【令和4年4月4日掲載】豊富な品揃えの地酒・地ワイン(わかば酒店)

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ページ番号1016225  更新日 令和4年4月4日

豊富な品揃えを誇る老舗酒店

花巻の老舗酒店が移転オープン!

花巻市内が大雪に見舞われることが多かったこの冬、降雪が本格化し始めた2021年12月に、花巻の老舗酒店である「わかば酒店」が花巻市若葉町内に移転オープンしました。厳選した日本酒が取り揃えられていると以前より人気のお店でしたが、電気屋だった建物を改装して店内が広くなったほか、新たな冷蔵庫を導入したことで、これまで取り扱うことが難しかった日本酒の販売が可能になるなど、お酒好きの方をうならせる豊富な品揃えが自慢です。

コロナ禍でも新たな取り組みを行い、進化を続けている「わかば酒店」を取材させていただきました。

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わかば酒店ってどんなお店なの?

わかば酒店の創業は1971年(昭和46年)のこと。つまり、昨年は創業50周年のメモリアルイヤーでした。現代表である佐々木隆雄さんが創業したお店ですが、現在は息子の佐々木隆樹さんがお店を切り盛りしています。創業当初はビールを主力商品として、地域の飲食店への配達や花巻市内の消費者への販売を行い一定の顧客を獲得していましたが、スーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストア等の進出により、店舗での販売が大きく落ち込んでしまいます。

そこで、わかば酒店では2000年ごろから経営方針を転換し、地酒・地ワインを専門とするお店として再出発を図ります。「最近では専門店は珍しくないですが、2000年代の初めは蔵元と直接取引を行う酒屋は岩手県内ではほとんどありませんでした。岩手県内や東北地方の日本酒蔵元やワイナリーに足繁く通って、小規模・新興の蔵元のお酒を取り揃えています」と隆樹さんが語るように、わかば酒店の店内には岩手県内・東北地方をはじめとする、全国各地のこだわりのお酒が取り揃えられています。

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こだわりの品揃えのワイン。これでもごく一部です

新型コロナウイルス感染症の影響により、飲食店や観光施設を主要な販路とする蔵元も大きな打撃を受けています。巣ごもり需要により家飲みの需要は高まっているものの、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等に販路を持たない小規模・新興の蔵元には、巣ごもり需要の恩恵は少ないものとなっています。

一方で、移動が制限されたことで「マイクロツーリズム」の機運が盛り上がってきたことにより、「安(旅行費用が安い)・近(距離が近く)・短(旅行日程が短い)」という特徴を持つ自分たちの住む周辺地域に注目が集まっています。「花巻は南部杜氏の里として日本酒が有名な土地柄ではありますが、ワイン特区に認定されるなど、ワインにも脚光が当たりつつあります。地元・地方の良いお酒を地域の皆さんに知ってもらい、お酒を通してお米やぶどう、水、文化などの地域資源の素晴らしさを再発見していただきたいと思っています。小規模・新興の蔵元と交流を深め、作り手の皆さんと信頼関係を築いたことで他店では取扱いのない独占販売銘柄が多いこと、地道にお客様に商品の良さを伝えていったことで、徐々にお店の認知度が向上し、リピートしていただける方も増えていきました。」と、わかば酒店は個性的なお酒を扱うお店として、少しずつ着実にファンが増えてきました。

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花巻が誇る名ワインであるエーデルワインも数多く並びます

おいしいお酒を楽しんでもらうために

「地元・地方の良いお酒を地域の皆さんに知ってもらう」ために、わかば酒店では個性的なお酒を数多く取り揃えてきましたが、これまでの店舗では手狭になってきたこと、設備の老朽化に伴い品質管理が必要な繊細なお酒を取り扱うことが難しいといった「集客力」と「品揃え」に限界を迎えつつありました。おいしいお酒を販売するためには、品質管理が特に重要だと佐々木隆樹さんは教えてくださいました。

