【令和3年7月7日掲載】東京2020オリンピック・パラリンピック ボランティア衣装(株式会社ファッション・ルシエ)

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ページ番号1014610  更新日 令和3年7月7日

東京2020オリンピック・パラリンピック ボランティア衣装(株式会社ファッション・ルシエ)

「東京2020オリンピック・パラリンピック」に「メイド・イン・花巻」の製品が?

まもなく開催が予定されている「東京2020オリンピック・パラリンピック」。花巻市内でも、6月18日(金曜)に聖火リレーが行われたほか、6月21日から7月19日にかけてボート競技日本代表の最終合宿が田瀬湖ボートコースで実施されるなど、開催に向けたカウントダウンが始まっています。

世界中から注目を集めている「東京2020オリンピック・パラリンピック」ですが、この大会の開催に大きく関わった「ファッション・ルシエ」という、花巻市内の企業をご存知でしょうか。

「ファッション・ルシエ」ってどんな会社なの?

約100年前、先々代が東京都で紳士服のボトムの製造を東京都で始めたのが、ファッション・ルシエとしての事業の始まりとなります。その後、高級婦人服に製造内容を変更し、株式会社として現在の事業形態をスタートさせましたが、その年がなんと「1963年」!前回の東京オリンピックの前年に創業したファッション・ルシエさんが、今回の東京オリンピックに関わるというのも、何かの縁なのかもしれません。その後、バブル景気の足音が聞こえ始めてくると首都圏では人件費が高騰し、縫製業界の地方移転が進みます。その流れに乗って、ファッション・ルシエさんも様々な縁があった花巻市に1979年(昭和54年)に工場を東京から移転し、現在に至ります。

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花巻へ移転した当初はジャケット、コートの厚物アイテムをメインとして製造していました。そんな中、時代の移り変わりや景気の変動、多種多様なファッションアイテムの登場に対応するため、「季節感のない比較的安定した生産が確保できるアイテム」を追い求めた結果、ワンピースなどのカラーフォーマルドレス製造というジャンルにたどり着きました。

これまではカラーフォーマルドレスを中心に製造していましたが、コロナ禍により結婚式やパーティー等の開催が激減し、ドレスの需要も落ち込むなど、アパレル業界も非常に厳しい状況です。縫製業は製品が変われば求められる技術や機材が異なるとのことですが、ファッション・ルシエさんは元々が厚物の縫製工場でもあったことから、人材や機材がすべてそろっているという利点を生かし、現在はシャツやブラウスを中心に、ジャージや下着類をのぞき、ほぼすべての製品を製造しています。

極薄のジョーゼット(注1)や、エスパンディ(注2)のように伸縮性のある生地、 厚手のジャガード地(注3)まで様々な素材に対応できるファッション・ルシエさんに持ち込まれる案件は、カラーや素材、デザインが複雑で繊細なものが多く、毎日異なる製品と向き合っているとのことです。日々努力と工夫を惜しまず、美しい製品を仕上げることを第一に掲げて、従業員の皆さんは一着に最大限の愛情をこめています。

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(注1)ジョーゼットは、ふんわりとした優しい手触りが魅力であり、シースルーを代表する織物として、世界的に使用されている織物です。特徴である軟らかさやドレープ性を生かしたスカーフやブラウス、ドレスのほか、最近のモードとしてはプリーツ加工を施した商品も流通しています。太い糸を使った織物は、スーツやパンツなどに使用されています。

(注2)エスパンディは、優れたストレッチ性とソフトな風合いが魅力であり、透明感のある生地が人気の織物です。特徴であるストレッチ性を生かしたシャツやブラウスのほか、透明感を生かしたワンピースなども、歩くとふわっとしたシルエットが出やすいので近年人気の素材です。

(注3)ジャガード地は、模様が立体的に見えるような織り方で作られた生地が魅力であり、立体感や高級感があるのが特徴で、カーテンやタオル、バッグなど、幅広いアイテムに使用されています。身近に使われているジャガード織りのひとつに、「ジャガードタオル」と呼ばれる柔らかな肌触りと吸水性に優れたタオルがあります。

「東京2020オリンピック・パラリンピック」とはどのような関わりがあるの?

ファッション・ルシエさんは、今回の「東京2020オリンピック・パラリンピック」の開催にあたって、表彰式でメダルを運ぶボランティアの衣装の縫製を手掛けました。衣装は「新しい礼服」をコンセプトとされ、男女同スタイルのジャケットに、ワンピースとパンツスタイルの2タイプが用意されています。日本の伝統色である藍色をベースとして「和の情緒」を表現しているだけではなく、近年問題となっている暑さへの対策を施すなど、ファッション性と機能性を両立させているのが特徴です。

この衣装の制作にあたっては、生地は埼玉県飯能市、縫製はファッション・ルシエさん、染めは東京都など、技術力の高さから選ばれた全国のモノづくり企業が携わりました。つまり、ファッション・ルシエさんは、「縫製の技術力が非常に高い」と認められ、世界的なイベントでの大抜擢に繋がったということです!「東京2020オリンピック・パラリンピック」での衣装のお披露目は、日本だけではなく、世界中に技術の高さを知ってもらう絶好の機会となります。(このページで衣装をお見せできないのが非常に残念です。興味がある方は、「東京オリンピック フィールドキャスト 衣装」で検索してみてください!」)

ファッション・ルシエの技術力

ファッション・ルシエさんが今回担当したのは、衣装の内側に着用するワンピースの縫製。仕様自体は基本的なものだったとのことですが、「基本的なものだからこそ、ごまかしは効きません。少しでも縫製がズレると偏りやシワが出てしまいます。だからこそ、ラインがきれいに出るように心掛けました。」と社長の藤原 和恵さんが語るワンピースは、これまでウエディングドレスやワンピースといった婦人服を専門に手掛けてきた同社の技術力が存分に発揮された、渾身の一着です。「衣装の製作自体に時間はそんなにかかりませんが、製作に至るまでの企画から含めると完成までに1年以上かかることもあります。」とのことですが、オリンピックの衣装も企画から完成まで8か月かかったそうです。

