【令和4年8月31日掲載】温泉旅館のインターンシップに密着(株式会社新鉛温泉)

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ページ番号1017147  更新日 令和4年8月31日

採用活動が本格化!よく耳にするインターンシップって何?

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大学生向けの採用活動が6月1日に解禁されたことを皮切りに、9月中旬には高校生向けの採用活動も解禁となるなど、令和5年度採用に関する活動が活発化しています。来春に学校を卒業する学生・生徒を求め、市内の企業でも採用活動が行われていますが、採用活動の一環として、学生・生徒の夏休み期間を利用したインターンシップを実施している企業があります。

インターンシップとは、企業で実際の仕事をしている人から話を直接聞いたり、企業で実際の業務を体験してみたりするといった、学生による「職場体験」のことを言います。インターンシップを通して、企業の仕事内容や働いている従業員の皆さんの雰囲気、企業風土など、現場の空気を実際に感じることができ、自分が働く姿をイメージすることが可能です。

今回は、高校生・大学生向けのインターンシップ実施に積極的に取り組まれている「株式会社新鉛温泉」のインターンシップの様子を取材させていただきました。

「株式会社新鉛温泉」ってどんな会社なの?

株式会社新鉛温泉は、「結びの宿 愛隣館」を運営している企業です。愛隣館は3つの大浴場で合計17の浴槽を有し、チェックインからチェックアウトまで心ゆくまで温泉を堪能することができる一大温泉旅館です。

豊沢川の景色を眺めながら温泉を満喫できる「川の湯」、四季折々の庭園の景色を楽しめながら温泉に浸かれる「山の湯」、森の木々の中で森林浴気分を味わえる「森の湯」の3つの大浴場を17の個性的な湯船で楽しむことができます。これらの大浴場は、時間によってのれん交換を行っていることから、湯巡りで17あるすべての浴槽に入ることが人気となっています。また、オプションやプラン特典として申し込むことができる貸切風呂「ちゃっぷん」は、内湯と半露天の信楽焼陶器風呂の 2つの浴槽が用意されています。

宿泊者用のお部屋は、山々の風景を楽しめる部屋、豊沢川の景色を楽しめる部屋、リーズナブルにご利用いただけるお部屋などのほか、令和3年には客室を改装し温泉露天風呂付客室やワーケーションが可能なお部屋を設置するなど、様々なニーズに対応することが可能です。

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ワーケーションに対応した部屋のデスク

(注)ワーケーションとは、「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語。観光地やリゾート地でテレワーク(リモートワーク)を活用し、働きながら休暇をとる過ごし方。非日常の土地で仕事を行うことで、生産性や心の健康を高め、より良いワーク&ライフスタイルを実施することができる1つの手段。

ワーケーションが可能なお部屋は国・県で実施している補助金を活用し、部屋の中に仕事がしやすい高さの机と椅子、机の近くにコンセントを設置したほか、マイクロツーリズムに対応するため高級ベッド2台を導入し、抗菌の琉球畳に敷き替えるなど、昨今の旅行需要に応えることができるつくりとなりました。

また、温泉露天風呂付客室は全4室のみの貴重なお部屋となっています。このお部屋もワーケーションに対応しているほか、夕食をお部屋で食べることも可能となっていることから、ご家族連れを中心に好評となっており、今では休日の予約がなかなか取れないほど人気のお部屋です。

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国の補助金を活用して改修した温泉露天風呂付客室のお風呂

愛隣館では食事メニューにも力を入れており、花巻産ひとめぼれのほか、花巻市が誇るブランド豚「白金豚」料理、東和町の佐々長醸造の味噌にクルミなどを練りこんで紫蘇で巻いた「しそ巻き」など、地元の食材が数多く並びます。家族水入らずで楽しむことができる「お部屋食」、炭火焼や揚げたて料理をハーフビュッフェ形式で楽しめる「かまどダイニング」など、プランによって夕食を選択することが可能です。朝食は30種類ものメニューが揃う和洋ビュッフェを用意しており、「はなまき朝ごはんプロジェクト」の一環として地元産野菜を使用した月替わりの料理が並ぶのも特徴です。朝食では、花巻の食材にこだわった焼きたての「ふわふわフレンチトースト」が一番人気です。

インターンシップに密着!

株式会社新鉛温泉の清水 隆太郎 社長に、企業がインターンシップに取り組む重要性について教えていただきました。

「インターンシップは企業の求める学生像と、学生が企業に抱く印象のミスマッチを防ぐのに有効な手段です。企業としては学生の確保につなげることができ、学生としては事前に業務を体験することで、自らが働く姿をイメージしやすいといった効果があります。当社では約7年前からインターンシップに取り組んでいますが、近年ではインターンシップから個別の採用活動につなげていく採用手法が主流になりつつあります。」

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インターンシップを積極的に進める株式会社新鉛温泉の清水社長

直近2年はコロナ禍によってインターンシップを開催することが難しかったことから、愛隣館では動画での企業紹介やオンライン説明会に切り替えて、学生への対応を行いました。

