【令和4年9月21日掲載】製造業のインターンシップに密着(株式会社アイオー精密)

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ページ番号1017209  更新日 令和5年3月2日

インターンシップに密着 第2弾!

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大学生向けの就職活動が6月1日に解禁されたことを皮切りに、高校生向けの就職活動も解禁となり、令和5年度採用に関する活動が活発化しています。新卒の人材を求め、市内の企業でも採用活動が行われていますが、その一環として学生の夏休み期間を利用したインターンシップを実施している企業もあります。インターンシップとは、企業で実際の仕事をしている人から直接話を聞いたり、企業で実際の業務を体験してみたりするなど、学生による「職場体験」のことを言います。インターンシップを通して、企業の仕事内容や働いている従業員の皆さんの雰囲気、企業風土など、現場の空気を実際に感じることができ、自分が働く姿をイメージすることが可能です。

今回は、高校生・大学生向けのインターンシップ実施に積極的に取り組まれているほか、UIJターン者の中途採用にも積極的に取り組む「株式会社アイオー精密」のインターンシップの様子を取材させていただきました。

「アイオー精密」ってどんな会社なの?

株式会社アイオー精密は、金属加工を専門とする企業です。昭和52年(1977年)に花巻市円万寺で創業し、昭和56年(1981年)に現在の工場がある花巻市東十二丁目の花巻金属工業団地に移転しました。その後、順調に事業を拡大していくなかで、東和町小友に伝動部品の生産拠点を建設したほか、国内では神戸工場を有して西日本エリアをカバーしています。また、成長著しい中国市場への供給拠点として中国工場を現地法人として有するなど、お客様のニーズに細かく対応可能な供給体制が整えられています。

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創業当時から使い続ける機械が残ります

アイオー精密では、チタン製の人工骨、レーシングマシンの風洞実験モデルのウイングのほか、ファクトリーオートメーション(FAとも言います)と呼ばれる「工場での生産における自働化」に必要な部品など、私たちの目に触れる機会はなかなかありませんが、私たちの生活に必要な製品の製造に欠かせない部品の製造を担っています。昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大や少子高齢化の進展に伴い、製造業では自働化が大きく進められていることで、アイオー精密の製造する部品の需要も高まっています。

アイオー精密が得意としている「金属加工」ですが、様々な工程が存在しますので、代表的な工程について簡単に説明します。

(1)旋盤加工
加工する材料そのものを回転させ、切削工具を当てて削ることで加工する方法。材料が回転するため、丸棒状または円錐状のものが材料として使用されます。回転している材料に刃を当てて加工するため、完成品は軸状、筒状、リング状、円盤状になります。

(2)フライス加工
工作物を固定し、工具を回転させながら工作物を削る加工方法。工具は回転運動をしながら上下に動き、工作物は前後左右に動かして加工します。四角棒など角材の切削を得意としており、複雑な形状の加工から穴あけまで幅広く対応でき、平面・曲面と両方の加工が可能です。

(3)伝動部品加工(歯切り)
工作物を固定し、そこへ刃物を回転させながら近づけ、品物の上から下へ(または下から上へ)と動かして歯車の歯の部分を作る加工方法。機械の動力の伝達に欠かせない部品である歯車には高い加工精度が求められます。

(4)熱処理
金属を加熱し冷却することで素材の特性を変化させ、硬さ(硬度)や 粘り(じん性)を持たせる処理方法。加熱温度や冷却速度の違いによって金属の組織が大きく変化する特徴を生かします。熱処理加工まで自社で行うことができる企業は実はあまり多くないことから、アイオー精密が短納期を実現できる強みの1つになっているそうです。

(5)研削加工
砥石を使って工作物を削る加工方法。高速回転する砥石を工作物に押し当て、工作物の表面を少しずつ削っていきます。切削加工などの最終仕上げとして使われることが多いのが特徴です。

