地を結ぶ基幹バス路線の維持を図るため、令和6年3月末で廃線となる岩手県交通「土沢線」の代替交通として市がコミュニティバスを令和6年4月1日から運行し、地域間の交通手段の確保に努めてまいります。

また、路線バスが維持されている地域においても、公共交通の利用が不便な交通空白地域が点在している地域においては、令和6年10月をめどに、予約乗合バスの運行を開始するなど、地域内交通の確保に努めてまいります。

交通手段をもたない高齢者や障がい者の方々の通院や買い物を支援するため、タクシー券の給付を継続するとともに、医療機関までの通院に対する、その場合のタクシー助成金の限度額を医療機関までの距離に応じて3万円まで引き上げます。

農作物の食害やそれに伴う農業者の意欲の減退を防ぐため、有害鳥獣捕獲に対する補助金への市単独での嵩上げ補助や狩猟免許取得経費、電気柵設置経費への支援を引き続き実施するほか、ツキノワグマ出没の対策として、鳥獣被害対策実施隊の増員やAI搭載クラウドに対応したカメラの活用など新たな施策の展開により、ツキノワグマによる被害防止に努めるとともに、児童生徒の通学時・下校時の安全を確保するための臨時的な送迎について必要に応じ対応してまいります。

農業者に対する支援については、ロシアによるウクライナ侵略や円安等により影響を受けた農業生産資材や飼料の価格は依然として高止まりが続くなか、肥料は世界的に値下がりしているとの報道もありますが、水稲や園芸作物の肥料高騰対策を、令和6年度については継続実施するとともに、厳しい状況下での経営が続いている畜産農家に対し、飼料購入に対する支援に加え、低迷が続く牛枝肉価格や乳用子牛等の市場価格の影響緩和に向けた支援を行いながら、市内の畜産農家の経営継続につながるよう取り組んでまいります。

しごと

第213回通常国会におきまして、農林水産関係法案として、「食料・農業・農村基本法」の改正法案など6つの法案が提出されますが、その中に「食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案」が含まれております。この法律案には、食料及び農業をめぐる諸情勢の変化に鑑み、国民に対する食料の安定供給を確保するため、国及び都道府県において確保すべき農用地の面積の目標の達成に向けた措置の強化が掲げられているところであります。

本年1月に東京で開催されました全国市長会経済委員会の席上、私から直接「都道府県が確保すべき農用地の面積目標については、それぞれの地方自治体の実情に合わせた都道府県及び市町村の裁量を認めるべきであり、国が地方に一律に適用される同意基準を定めることは、現実的ではない」、「農地の開発規制の強化ではなく、中山間地域等における耕作放棄地・不作付地等の減少対策や農地を耕作する担い手の確保・育成、また所得の確保を重視すべきである」、「農林水産省だけでなく国全体で土地の使い方を考えるような仕組みを考えるべきである」そのような発言を行い、全国市長会においてそのような意見が採択され、国に伝えられたところであります。また、岩手県市長会においても、この意見を岩手県市長会の名前で、県選出国会議員、あるいは農業を専門とする国会議員に伝えたところであります。

このほか、水田活用の直接支払交付金の交付対象水田の要件の厳格化に対し、栽培作物により水張り要件を柔軟に対応すること、水張りができず畑地とせざるを得ない畑地について、畑地化促進事業により水田を恒常的に畑地化した場合、6年目以降も国の支援を継続すること、さらに、畑地化により水田が減少した場合、減少した面積に応じて土地改良区の賦課金が減少する分について新たな支援を行うことを国に求めてまいりました。

意欲ある農業者の所得向上につながるスマート農業技術を含めた新技術の導入及び生産機械や施設整備による規模拡大への取組のほか、ぶどう農家への支援をはじめとした中山間地域等条件不利地における生産活動を支援してまいります。

森林林業については、平成31年度に創設された森林環境譲与税を財源として行う、スマート林業の構築や地域の里山整備への支援などを通じて、森林林業の再生に向けた取組を進めるとともに、新たな事業の実施により、合板材の素材や、バイオマス発電の燃料としての木材供給などに対し、林業関係団体や山林を所有する個人が参入しやすい環境の創出に取り組んでまいります。