「日本酒は通常、『火入れ』という工程を経て店頭に並びます。これは、お酒の香り・味を安定させ、おいしい状態を保ったまま長期に保存できるようにするために行われます。現在の日本酒は二回火入れが主流ですが、当店では『搾りたて』または『一回火入れ』の生の風味を生かした日本酒を仕入れています。中でも、火入れの時の急激な温度変化でお酒の風味を壊さないよう、お酒を詰めた瓶を水を張った釜に並べて熱を加え、徐々に65度まで水温を上げていく『瓶燗火入れ』を採用した日本酒は非常に希少なもので、蔵元と直接取引をしないと流通することがない代物です。『搾りたて』や『一回火入れ』の日本酒は非常にデリケートなお酒のため、2度前後の温度帯で冷蔵するようにしています」とのことで、店内のショーケースには「生酒」というシールが張られた隆樹さん厳選の日本酒が数多く販売されています。

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品質管理の重要性を詳しく教えてくださる佐々木隆樹さん

わかば酒店では「集客力」と「品揃え」の課題を解決するため、移転による店舗の拡大、新たな冷凍・冷蔵庫を導入しました。「当店では新たに、日本酒の『氷温冷蔵』が可能な冷凍・冷蔵庫を導入しました。これは、日本酒が氷結しないマイナス5度からマイナス1度という超低温で保存することで、フレッシュな風味を保ちつつ、丸い口当たりを実現できる保存方法です。精白度が高く繊細でフルーティーなお酒ほど、低温での保存・熟成に適していて、味覚との調和が楽しめるお酒になります。」と、仕入れた日本酒をただ売るだけではなく、熟成を進めて付加価値を高めて売り出すという取り組みも行われる予定です。日本酒の熟成に取り組んでいる卸・小売業者は専門店でもほとんどなく、「氷温熟成」自体もごく少数の蔵元で行われているのみとのことですので、わかば酒店の取組がいかに非常に革新的な取り組みかということが伺えます。

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氷点下で保存可能な冷凍・冷蔵庫

その他にも、「品揃えの充実」に対応するため、従来の店舗に設置されていたものの数倍の大きさの冷蔵ケースを導入したほか、温度帯の異なるウォークインのワインセラー・日本酒セラーも導入し、店舗の広さを十分に活用した品揃えが可能となったばかりでなく、買い物客の導線を妨げずに回遊性を向上させることにも成功しました。また、これらの新型の冷蔵・冷凍庫の導入にあたっては、花巻市起業化支援センターのコーディネーターが国の補助金申請を支援したことで、お店の負担を少なくすることができました。

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花巻市起業化支援センターコーディネーターとの打ち合わせ

わかば酒店おすすめのお酒

お店おすすめのお酒についても伺いました。

「花巻市内唯一の蔵元である川村酒造店は、1922年(大正11年)に初代・川村酉与右衛門さんが南部杜氏の本拠地である石鳥谷町に蔵を構えたことが始まりで、今年で創業100周年を迎えます。生産量は少ない酒蔵ですが、造り手の方自身が『おいしい!』と言えるような酒造りを目指し、醸造アルコールや糖類などを一切添加せず、丁寧な少量仕込みにこだわった、全国でも数少ない全量純米造りの蔵元です。
代表酒である酉与右衛門は、時間の経過で味わいが変化するのが特徴で、食中酒として適しています。主張は激しくありませんが、料理との相乗効果・マリアージュが期待できるお酒です。冷酒から燗酒にするとまた表情が変わるので、温度変化も川村酒造店のお酒の楽しみ方の楽しみの一つです。100周年を記念して醸造された『酉与右衛門』は、『陸羽132号』という、生前の宮沢賢治先生が農業指導者として岩手県の農民に栽培を推奨したお米を使用しており、香りが穏やかで酸味がうまみをリードするしっかりとした味わいを楽しむことができます。
これまで、南部杜氏の仕込む日本酒は『酸』をできるだけ上げないという方針で仕込まれていましたが、昨今、世間的には『酸』に対する抵抗がなくなってきました。全国の蔵元も『食事に合う日本酒をいかに造る』ということを考えているので、川村酒造店の日本酒は『食事に合う日本酒』の先駆けといっても過言ではないのではないかと思います。
100周年という記念の年に、花巻に縁のあるお米を使用して特別に醸造された日本酒をぜひ楽しんでいただきたいです。」と隆樹さんが熱弁するほど美味しい『酉与右衛門』は、花巻市内での取り扱いはわかば酒店のみとのこと。

