市長対談記事が岩手日報に掲載されました
市長が岩手日報社から3期目の重点施策についてインタビューを受けました
2022年1月に行われた市長選の結果により、3期目を務めることとなった上田市長が、岩手日報社から市の重点施策についてインタビューを受け、その記事が3月27日の岩手日報朝刊に掲載されましたので、お知らせいたします。
記事は、上田市長が3期目の市重点施策に掲げる新型コロナウイルス感染症対策や市街地活性化対策などの6つの重点施策について説明している内容となっております。
(本記事は、岩手日報社より承諾を得て掲載しています)
「いのちと暮らし守る」施策を推進~コロナ対策、市街地活性化へ力~
宮沢賢治や東北有数の温泉地など、歴史文化や観光資源に恵まれた花巻市。新型コロナウイルス感染症が観光業や市民生活に影響を及ぼす中、1月に行われた市長選で、上田東一氏が3選を果たしました。市民の暮らしを守りながら、未来につなぐまちづくりをどう進めるのか。上田市長に3期目の重点施策を伺いました。
(聞き手は川村公司岩手日報社常務取締役広告事業局長)
-3選おめでとうございます。これまでの実績をもとにどのような姿勢で市政運営に臨みますか。
「市民のいのち、暮らしを守る」施策として、新型コロナウイルス感染症対策、地域医療の確保と子育て支援、移住・定住促進や市街地活性化、産業団地整備、農業を守る施策に引き続き取り組んでいきます。
そのための財源ですが、市長に就任した2013年度末は、財政調整基金が64億8千万円、まちづくり基金は24億4千万円で合わせて89億円ほどでしたが、20年度末は財政調整基金71億1千万円、まちづくり基金58億円で合計約129億円に増えています。ふるさと納税が好調なこともあって、21年度末時点でさらに数億円がプラスされる見通しであり、その点、市の財政状況はよくなっています。22年度当初予算は市長選のために骨格予算となりましたが、これから新規事業を行うための補正予算を組んでいくことになります。
特にコロナ対策は、医療関係者のご尽力もあり、県内でも素早くワクチン接種対応ができました。また、困窮世帯への支援策、キャッシュレスQRコード決済サービス「PayPay(ペイペイ)」を使った事業者応援施策、温泉事業者への支援もうまくいっています。22年度は市民生活や産業を守るために、使うべきところには使うべき時だと考えています。
また、地域医療体制については、総合花巻病院移転の際、岩手医科大学附属病院や県立中部病院との機能分担を進めることができました。県立中部病院に加えて、市内の産科医師も確保することが決まり、今後さらに増やすための協議を進めています。
市街地活性化の核となる新花巻図書館建設やJR花巻駅の東西自由通路(橋上化)の整備問題についても、市民に案をお示ししながら決めていきたいと考えています。
感染対策
-具体的な施策について伺います。新型コロナウイルス感染症が市民生活に大きな影響を及ぼしています。感染対策と社会経済の両立をどのように図っていきますか。
感染対策と社会経済の両立は、簡単に方向性を示すことは難しいと思います。なぜなら変異株がどんどん出ている中で、毒性の強さが分からない部分があります。その時の感染状況、ウイルスの毒性の強弱で対策を変えていかなければいけません。
ワクチン接種は市独自の優先枠を寮生活している学生や学校の先生方、障がい者施設、保育園など、クラスターが発生しやすいところへ案内しています。また、市の施設を開いたり閉じたりして、利用を制限しています。ただし、温泉施設に助成しているときに観光施設を閉じるのは整合性がとれませんので、そうした点は注意しています。感染対策と経済対策のどっちをとるということではなく、感染状況を見ながら対策の強弱をコントロールしていくことが重要です。
市街地活性化
-新花巻図書館とJR花巻駅東西自由通路の整備構想に対し、市民の間には多くの意見があります。どのように理解を得ていくお考えですか。
新花巻図書館の整備に関しては、私が市長になる以前の12年に市民の方々で検討し、市に提言した経緯があります。建設場所については、市民参画手続きを取り17年8月制定された「新花巻図書館整備基本構想」で、まなび学園周辺やJR花巻駅東口のJR所有地などを含む市の都市機能誘導区域内に建設するとの方針が示されました。市としては駅東口の土地を借りて建設する構想を発表しましたが、現時点で借地に建設するとの考えはありません。現在、市民の方々をメンバーに含む「新花巻図書館整備基本計画試案検討会議」で図書館の在り方について話し合っています。ここで建設場所について方向性がまとまれば、それをもとに市民の意見の集約化を図りたいと思います。まとまらない場合は、場所を選定する新たな組織で考えていきます。いずれ場所の問題は市民の意見集約が大事であると思っています。