令和5年の観光客入込数は、花巻まつりなどの多くのイベントが通常開催となるなど、国内外の観光需要が増加し、コロナ禍前の令和元年と比較し、およそ93パーセントとなる約198万人まで回復してきております。

令和6年度は、観光客入込数の増加を図るばかりではなく、コロナ禍を経て変化している観光客のニーズを的確に捉えた、受入体制整備や観光情報発信などを実施し、市内の観光消費額の向上に努めてまいります。

国内の観光客でございますけれども、65歳以上の人口が減少に転じている、あるいは、若い人たちが減っているということを考えますと、今後、国内の観光客が増える見込みは少ない、むしろ減っていくのではないかということを踏まえると、外国人観光客の誘致が大変重要になってまいります。

市では、東北観光推進機構主催の台湾における東北プロモーションに令和5年12月に参加いたしましたが、それによって、これまで外国人観光客の入込が花巻温泉と比べ少なかった花巻南温泉峡のホテルや旅館の事業者にもプロモーションに参加いただき、台湾のエージェントとのつながりができたということで、観光客招聘につながっているとお聞きしております。本年5月には、同じく訪日需要が高まっているタイにおいて、東北観光推進機構が開催するプロモーションに、市としても参加する予定としております。

暮らし

次に暮らしでございますが、市道整備については、「寺林線」、「城内・大通り一丁目線」等の幹線道路の整備を促進するとともに、橋梁の点検及び補修を行うほか、「上町・成田線」等の歩道設置を進めてまいります。

テレビ難視聴対策については、多くのテレビ共同受信施設組合において、施設の維持・更新や、解体撤去に係る費用の確保に課題が生じていることから、組合が行うテレビ共同受信施設の解体撤去などに対し、市が一定の財政支援を行う補助制度を新たに創設するとともに、今後の施設維持・更新に係る市の支援の方向性につきましては、国の支援や考え方の動向や最近非常に大きく改善されているインターネットを利用したテレビ視聴などの技術の進展を注視しつつ、組合の皆さまのご意見を伺いながら、引き続き検討してまいります。

健康・いのち

健康・いのちについて申し上げますと、災害から身を守るためには、自分や家族で助け合う「自助」とともに、人口減少、少子高齢化の中でも、逃げ遅れゼロの避難行動を実現するため、住民同士が助け合う「共助」の力が重要となります。

このため、市は、地域防災力を支える自主防災組織への支援を継続するほか、これまで取り組んできた地域防災のリーダーとなり得る防災士の養成に加え、防災士間での連携や学習の場となるネットワーク作りを支援してまいります。また、市の「公助」の取り組みとして、避難所等の環境整備や飲料水・食料等の備蓄に引き続き努めてまいります。

新型コロナワクチン接種については、国において、現在の特例臨時接種は本年3月31日をもって終了し、4月以降は高齢者インフルエンザワクチン接種と同様に、65歳以上の方及び60歳から64歳の重症化リスクの高い方を対象に年1回、秋冬に定期接種として実施されるとの考え方が示されました。最終的な接種方針は費用負担の在り方を含め、さらなる議論を経て正式決定されるとのことですから、引き続き国の動向を注視してまいります。

現在任意接種となっている予防接種のうち、1歳児及び小学校就学前の年長児を対象とした「おたふくかぜ」と、50歳以上の方を対象とした「帯状疱疹」の予防接種については、国では、定期予防接種化の必要性を検討している段階でありますが、接種費用の負担軽減を図り、市民の皆様の感染及び重症化を予防するために、令和6年度当初予算を計上し実施してまいります。

定年が65歳に引き上げられたことに伴い、現在の消防職員の定数では、今後数年間新規採用ができなくなりますことから、消防職員の定数を引き上げ新規採用を継続します。

消防団については、入団促進活動を積極的に行うとともに、活動服を一斉に更新するなどの活動しやすい環境づくりを推進し、消防団組織体制の一層の充実・強化を図ってまいります。

子育て・人づくり

子育て・人づくりでありますが、矢沢地区における義務教育学校の設置については、現在、保護者や地域、学校と協力して策定を進めている基本構想の考えに基づいた、施設の設計業務に着手するとともに、設立委員会を中心に、引き続き保護者や地域と連携して開校に向けた整備を進めてまいります。