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100周年記念酒の『酉与右衛門』

「もうひとつのおすすめは、もともとは沿岸の大槌町に蔵を構えていましたが、東日本大震災で被災し盛岡に蔵を復活させた赤武酒造の『AKABU』です。フレッシュさが特徴で、低い温度でサラリと飲むことができるのが特徴です。赤武酒造は非常に若い杜氏が様々な挑戦をしながら醸造を行っているので、ごく少量入荷の商品が多いです。当店のインスタグラムで情報配信しているので、ぜひチェックしていただきながら季節に合った新商品を手に取っていただきたいです」と紹介していただいた日本酒は、1人1本の限定販売にしたにもかかわらず、即売り切れてしまったとのことですので、日ごろから情報をチェックする必要がありそうです。

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大人気の『AKABU』

「お店で日本酒を購入された方から『今まで日本酒は罰ゲームで一気飲みしたり、祭りの時にがぶ飲みしたりするなど良いイメージがなかったが、おいしい日本酒をわかば酒店で購入して、日本酒のイメージが変わった』と言われたのが嬉しかったですね。
全国の蔵元でも若い杜氏が増えてきたので、『どうすれば消費者に手に取ってもらえるか』というマーケティングに取り組んでいる蔵元もあるなど、日本酒業界では日々試行錯誤が行われていますので、お店として少しでも後押しできるようにと思っています。」と日本酒の魅力をお客様に伝えるため、店内のポップでも非常に細かく商品紹介がされており、日本酒に詳しくない方でも手に取ることができるような工夫がされています。

女性にもおすすめのお酒

隆樹さんと一緒に店頭に立つ妹の佐々木律子さんは、北海道のデザイン系専門学校に進学後、デザインに関する仕事をフリーランスで請け負いながら、専門学校の講師をしていましたが、店舗の移転に合わせ故郷である花巻へ戻ってきました。お酒があまり得意ではないという律子さんにも、お酒が苦手だという方にもおすすめのお酒を伺いました。

「まず1つ目のおすすめは、奈良県吉野町の美吉野酒造の『花巴 水もと×水もと』という、伝統の方法で醸造された日本酒です。水もと仕込みは、生米を水に浸して乳酸醗酵を促すことで酸度を高めることで安全に醸造するという、室町時代に奈良の寺院から始まった醸造方法で、日本酒のルーツともいわれる奈良県ならではの醸造方法で仕込まれたお酒だと思います。『水もと×水もと』は仕込み水の一部に『水もと純米酒』を使用するという『貴醸酒』と同様のアプローチで仕込みまれていて、個性ある水もと独特の乳酸系のニュアンスがギュッっと凝縮され、ヨーグルトの上澄みのような奥深い甘酸っぱさが特徴です。」

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律子さんおすすめの花巴

「次のおすすめは、福島県郡山市の酒蔵である仁井田本家の『にいだしぜんしゅ』です。このお酒は『田んぼと水を守る』という蔵元の方針のもと、農薬・化学肥料を不使用の自然栽培米自社田と契約栽培農家からのみ仕入れを行い、稲わら・もみ殻・畔の草など田んぼから採れたものだけを田んぼに返す無肥料自然栽培を採用しています。『自然にかえる』ということから蓋に蛙の絵が描かれるなど、デザイン性が高いのも特徴です。
中でもおすすめは『しぜんしゅ  めろん3.33』。日本酒は通常、三段仕込みという方法で仕込まれますが、『しぜんしゅ』は蔵に伝わる独自の『汲み出し四段』という製法で仕込み、しっかりとお米の甘みと旨みを出しているのが特徴です。その四段目の仕込みに使用する蒸米の量を通常の3分の1に減らし、定番のしぜんしゅより甘さ控えめにしたものが、この『めろん3.33』です。仕込み配合を変えることで生まれた完熟メロンのようなフレッシュな吟醸香と、甘みと酸味のバランスが抜群で、生もと・酵母無添加仕込みによるジューシーさに加え、搾りたて生ならではのフレッシュな味わいを楽しんでいただきたいです。」