今年は3年ぶりにインターンシップを受け入れており、この日は北上市出身の高橋 愛海さん(岩手大学)と宮城県仙台市出身の市原 璃夕さん(岩手県立大学)の2名がインターンシップに参加されていました。

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お二人とも飲食店でのアルバイト経験があり、接客業に興味があるとのことで、愛隣館で実施されているインターンシップに応募されたそうです。

愛隣館のインターンシップは3泊4日で、主に以下の体験プログラムを実施しています。

1日目
正午過ぎに愛隣館に到着後、オリエンテーションを経て適性検査を実施。その後、午後3時からのチェックインに合わせて、お客様のお出迎え、フロント業務体験、売店での接客体験、ラウンジでの飲食物提供体験といったお客様の前での接客業務が続きます。チェックインがひと段落した後は、お客様の夕食時間の合間を見て客室の布団敷きを行い、1日目の業務は終了です。

2日目
9時過ぎからお客様のチェックアウトに合わせて、玄関先で荷物の搬出のお手伝いやお見送りをします。お客様の中には旅の記念にと写真撮影を依頼されることもあることから、機転を利かせた対応が必要です。また、愛隣館ではお客様の車が見えなくなるまで、お見送りの従業員が手を振り続け、宿泊いただいたことに対する感謝の気持ちを伝えます。

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お客様の車が見えなくなるまで手を振り続けます

お見送りがひと段落したら、今度は大浴場の清掃に移ります。大浴場に置かれている風呂桶や椅子をメラミンスポンジで一つ一つ磨き上げていきます。

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丁寧に汚れを落としていきます

お昼休憩を挟んで、初日と同様にお客様のお出迎え、フロント業務体験、売店での接客体験、ラウンジでの飲食物提供体験といったお客様の前での接客業務を経て、2日目の業務は終了です。

なお、1日目、2日目は社員寮に宿泊し、入社後に実際に住むことになる部屋や従業員用の大浴場も経験します。このように業務面のみならず、私生活の面でも入社前と入社後のミスマッチを少しでも減らすことが、長く働いてもらえる要素になっているとのことです。

3日目から4日目

3日目は早朝から朝食バイキング会場での接客体験、チェックアウト後のお見送りを行い、従業員としての業務はいったん終了です。
この日は市内での農業体験を通して汗を流し、花巻産農産物を活用したランチを楽しみます。ホテルに戻り、これまでの業務体験の振り返りを行った後、最後はお客様として実際に愛隣館に宿泊することになります。3日目の夕食、4日目の朝食のほか、自分たちで清掃した温泉の大浴場を存分に堪能し、愛隣館でのインターンシップは終了です。

充実のインターンシッププログラムを提供している愛隣館ですが、7年前にインターンシップを開始することを決定した時は「学生の受け入れで従業員にも負担がかかるのではないか?」と不安だったとのことです。そこで、学生にも従業員に負担がなるべくかからないよう、インターンシップに参加した学生にアンケートを実施して、プログラムの内容に毎年少しずつ改良を加えるなど細かな配慮がされています。

「温泉旅館での業務は接客といった『表の業務』だけではなく、清掃や布団敷きといった『裏の業務』まで多岐に渡ります。新型コロナウイルス感染症の拡大によって、インターンシップからオンライン説明会への移行などが図られましたが、企業の良さや接客業のやりがい・大変さを学生に伝えるのは、接客業である当社には限界があります。学生の皆さんが、業務を実際に体験することでしか得られない経験を積んでいただくことが、インターンシップの良さだと思います。花巻市は、学生向けにインターンシップに参加する際の交通費の支援制度があります。これによって学生がインターンシップに参加するハードルがグッと下がり、当社としても優秀な学生を受け入れることができるので、非常にありがたい制度です。」

「3泊4日のインターンシップでは、様々な業務を経験することで仕事に対する理解を深めることができるほか、『働く経験』と『宿泊する経験』を通して、自分の仕事がお客様にどのように見られているのかを体験することにつながり、入社後すぐに活躍することができる人材の確保につながっています。」とインターンシップを実施する意義について、清水社長に教えていただきました。

また、人材の確保という観点では、中途採用も積極的に行われており、県外からの移住者の採用が多いことも愛隣館の特徴です。清水社長は「UIJターン者の就職に対して奨励金の支援があることが、移住者の方の市内就職につながっていると思います。奨励金は県外からの移住であれば制度の対象となりうるので、当社としても紹介しやすいです。首都圏からの移住者に対しては、支援金の金額が大きい移住支援金を用意しているなど、移住者に対する多様な支援も花巻市が選ばれる魅力の一つですね。」と、愛隣館では国・県・市の支援制度を活用して、人材確保を含めて様々な事業に取り組まれています。

3年前にインターンシップに参加し、その後に愛隣館に就職された猫塚瑠奈さんにもお話を伺いました。

「私は地元の花巻出身で、観光業への就職を希望していたので、短大1年生の時に愛隣館でのインターンシップに参加させていただきました。」

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愛隣館でのインターンシップを経験して就職した猫塚さん

「インターンシップでは、お見送りの際にお客様のお車が見えなくなるまで先輩方が手を振っていた姿が、非常に印象に残っています。花巻を代表する温泉旅館でバリバリ働いている先輩方の姿が輝いて見えて、『私もここで働きたい!』という想いを強くすることができたので、インターンシップに参加して良かったです。」