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高い技術力を有するファッション・ルシエさんですが、国内の有名ブランドや大手百貨店と連携した仕事や、世界的に有名なパリコレクションに参加したブランドの縫製、有名アニメの終焉記念コラボ企画ドレスの作成など、様々な分野から引っ張りだこ。まさに、花巻の誇る超売れっ子企業です。ファッションに興味のある方が惹かれるような有名ブランドの衣服や皆さんが何気なく手に取った衣服も、実はファッション・ルシエさんで製造したものだったということがあるかもしれません。

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工場を見学させていただくと、従業員の皆さんが1枚の布からありとあらゆるものを作り出しています。アイロンをかける工程では、長年の経験で幅を図らなくても同じ幅でどんどんと型がつけられていきます。洋服に付属するベルトやリボン、コサージュも全てが手作業で生み出すことが可能とのこと。

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「オールマイティーなデザインと素材全てに対応できる、量産型の工場では珍しい業務体系です。そのため、扱っている製品の多くが、デザイン性の高いものや繊細な素材のものになります。最近は複雑な工程が必要な製品が増えてきていて、縫製に関する幅広い技術や、生地の特性を理解した扱い方など、製造に必要な知識全てを必要になります。」とのことですので、従業員の皆さんの技術力が非常に高いのも納得です。「服飾系の専門学校・大学を卒業された方でも、1人で一着を完璧に仕上げることができるようになるまでに5年程度は必要になります。複雑化する製品に対応するため、最近は東京や京都の学校からもインターンシップを受け入れています。」と、ファッション・ルシエさんは全国的に見ても業界では有名な会社ということが分かります。

縫製工場ということもあり、数多くのミシンや布地が並んでいますが、非常に清潔で整頓された空間となっています。「女性の従業員が大半で、子育て世帯のお母さんが多いことから、学校行事などで遠慮せずに休むことができるよう、産休・育休などを含めて休暇を取りやすい職場づくりを心がけています。」とのことで、従業員の方に長く気持ちよく働いていただくため、ワーク・ライフ・バランスに配慮した職場になるよう考えられていました。

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衣装を生み出す仕事のやりがいとは

花巻市内の中学校から北上市内の高校へ進学し、高校卒業と同時にファッション・ルシエさんに就職した佐藤 桃子さんにお話を伺いました。

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「高校までは、家庭科の授業でミシンを少し扱ったことがある程度の経験しかありませんでした。元々、服飾系の仕事に興味があったので、就職活動の際にこの業界の求人を調べていたところ、ファッション・ルシエにたどり着きました。カジュアルな洋服を作りたかったことと、家から近かったことが就職の決め手です。」と語る佐藤さんですが、入社してすぐのころは技術の高さに驚いてばかりだったそうです。「毎日、高級なブランドの製品を扱っていて、本当に自分に作れるのかな?と思っていました。ですが、自分が作った製品が、誰もが知っている芸能人や超有名女性アーティストグループ、ニュース番組のアナウンサーに着用していただいているのをテレビや雑誌等で見かけたり、実際に仙台の百貨店等で販売されていたりするところを見ると、作って良かったなと実感します。また、友達が大好きなブランドの製品だったりすることもあるので、皆さんに喜んでもらえるものを作っているという嬉しさもあります」。

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この仕事をしていて良かったことを伺うと、「小さい子供がいるんですが、子供が使うバッグなどの小物入れを自作するときに役に立ちました」と笑顔で語る佐藤さん。「今はまだ子供が小さいので家に早く帰ったりしなければないですが、会社には産休・育休を取らせていただいたので、技術を磨いて会社の役に立ちたいです。」と、佐藤さんは今後もファッション・ルシエさんで働き続ける気持ちが強く、社長である藤原さんの想いが従業員の方にも十分に伝わっているようでした。

最後に

昨今では、様々なデザインや種類・価格の衣服が誰でも気軽に入手できるようになりましたが、縫製工場は海外への移転が進んでおり、日本の縫製の技術は伝統工芸になってしまうのではないか?と、一部で危惧されています。そんな中、ファッション・ルシエさんでは、業務の拡大に伴い徐々に雇用する人数を増やしています。「より高いレベルでの「モノづくり」に関する技術を身に付けたい方や、日本製の良さを正しく理解し絶やしたくないという気持ちの強い方、製造に愛着を持って真摯に取り組みたい方と一緒に仕事がしたい。」と語る藤原さんは後進の育成に余念がありません。

また、コロナ禍ではファッション・ルシエさんも仕事の受注が減少したとのことで、これまでの受注中心だけではなく、自社ブランドの立ち上げも計画しているとのこと。実際に、昨年には自社でマスクを製造・販売してみるなど、新たな事業にも積極的に取り組んでいるようです。「若い社員が入ってきていますので、若い感性の意見を取り入れながら、世の中の流行りを見極めつつ、自分たちが作りたいものを作っていきたい」と新たな事業展開を考えています。

「東京2020オリンピック・パラリンピック」の本番では500人以上が着用する衣装は、世界中が注目する大舞台で合計878回も着用される予定です。競技の結果ももちろん気になるところですが、日本の代表選手が表彰台に上った際は、メダルだけではなく「メイド・イン・花巻の衣装」に注目して見てみるのも、楽しみ方の1つとしてはいかがでしょうか。

会社概要

会社名:株式会社ファッション・ルシエ
住所:花巻市東町12番44号
電話:0198-22-4048

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