(6)放電加工
放電現象により発生する熱を利用して工作物を溶かす加工方法。他の加工方法に比べて時間がかかりますが、精度が高い点が特徴です。

(7)表面処理
加工された素材の用途に応じて、表面の性質を高めるために行われる加工方法。硬さや耐摩耗性、潤滑性、耐食性、耐酸化性、耐熱性、絶縁性、密着性などの工場を見込むことができるほか、装飾性や美観など見た目を良くするために行われることもあります。

アイオー精密ではこれらの加工を社内で一貫して行うことで、一貫生産ならではの徹底した品質・納期管理を実現しています。本社工場ではカタログ製品のほか、受注加工の製品の製造が行われているほか、近隣の特注パーツ工場ではオーダーメイド製品の製造と、各生産拠点で役割が分担されています。

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超短納期の要望に応えるオーダーメイド工場

アイオー精密では、夕方までに注文が入れば最短で翌日の生産に間に合うように出荷することが可能ながら、納期遵守率99.9パーセントという超短納期供給がを強みとしています。お客様が必要なパーツを・必要なだけ・必要なときに確実にお届けするために、豊富な材料在庫と業界屈指の加工機械台数を有し、単品・小ロットの注文にも対応可能な多品種少量生産体制を構築していることが、同社がお客様から選ばれる理由となっています。

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多種多様な機械でお客様の要望に応えます

「花巻は岩手県唯一の空港であるいわて花巻空港を有するほか、東北新幹線新花巻駅、東北自動車道や釜石自動車道のICを複数有するなど、高速交通網の利便性が高いことから、お客様のご要望にお応えすることができる環境が整っています。立地環境としては最高の場所です。」と、短納期を実現している秘訣について、総務人事グループの芳賀大介さんに教えていただきました。

アイオー精密では、昨今のコロナ禍において対面での営業や打ち合わせが難しくなったことから、遠隔商談システムでの打合せを推進しています。Webカメラを利用することで、物理的な距離を感じることなく、実際にお会いしているように話ができるほか、パソコン画面を共有して、事例の紹介や図面・見積もりを見ながらのご相談、実物の共有その他工具メンテナンスなど、より詳細な打合せが行われるようになりました。Webカメラをお持ちでない場合でも、音声のみ電話で繋げて、映像だけでもお持ちのパソコンやスマートフォンに映しながら説明するなど、お客様に合わせた丁寧な対応によって、多くの企業との取引を可能にしています。

インターンシップに密着!

お盆明けの8月下旬、アイオー精密では4名の学生・生徒のインターンシップを受け入れていました。

岩手県立産業技術短期大学校矢巾キャンパス メカトロニクス技術学科に在籍する澤田 七星さんは、5日間の日程で様々な部門での業務体験が予定されていましたが、取材当日はCAD/CAMの実習として、特注パーツ工場で図面作成の実習に取り組みました。

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CAD/CAMの実習に取り組む澤田さん

(注)CAD/CAMのうち、CADとは直訳すると「コンピュータ支援設計」といい、これまで手作業で作成されていた設計図などのモデル制作作業をパソコン上で行えるようにするためのソフトです。製造業での金型製作や部品加工、試作開発だけではなく、歯科技術にも活用されているのが特徴です。
また、CAMとは直訳で「コンピュータ支援製造」といい、CADで作成した図面のデータからマシニングセンタなどのNC工作機械を動かすための加工プログラムを作るためのソフトです。NC工作機械は、加工機に直接手入力で作業することができますが、操作者に高い技術の習得が要され、さらに時間がかかるといったデメリットがありました。CAMを使うことで、この手間を省いて早く正確に加工プログラムを作成できるようになるほか、コンピュータ上で加工プログラムのシミュレーションで不備の確認および修正ができるので、作業工程に移ってからのミスなどを減らすことが可能です。
つまり、CAD/CAMとは、コンピュータ上で設計や製図、工作機械を動かす為のデータを作成する2つの機能を持つソフトウェアになります。