桜台小学校長寿命化改良工事については、令和6年度の事業完了に向けて引き続き取り組んでまいりますほか、熱中症対策のため、市内小・中学校の特別教室へのエアコン設置について、年次計画を作成し順次整備してまいります。

生涯学習については、オンラインによる生涯学習事業の取組や、子育てをはじめとした家庭教育に対する関心を高める事業を開催するなど、若者にも対応する生涯学習講座の企画に取り組みます。

市内在住の日本国籍以外の外国人住民の方が増加傾向にあることから、多文化共生社会の実現に向けて、そのような方に対するコミュニケーション支援や生活支援を引き続き行うとともに、多文化共生の意識、これを高めるよう努めてまいります。

スポーツ振興については、本年11月7日に本市において、第60回東北高等学校駅伝競走大会及び第35回東北高等学校女子駅伝競走大会が開催されることとなっております。引き続き地域スポーツ及び競技スポーツの推進を図るとともに、大規模スポーツ大会誘致等にも取り組んでまいります。

地域づくり

地域づくりでありますが、パートナーシップ宣誓制度については、国では、令和5年6月に性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律が制定、施行され、県内自治体でも制度の導入や導入に向けた検討の動きが出てきております。

当市においては、国や県内自治体の動向を注視しつつ、条例による制度の導入に向けた検討を進めており、同性に限らず異性間の事実婚を含むパートナーシップ及びパートナーの家族との関係性を証明するファミリーシップも含めたいと考えております。

制度を条例で定めている自治体は、東北にはないことから、県外の先例地の視察を進めるとともに、現在条例案を策定中であり、本年中の条例制定を目指してまいります。

行政経営

行政経営でありますが、行政情報の発信については、引き続き「広報はなまき」や市ホームページを中心に、SNSも活用しながら、より効果的で分かりやすい情報発信に努めてまいります。また、これらの情報発信手段に加えて、市ホームページ内にAI技術を活用して24時間利用者の質問に対応するAIチャットボットを導入するほか、市公式LINEを開設し、利用者の個々のニーズに応じた情報を、利用者に直接的に通知するプッシュ型の情報発信を行ってまいります。

自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)の取組については、本市におけるDX推進の全体方針となる「花巻市デジタルトランスフォーメーション(DX)推進計画」に基づき、従来、市役所の窓口で、紙で行われていた行政手続、申請を含めてそのような手続きを、マイナンバーカード等を用いて自宅等に居ながらオンラインで完結できる行政手続オンライン化の取組をより一層推進し、市民の利便性の向上を図ってまいります。

また、庁内業務の効率化の観点から、その機能の有用性が高く評価されている生成AIについて、セキュリティリスクを踏まえた対策を講じた上で、日々の業務に活用し、さらなる業務効率化を図ってまいります。

イーハトーブ花巻応援寄附金推進事業については、花巻の魅力ある返礼品を出品してくださっている返礼品事業者の皆様、花巻市を応援してくださる全国の寄附者の皆様に心から感謝を申し上げますとともに、頂戴したご寄附は、ご指定頂いた寄附の使途に沿って、花巻市のまちづくりへ広く活用させていただいております。今後もそのように致します。

結びに

結びとなりますが、令和5年度は、菊池雄星投手や大谷翔平選手をはじめとする本市ゆかりのスポーツ選手の世界での活躍や、市内の小・中学生や高校生、大学生の全国大会での活躍など、若い力に勇気や感動を与えていただきました。

そのなかで、菊池雄星投手には、次の世代が夢をかなえることを願い、本市に全天候型複合野球施設の建設を進めていただいております。このことに感謝申し上げたいと思います。

これからも、スポーツに限らずさまざまな場面で若い力が活躍することを期待するとともに、市としても応援してまいるところであります。

市内にお住いの市民の方々、老若男女を問わず、その方々の命と生活を守るとともに、若者が住みたい・住み続けたいと思う魅力と誇り、愛着の持てるまちづくり、そのことによって、若い世代が花巻に住む、それを選んでいただく、そのことを進めるとともに、市民の老若男女を問わず、市民の主体的なまちづくりへの参画を期待するとともに、関係団体の皆様、そして市議会の皆様とともにまちづくりを進めてまいりますので、皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

担当

総合政策部 秘書政策課 企画調整係

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