【令和5年1月6日掲載】空中浮遊ディスプレイ(株式会社ツガワ)
コロナ禍で注目の非接触型空中浮遊ディスプレイ
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、「非接触・非対面」への対応が社会的に求められるようになってきました。そのような社会的なニーズをとらえて、非接触型の空中浮遊ディスプレイを新規開発したのが、花巻市をはじめ岩手県内に工場を構える「株式会社ツガワ」です。
「ツガワ」ってどんな会社なの?
株式会社ツガワは、金融・流通端末、画像処理機・医療機器、エンターテインメント機器、交通インフラ関連機器、住宅設備などの多種多様な製品を、お客様とともに開発から設計、部品調達、製造、物流までワンストップで行う企業です。誰もが一度は目にし、使用したことがある機械もツガワのロゴや名前は出ていませんが、実はツガワで製造していたというものが数多く存在しています。
昭和28年(1953年)に神奈川県川崎市で板金加工業として創業した同社は、昭和59年(1984年)に北上市に北上工場を建設し、精密プレスから板金加工、塗装処理、完成組立までの一貫した生産ラインを確立しました。その後、平成5年(1993年)に二戸工場を建設したほか、平成6年(1994年)には有限会社岩手中央運輸と資本提携し物流システムの強化に取り組むなど、岩手県内での製造・物流体制を着実に構築していきます。
その後、平成18年(2006年)にMS開発事業部花巻工場を、平成20年(2008年)には花巻工場内にコーティングセンターを竣工し、大型製品の一括塗装・精密溶接にも対応できるようになりました。同社では、自動化設備を駆使する熟練の職人の手により、花巻工場を主力工場として高品質な製品を世に送り出してきました。
空中浮遊ディスプレイって何?
ツガワではこれまで、EMS(電子機器受託生産)やOEM(受注生産)を中心として、「ツガワ」の名前が出ないながらも数多くの製品を世に送り出してきました。令和2年(2020年)から世界的に流行した新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、感染対策として「非接触・非対面」が急速に求められるようになったことから、自社製品の開発がスタートします。
技術統括部チーフマネージャーの山口剛さんに、空中浮遊ディスプレイの開発秘話などについて伺いました。
「空中浮遊ディスプレイは、「非接触・非対面」が求められたコロナ禍の社会ニーズに対応するために自社開発した製品です。技術自体はコロナ禍以前から他社で保有している技術を転用し、開発に取り組みました。当社の空中浮遊ディスプレイは操作画面を空中に表示させ、モーションセンサーで手を検知することにより、ストレスのないタッチレス操作を実現しています。視認性や操作性は人によって異なることから、誰もが見やすく使いやすいという部分の追及に苦労しました。まだ課題はありますが、満足のいく製品ができたと思います。
空中浮遊ディスプレイは、花巻工場をはじめとする岩手県内の工場で製造しています。現在はサービスカウンター業務や飲食店等でのオーダー、セルフレジやキャッシュレス決済用として、幅広い業種の事業者さまにメイドイン岩手・花巻の製品をPRさせていただいております。」
ツガワでは令和2年(2020年)にキャッシュレス決済対応タイプの空中浮遊ディスプレイを開発したことをきっかけに毎年アップデートを重ね、翌年にはテーブルタイプ、今年はより小型化した汎用タイプの空中浮遊ディスプレイを世に送り出しました。いずれのタイプも開発期間は3~4か月ほどと短く、同社の技術の高さをうかがい知ることができます。
開発者の山口さんからは、「弊社で開発した空中浮遊ディスプレイは物理的に触るということがないため、不特定多数の方がお越しになる場所での使用に効果を発揮します。操作精度が非常に高く、初めて利用する方でも狙ったボタンを押しやすいこと、真正面に立った人以外からはほとんど見えず、個人情報の保護に一役買うことができることが強みです。内蔵のソフトやデザインについては、要望に合わせてカスタム対応することも可能です。