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豊富なデザインのにいだしぜんしゅ

「最後のおすすめは、紫波町の酒蔵である廣田酒造店の『紫宙(しそら)』です。女性南部杜氏第1号である小野さんを中心に、新たなチャレンジとして米の個性をしっかりと感じられる無濾過原酒として醸造されました。『紫宙』シリーズの初しぼりとなる『吟ぎんが』は柔らかな味わいで飲みやすく、岩手が誇る酒米である『結の香』は味が乗っていて飲みごたえのあるお酒です。このほかにも銀河のしずくや金色の風など、ブランド米を使用したお酒もあるので、ぜひ全シリーズ制覇していただきたいです(笑)。」と女性目線で、飲みやすいお酒をたくさん教えていただきました。

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紫宙シリーズ各種も店頭に並びます

わかば酒店の今後の展望

わかば酒店ではお酒を販売するだけでなく、造り手と消費者を繋ぐ取り組みが検討されています。これまでに、花巻市内の2軒の居酒屋に対して、日本酒の品揃えのほか少量ずつ飲み比べをすることができるセットメニューの提案を行っており、利用者からの評判も上々だといいます。また、市内の温泉宿泊施設に対しては、施設で提供している日本酒の試飲会・説明の講師を務めるなど、わかば酒店の誇る日本酒の「商品力」と「提案力」で、造り手と消費者を繋ぐ取り組みが行われてきました。今後は、新店舗2階に整備予定のイベントスペースで、造り手と消費者を繋ぐイベントの開催や、お店で販売する日本酒を楽しむことができる「角打ち」の整備などが検討されています。

「角打ちスペースではコイン式サーバーを置いて、仙台駅や新潟駅にある『ぽんしゅ館』のように、お客様が気になる日本酒やワインを気軽に飲むことができるような形にしたいと思っています。週替わりでおすすめの日本酒を入れ替えたりするのも面白いかもしれませんね。」と構想が練られており、お酒好きにはたまらない魅力的な空間になりそうです。

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角打ちスペースとして整備予定の店舗2階

最後に…

取材当日は、春の暖かな陽光が雲間から差し込んでいた3月下旬。例年であれば、歓送迎会シーズン真っただ中で、飲食店からの注文がひっきりなしの非常に忙しい時期とのことですが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、PayPayキャンペーンを活用する個人のお客様の利用が非常に多かったとのことです。

ちなみにお店の暖簾は、店主であるお父さんと隆樹さんのお名前に共通して使用されている「隆」の字を、妹の律子さんがデザインしたもの。「親から子へ繋ぐ」、「地域とお店を繋ぐ」、「蔵元とお客様を繋ぐ」という「想いが繋がる」ことを願って、「繋ぐ」をテーマにデザインされた暖簾は、花巻市内の伊藤染工場さんの手で丁寧に染め上げられました。

「春は新米で醸造された新酒が数多く出回る時期です。新酒は搾りたてなので、新鮮で爽やかな香味が特徴ですが、醸造する蔵元ごとに味わいが異なるのはもちろんのこと、同じ蔵元でも醸造方法や使用するお米等の違いでも異なる個性が出てきます。卒業や就職、転職など人生の新たな門出を迎えるフレッシュな皆さんに、新鮮な新酒でぜひお祝いしていただきたいです。」

出会いの季節でもある春、わかば酒店が取りそろえる花巻・岩手が誇るおいしい日本酒・ワインと、新たに出会ってみてはいかがでしょうか。

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店舗情報

わかば酒店
花巻市若葉町1-1-16
営業時間
火曜日から日曜日:午前10時から午後7時
定休日:月曜日
電話番号:0198-24-6165

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商工労政課
〒025-8601 岩手県花巻市花城町9番30号
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