JR花巻駅の東西自由通路については、旧花巻市時代から駅西側の住民から西口改札をつくってほしいという要望があり、10年には実質的に橋上化の要望があったところです。
現在、JR東日本に建設コストを下げた複数の案を提示してほしいとお願いしています。市で西口広場の整備方針も検討しています。それらが出た段階で、再び市民の意見を聞きたいと思います。
駅を利用しない方も、利便性が上がることに対する反対意見はないと感じています。結局のところ費用対効果が十分なのかという疑問や、自由通路をつくることで他の事業ができなくなるという心配があるのだと思います。
駅の橋上化・自由通路の整備は、費用のほぼ半額について国の財政支援があることが前提になりますし、残りの費用も国の交付税による支援が見込まれる市債を活用します。大きな財政負担を負うものではないことを丁寧に説明していく必要があります。
産業振興
-市の産業団地整備や企業誘致の方策をお聞かせください。
市では、旧市の時代から市が独自の産業団地を整備したことがありませんでした。平野部のほとんどが農業振興地域の農用地区域に指定されているため、企業の具体的な整備計画がない段階で市が産業団地を整備することができない事情がありました。二枚橋地内で同区域に指定されていない約4ヘクタールの土地を整備し、20年に分譲したのが初の事例です。新たな企業立地のお話しはありますが、市内の工業団地、流通団地は商談中の区画を除くと、企業に紹介できる区画がない状況です。
そこで、東北自動車道花巻パーキングエリア(PA)に整備中のスマートインターチェンジ(IC)に近い約33ヘクタールの土地について、これまで所有者などへの説明会、基本計画・設計、埋蔵文化財試掘調査を実施しており、そのうち約12ヘクタールについて、数年後に分譲できる状態にしたいと考えています。
移住・定住
-市長は1期目から移住・定住対策や子育て支援に力を注いできました。今後はどのように発展させ、人口や活力の維持につなげていきますか。
移住・定住対策はやるべきことはやってきたと思っています。特に空き家バンクの活用が非常にうまくいっています。市長になってから151件が活用されており、21年度だけでも20件に上りました。県外からの空き家バンク利用者や市外からの新規就農者、また子育て世帯の住宅取得に対する補助など、各種補助金が非常によく利用されていますので、継続していきます。
そして今活用しているのは、「民間宅地開発支援事業補助金」と「空き家等解体活用補助金」です。大型の宅地開発は困難ですので、3千平方メートル未満の宅地開発を行う業者を支援し、無理なく優良な宅地開発を行ってもらう狙いがあります。空き家等を壊して新築する場合には、40万円(居住誘導区域等は100万円)を上限に支援する施策も行っています。
住民基本台帳ベースで見ると、ここ3年間で30~50代と14歳以下の人口が増えています。つまり、家族で花巻市に来ているということです。もっと若い人たちに花巻の街中で遊びたい、住みたいと思ってもらうことが必要です。市街地は活気がないと言われていますが、諦めるわけにはいきません。JR花巻駅の橋上化や図書館整備も含めて、街中の活性化を図っていきます。
観光
-花巻市は東北有数の温泉地です。新型コロナの感染対策を講じながらどのような振興策を掲げ、観光客を呼び込むお考えですか。
今大事なことは、温泉旅館やホテルなどに事業を継続していただくことです。そのための施策を続けていきます。その上で、新しい観光ルートの開発が必要です。三陸道が全線開通したので、三陸地域と一緒にPRしていく必要があります。また、インバウンド(訪日外国人客)誘客も大切です。人口減少に伴い、日本人旅行者が今後減少する状況にあり、国内旅行だけに頼った観光では今後難しくなってくるでしょう。海外のお客さんを呼ぶための施策を今からやっていく必要があります。
医療
-医療機関の集約化が進む中で、市民が必要な医療を受けるためにどのような支援を実施していきますか。
病院の集約化と機能分担が進むのは、そうならざるを得ない事情があります。医療の高度化の進展と、医師の働き方改革が進むためです。
地域医療体制については、岩手医科大学附属病院、県立中部病院、総合花巻病院などの機能分担が大事ですが、その上で、医療施設への交通利便性が重要です。
市では矢巾町の岩手医科大学附属病院との連絡バスを運行しています。また、県立中部病院への道路として、北上市道飯豊北線を整備いただき、国道4号の4車線化やスマートICの整備を進めています。そして、妊産婦や高齢者にタクシー代の補助を行っていますし、高齢者等のスクールバスへの混乗、予約乗り合いバス、介護保険の総合事業を活用した地域住民の受診等への付き添い支援など、病院に行きやすくすることで、市民の健康を守っていきます。
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