入社してからは、「お部屋食の対応をしたご家族から『ご飯おいしかったよ』とお声がけいただいたり、小さなお子様と交流したりするひと時が非常に楽しいです。」という仕事のやりがいを感じつつ、「新型コロナウイルス感染症の拡大によってマスクを着用しての接客が必要となり、声が通りにくくなってしまいました。また、マスクによって表情が見えにくくなってしまいましたので、私の説明や気持ちがお客様にきちんと伝わるよう、ゆっくりハッキリと話したり、お客様の細かな動きを見逃さないようにしたりするように心がけなければいけません。」という仕事の難しさの両方を感じているという猫塚さん。

「学生の皆さんにはインターンシップに積極的に参加していただいて、私のように自分のやりたい仕事に巡り合えると良いなと思います。今回、インターンシップに参加している高橋さんと市原さんは笑顔が素敵なので、ぜひ一緒に働くことができたら嬉しいです。」と頑張る後輩にエールを送ります。

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猫塚さんも過去の先輩と同じように笑顔でお客様のお見送りをしています

コロナ禍で変化した旅行需要やIT化の流れに対応

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、旅行をするということがなかなか難しい情勢となっています。「コロナ禍で団体ツアーは一気になくなり、現在は個人客の利用がほとんどです。これまでは岩手県内からのお客様のご利用が中心でしたが、最近では東北地方からのご利用が少しずつ増えているほか、団体ツアーも若干ですが戻ってきており、新型コロナウイルス感染症に気を付けながら旅行を楽しもうという動きが出てきています。」と、コロナ禍での旅行需要が変化してきていると清水社長は感じているとのことです。

コロナ禍でもお客様が旅行を存分楽しむことができるよう、愛隣館では大浴場にセンサーを設置して混雑度がわかるようにしているほか、施設の一部にも人数制限を設けるなど感染症対策に力を入れています。

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抗菌加工が施された畳を使用した部屋も用意されています

また、愛隣館では業務のIT化や効率化にも積極的に取り組まれています。例えば、チェックアウトの際の清算業務をフロントで行っていたものを、愛隣館では全国で2番目に自動精算機を導入して、フロント業務の作業軽減につなげることができました。これまでは、清算金額と会計が合わないといった問題がたびたび発生するなど、フロントに従事する従業員は常にストレスを抱えながら業務を行っていましたが、従業員の方の事務作業も減少しただけでなく、会計が合わないなどのミスを抑える効果が出ています。「本当は自動チェックイン機も導入したいんですが、お客様の健康状態のチェックや各種宿泊助成の申請用紙の記入など、チェックイン時の説明事項が多岐にわたることから、現状ではまだ導入に至っていません。」と、清水社長は今後の新たな取り組みについても構想をお持ちのようでした。

その他、チェックインやチェックアウトの情報や部屋の清掃の有無、食事のオーダーなどをタブレットで確認できるようになっており、お客様の予約情報を従業員の皆さんがすぐに共有することができる環境が整備されています。

最後に

「コロナ禍で旅行需要が落ち込んでいるなかではありますが、当社で出来る範囲のリニューアルを進めることで、顧客満足度を高めることができるように取り組んでいます。」という清水社長の言葉通り、愛隣館では今後、国の補助金を活用した外壁補修や、需要が落ち込んでいる宴会場を個人客向け用食事会場への改装、館内のLED工事など、さらなるリニューアルに取り組まれる予定とのことです。

愛隣館はご家族連れでの宿泊が多いことから、これまでキッズスペースとしていた場所を令和3年7月に館内に「木育広場 月ちゃん・花ちゃん」としてリニューアルオープン。木育広場は「花巻おもちゃ美術館」がプロデュースしており、花巻おもちゃ美術館に置かれているものと同じおもちゃだけではなく、愛隣館オリジナルの「ひっつきむしトンネル」などを楽しむことができます。

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リニューアルオープンした木育広場「月ちゃん・花ちゃん」

「木育広場は小さなお子様連れのご家族から好評をいただいています。当館の木育広場を楽しんだご家族が、翌日には花巻おもちゃ美術館を訪問し遊んでいただくといった周遊観光にも繋がっています。」
取材当日もチェックアウトぎりぎりまで木育広場で遊ぶご家族の姿を見ることができました。

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花巻おもちゃ美術館に負けないほど多彩な木のおもちゃが並びます

新型コロナウイルス感染症が落ち着き、旅行需要が回復した際に全国から多くのお客様をお迎えすることができよう、愛隣館では施設改修やIT化といったハード面、従業員の採用やホスピタリティの充実といったソフト面の両輪での充実を図りながら、お客様のご到着を心待ちにしています。

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企業情報

株式会社新鉛温泉
花巻市鉛字西鉛23
0198-25-2619

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