製品は常にアップデートを繰り返すことで、あらゆるニーズにお応えしています。今後は飲食店やアミューズメント関係といった従来のお取引先のほか、公的機関や医療関係、自動車関係といった分野での活用も見込まれますね。」と、空中浮遊ディスプレイの機能や今後の展開について、詳しく教えていただきました。
なお、株式会社ツガワから花巻市に対して、令和3年度にこの空中浮遊ディスプレイを寄付していただき、クイズで遊ぶことができる端末として花巻市博物館で活用されています。
地元出身者の採用も多いツガワ
ツガワでは地元での採用に力を入れており、花巻出身の社員の方も数多く在籍しています。
花巻東高校から就職した千葉朋香さん、花巻北高校から青森公立大学に進学し、その後に就職した古舘紘さんにツガワを志望した理由などを伺いました。
「職場見学の際に、私たちが普段から目にしたり使用したりするような身近な製品を製造している企業が花巻にあるということに感動して、ツガワへの就職を決めました。入社4年目になりますが、現在は生産管理業務を担当しています。アミューズメント機器の組立や検査に必要な資料の作成、品質管理等が主な業務です。たくさんの人の手によって大きな製品が作られていますが、自分が携わった製品が実際に稼働しているところを見ると嬉しいですし、仕事のやりがいを感じます。」
「大学を卒業後は花巻に戻りたいと考えて、就職活動を始めました。就職活動の中で『花巻で全国を舞台に活躍できる企業はどこだろう』と探していたところ、大学のキャリアセンターでツガワを紹介していただきました。常に成長を続けている企業であり、実は誰もが知っている製品を製造している企業というところに惹かれて就職を決めました。現在は入社3年目で、品質管理業務を担当しています。不良品を出さないための監査や、万が一不良品が出てしまった際の処理が主な業務になります。クレームが来てしまったときは落ち込みますが、『どうすれば不具合が出ないか』を検討して不良品が減少したことが目に見えた成果となった時に、仕事のやりがいを感じます。」
千葉さんは普通科の高校、古舘さんは経済学科の大学を卒業と、実は二人とも工業系の学科を経験せずに製造業に就職しています。過去の自分や未来の後輩に「就職するにあたって伝えたいこと」や「今後頑張りたいこと」、「花巻の魅力」についても話を伺いました。
「工業高校出身ではない私が製造業に就職することに不安はありましたが、優しい先輩方のおかげで楽しく仕事をすることができています。工業系の知識があれば、もう少し早く先輩方のお役に立てたかなと思います。」と、千葉さんは勉強の大切さについて語ってくださいました。
「最近の花巻はカフェが増えてきて、休日の過ごし方が変わってきました。これまでも花巻に住み続けてきましたが、今後も若い人もお年寄りの方も過ごしやすい街になってほしいなと思います。仕事面では、いろいろな製品の製造に携わってみたいです。」
「大学生は就職活動を乗り越える必要がありますが、最初から業種を絞りすぎると視野が狭くなってしまうと感じました。業種にこだわらず、自分がやりたいことや興味がある分野の会社を根気強く探すことが、就職活動においては重要だと思います。経済学科の出身ではありますが、今後は工業系の知識を身に着け、様々な製品を生み出すことができる人材になりたいです。」と、古舘さんは意欲高く今後の意気込みについて語ってくださいました。
「花巻は温泉が近くにあってリフレッシュするには最適な環境だということです。車があればどこに行くにも便利なほか、日本海側や山間部の地域と比べて雪が少なくて過ごしやすいのも魅力的だと思います。」と、地元を離れたからこそ花巻の魅力を改めて感じることができたとのことです。
最後に
これまでの受注生産事業で培った開発・技術力を基に、コロナ禍においては社会のニーズに応え空中浮遊ディスプレイを自社開発するなど、自社商品の開発・製造への本格的な取り組みを通して、社会課題の解決にも取り組んでいる株式会社ツガワ。
令和5年(2023年)6月には創業70周年を迎え、ますますの飛躍が期待されるなか、今後もお客様のニーズに応える製品を生み出し続けます。
企業情報
株式会社ツガワ
住所:花巻市大畑第9地割92-4
電話番号:0198-26-1221
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