「アイオー精密のCMをテレビで見て、色々な機械があって面白そうだなと思ったので、インターンシップを希望しました。私は花巻出身で、就職する際は家から近い会社が良いなと思っていましたので、その点でも魅力的でした。

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先輩社員から指導を受けながら実習に臨みます

実際にインターンシップに来てみて、思っていたよりも大きい機械がたくさんあったことに驚きました。実習では、社員の皆さんは非常に優しく教えてくださるので、毎日楽しく学ばせていただいています。最終日の旋盤を使用した実習が一番楽しみです。」と語る澤田さんは、充実のインターンシップを過ごされているようでした。アイオー精密では、ものづくり人材の即戦力を採用するため、岩手県立産業技術大学校の学生を毎年受け入れており、インターンシップに参加された方を含めて数多くの卒業生の方が入社されているとのことです。

この日は、花北青雲高校情報工学科の2年生の小笠原煌士さん、橋本一慶さん、和山武尊さんの3名もインターンシップに参加されていました。
「インターンシップ受入れ先の一覧を見た際に、CMで見たことがある企業だったのでアイオー精密での実習を希望しました。オリエンテーションで話を聞いた際は難しそうだなと思いましたが、社員の方が丁寧に教えてくださるので、頑張って操作方法を覚えることができました。」と語る和山さんは、社員の方に交じって真剣な表情で機械を操作されていました。

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機械を操作し実習に取り組む和山さん

ねじのサイズ計測を任されていた橋本さんは「金属加工に興味があったので、アイオー精密でのインターンシップを希望しました。小さい金属にたくさんの加工を施していて、高い技術力を持っていることに驚くとともに、大変な仕事を毎日されていてすごいなと感じました。」と仕事の大変さとともに、自身の仕事が製品を作り出すことに満足感を覚えているようでした。

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真剣な表情で作業に取り組む橋本さん(写真右側)

大型の機械操作の研修を受けていた小笠原さんは「アイオー精密はCMで見たことがあったので、インターンシップを希望しました。社員の皆さんは優しいですし、工場内も明るくキレイなほか、たくさんの機械があってもスムーズに働くことができる環境で、自分が思っていた工場の雰囲気とは大きく違っていたので驚きました。最終日に予定されている金属加工の実習が、今から楽しみです。将来に役立てることができるように、インターンシップでたくさんのことを学んで帰りたいです。」と目を輝かせながら、インターンシップの楽しさを語ってくださいました。

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大型の機械を操作する小笠原さん

インターンシップを積極的に受け入れる理由について、総務人事グループ特命主任の眞田健さんに伺いました。「インターンシップに参加する学生・生徒の皆さんは、将来的な就職を見据えて実習に来てくださいます。そのため、最終的には採用につながりやすいことから、当社ではこれまで多くの学生・生徒のインターンシップを受け入れてきました。

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きれいな環境で学生・生徒を迎え入れます

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、一時期はオンラインでの説明会に切り替えていましたが、実際に工場に来て体験していただくことが重要であると考え、対面でのインターンシップも条件付きで続けてきました。世間ではオンラインでのインターンシップも盛んにおこなわれるようになってきましたが、実際に工場に来ていただき、画面上ではなかなか伝わらない当社の魅力や雰囲気を直に感じ取っていただきたいと考えています。花巻市はインターンシップに参加する学生向けの交通費補助があり、岩手県内のみならず県外の学生もインターンシップに参加しやすい環境を整備していただいているので、企業としては非常にありがたいです。」

最後に

花巻を代表する製造業の会社として、多くの従業員を抱えるアイオー精密。優秀な人材の確保の裏には、長年続けてきたインターンシップによる地道な採用活動がありました。お客様の要望にお応えするため、アイオー精密では数多くの学生・生徒に対して積極的に学びの場を提供し、引き続き優秀な人材の確保に努めます。

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企業情報

株式会社アイオー精密
花巻市東十二丁目17-1-1
電話番号:0198-22-4330

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